召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第一章

ともだち

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「う、ぐ……」

 アルフェンは、もの凄い衝撃を受けて壁に叩きつけられ、そのまま何回か全身に衝撃を受けた。
 気が付くと、全身に猛烈な痛みを感じて目が覚め、目を開けると理解できない光景が広がっていた。

「…………???」

 校舎が、半壊していた。
 横長の木造校舎が半分ほどなくなり、木々や草木も吹っ飛んで更地になっていた。
 まるで、もの凄い衝撃を受けて全て吹っ飛んだような。

「な、に……っぎ、あぁぁ……っ!?」

 起き上がろうとしたら、右腕に猛烈な痛みが走った。
 恐る恐る首を動かして右腕を見ると……アルフェンの右腕は、木の破片が突き刺さり変な方向に曲がっていた。
 アルフェンは青ざめ、ガタガタ震える。

「い、っづ……あ、ぁぁぁ……なにが、なにが」

 右腕が動かない。
 そして、背中が痛み左足も痛む。
 よく見ると、全身ボロボロだった。制服が千切れて血がにじんでいる。
 
「……えっ」

 そして、気が付いた。
 アルフェンの周りに、何人ものクラスメイトが転がっていた。
 アルフェンは震えた……なぜなら、どう見ても……死───。

「アルフェン……」
「っ……ハウル……ハウル?」
「よ、よぉ……」
「ハウル!!」

 アルフェンのすぐ近くに、ハウルがいた。
 だが、両足が折れて曲がっており、全身血まみれだ。
 アルフェンは身体を引きずり、ハウルの元へ。

「おい、なにが……おい」
「デカい声出すな……身体に響く……落ち着け、落ち着け」

 ハウルは、アルフェンに言いつつ自分に言い聞かせているようにも聞こえた。
 大きく深呼吸をし、血まみれの顔を上げる。

「見ろ……校舎、半壊してる……たぶん……なにか、デカいのが落ちてきた……」
「しゃ、喋んな……っぐ、くそ、今助けを」
「ああ……ラッツ、マーロン……レイチェル、は?」
「……探す。お前は動くな……」

 アルフェンは、自分の身体を確認する。
 血は出てボロボロだが、右腕以外は動く。
 不思議と、痛みが少なくなっていた。右腕の怪我も受け入れ、アルフェンの身体に力が入っていく。
 立ち上がり、もう一度教室内を確認……そして、絶望した。

「…………ぅ」

 ひどい、本当にひどい有様だった。
 校舎は半壊。血の匂いと呻き声があちこちから聞こえる。
 衝撃に巻き込まれた生徒が、何人もいる。中には……もう、死んだ者もいた。

「…………」

 アルフェンの眼に、涙が溜まった。
 だが、左腕で目をこする。

「みんな……動ける人、いるか? みんな……!!」

 動けると言っても、かろうじてだ。
 大声を出すと右腕に電気が流れたような衝撃が走る。
 すると、何人かの生徒がヨロヨロと立ち上がる。
 その中には、ラッツがいた。

「アルフェン……」
「ラッツ、無事だったか……よかった」
「無事じゃねーよ……全身いてぇよ」

 ラッツは、背中が酷く裂けていた。
 そして、ほぼ無傷のレイチェルがラッツを支えている。

「……私をかばったの」
「へ、気まぐれだし……気にすんな」
「お前……かっこいいな」
「へ、うるせ」

 二人は大丈夫そうだ。
 アルフェンは、爆発前に近くにいたマーロンを探す。
 そして、見つけた。

「ま、マーロン!!」
「ぁ……」

 マーロンは、腹に材木が突き刺さった状態で壁に座りこんでいた。
 下手に動かせない。アルフェンは歯ぎしりをする。
 すると、レイチェルが叫ぶ。

「みんな!! 動ける人は集まって!! 怪我人の救助と助けを呼びに行く!!」

 レイチェルの指示で、動ける男子一人に助けを呼びに行かせた。
 残りの動ける人は、怪我人を校舎の外へ運び、下手に動かさないでおく。
 中には……死者もいた。レイチェルが涙を流しながら運び、アルフェンも歯を食いしばる。
 そして、大体の救助を終え、救援を待つことになった。
 アルフェンは、マーロンの傍にいた。

「マーロン、しっかりするんだ」
「ぁ……ぅ、ん」
「大丈夫。きっと助かるから……怪我治ったらメシいっぱい食おうぜ。ラビィに肉頼んでさ」
「あ……うん」

 マーロンは、弱々しく頷く。
 顔色が悪く、呼吸も弱々しい。早くしないと命が危険だ。
 ラッツとハウルも、マーロンの傍にいた。

「あーくそ……おいマーロン、死ぬなよ」
「ラッツ、変なこと言うな……おいアルフェン、おめーも無理すんな」
「大丈夫……っぐ」

 アルフェンは、右腕を押さえた。
 適当に添木をして、制服を破って腕に巻く。
 あとは、救助を待つだけ───。

「おー? おうおう、人間いっぱいいるなー……あーあ、なんかよわっちい匂いしかねーや」

 そんな声が、聞こえてきた。
 声の方を見ると……妙な男がいた。
 黒い肌、白い髪……そして、頭にはツノが生えている。
 にんまりと口を開けて笑い、見えた歯がギザギザしていた。
 意味が分からなかった。なぜ、こんなところに部外者が……?
 すると、レイチェルが男性に近づいて言った。

「あの、あなた!!」
「んー?」
「外部の人ですよね? 申し訳ないけど、助けてください!!」
「ん、いいよー」
「よかった。あの、すぐ職員室に行って、先生たちに───」

 ボジュ……と、水音がした。

「……え?」
「助けてやる。へへ、まずは前菜かな」

 レイチェルの胸に大穴が空き、男の手には心臓が握られていた。
 レイチェルの眼がぐるんと周り、そのまま倒れそうになる。だが、男が身体を掴み支える。

「んぁ~……む。むぐむぐ……んん、若い女の肉、うまぁ」

 男は、レイチェルの心臓を食べた。
 そして……口を開くと、あり得ないくらい巨大化した口が、レイチェルを丸呑みした。

「…………え、レイチェル?」
「うん。まぁ美味かった……でも、もっとうまい肉いっぱいありそうだ」
「レイチェル……レイチェル!!」
「ラッツ!!」
「てめぇぇぇーーーッ!!」

 ラッツが立ち上がり、男に向かって走り出した。
 男はラッツを見て下をペロッと出す。

「男はイラネ」

 右手をラッツに向けると、白い光が発射された。
 光はラッツを包み、半身を蒸発させる。

「ごぶっ……ぁ」
「ラッツゥゥゥゥゥッ!!」

 半身を失ったラッツは、そのまま倒れた。
 そして、男は周囲をキョロキョロする。そして、にんまり笑った。

「よし。女を食って男は殺そう。んで、メインディッシュといきますかぁ!」

 男───アベルは、両手に光を纏わせ、近くの男子に向かって炎を放つ。
 炎は一瞬で男子を包み込んだ。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「女の子いっただきま~す!」
「ひっ……いやぁぁぁっ!───っが」

 女子は一瞬で首を刈り取られ、そのまま丸呑みにされた。
 アルフェンは、ラッツに駈け寄る。

「ラッツ……ラッツ!!」
「ぁ……わ、りぃ……お、れ……ダメ、だ……わ」
「ラッツ……」

 アルフェンは、涙が止まらなかった。
 半身を失ったラッツから血が止まらない。内臓もごっそりえぐられた。
 だが、ラッツは……笑っていた。

「アルフェン……楽し、かった……ぜ……」

 そして、ラッツは息絶えた。
 アルフェンは、残されたラッツの手を握りしめ泣いた。
 そして───気付いた。

「───え?」

 半壊した校舎の向こう側に───姉のリリーシャがいた。
 リリーシャだけじゃない。兄のダオームとキリアスも、見覚えのあるB級の上級生たちも、全員が揃っていた。
 なぜ、助けに来ない。
 なぜ、こちらを見ているだけなのだ。
 なぜ、今も襲われている生徒ではなく、アベルを見ているのか。
 そして───アルフェンは気付いた。

「───あ、フェニア……」
「───っ」

 フェニアが、アルフェンを見て……目を反らしたのだ・・・・・・・・
 助けに、来ない。
 つまり……見捨てた。はなから助けるつもりなんて、ない。
 幼馴染のフェニアが、アルフェンを見捨てた。

「ば、っか野郎……!!」
「っ!?」

 アルフェンの身体が転がった。
 横からの衝撃……すぐにそちらを見ると、ハウルが男の足にしがみつき、マーロンがアルフェンを突き飛ばしたとわかった。

「逃げろ、アルフェン!」
「ハウル!!」
「へへ、楽しかったぜ……ありがとよ!!」
「なんだこいつ? じゃま」

 アベルは、ハウルの背中を踏みつぶした。
 足が背中を貫通し、ハウルは息絶える。
 そして、マーロンが。

「アルフェン……にげて」
「マーロン離せ!! お前も」
「ぼく、もうダメ……きみだけでも、にげて」
「マーロン!!」

 アルフェンは、涙が止まらなかった。
 マーロンが血を吐き、最後の力でアルフェンを突き飛ばした。
 気が付くと……生き残ったのは、マーロンとアルフェンだけ。
 そして───。

「あ、死んだ。じゃあお前で最後ね……おぉ? あっちにいっぱいいるじゃん……しかも、どれも美味そうな匂い!!」

 アベルは、後方にいるリリーシャたちに気付いた。
 事切れたマーロンを蹴り飛ばし、アルフェンに手をかざす。

「じゃ、死ね」
「……っ!!」

 アルフェンは、アベルの手のひらを見て思った。
 死ぬ。でも……なぜか怖くない。
 すると、アルフェンの近くの地面から、黒いモグラが出てきた。そして、アベルの足にくっついて暴れる。

『もぐ!!』
「あん? なんだこれ」
『もぐーっ!!』
「モグ!! やめろ……やめろ!!」
「ったく、メシの邪魔すんなっての……」
『もぐ!?』

 モグは踏み潰された。同時に、アルフェンも血を吐く。
 召喚士と召喚獣は一心同体。どちらかが傷付けば片方も傷付く。
 そして、今度こそアルフェンの命が───。

「じゃ、ばいばーい」

 アベルの手が白く光り───。

「だめぇぇぇぇぇーーーッ!!」

 アルフェンの前に、桃色の髪の少女が割り込んだ。
 そして、白い光が桃色の……ラビィの胸を焼き尽くす。

「ご、ふ……っ」
「あーっ!? 女の子じゃん!! やっちまったぁ~……ったく、いきなり出てくんなよなぁ!!」
「…………え」

 ラビィが崩れ落ち、しゃがみ込んだままのアルフェンに寄りかかった。
 
「…………ご、めんね」
「は……?」
「あ、はは……わた、し……あなたの、こと……」
「お、おい……おい?」
「…………」

 ラビィは、静かに死んだ。
 アルフェンをかばい、その命を落としたのだ。

「…………」
「ったく。もういいや。じゃーな」
「あ───」

 一瞬だけ、胸が熱くなった。
 そして───アルフェンの胸に大穴が空き、そのまま意識が消失した。
 この日。たった一人の魔人の襲来で、F級の生徒が全滅した。
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