召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第八章

戦いの果てに

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 『融合』のリリーシャと『完全侵食』のアルフェン。
 互いに、最強の姿で向かい合う。
 リリーシャは馬に変形したアークナイトに騎乗、双剣を構える。
 アルフェンはジャガーノートに変身。巨大化させた右腕を『硬化』する。
 そして───リリーシャが動いた。

「ハァッ!!」

 滑走形態スレイプニールとなったアークナイトは、本物の馬のように走り出す。
 リリーシャは剣を振りあげる。確かに速い、だがアルフェンは見えていた。
 右手を振りかぶり、リリーシャに向けて放つ。

「『獣王の一撃ジャガーノート・ブレイク』───えっ」

 拳が伸びた瞬間、リリーシャは消えた。
 一瞬で消えた。アルフェンの眼も捕えきれないほど速かった。
 そして、脇腹に衝撃が走る。

「なっ!?」
「フン。貴様、動く瞬間は『硬化』が切れるようだな……勝機はあるということだ」

 リリーシャに脇を切られた。
 完全侵食状態のジャガーノートが斬れた。
 確かにリリーシャの言う通りだ。ジャガーノート形態時、動かなければ常に全身を『硬化』している状態になる。だが、動くときはその状態を解除している。
 リリーシャの能力は『入れ替え』だ。召喚獣と自分の位置を入れ替えるのが能力のはず。
 だが、今のリリーシャは召喚獣と一つ。入れ替えの条件を満たしていない。
 つまり、入れ替えではない……?

「お前、能力……」
「気付いたところで対処できまい!!」

 スレイプニールが再び走り出す。
 すると、今度は分身した。何人ものリリーシャが、アルフェンに向かって向かってくる。
 
「このっ!! 『停止パン───チッ」

 『停止世界パンドラ』は使用できない。リリーシャが死ぬ。
 だからアルフェンは、右目を酷使する。
 そして、肉体をフルに使い、リリーシャが捉えきれないほど高速で移動した。
 だが、リリーシャも速い。

「くっ……」

 リリーシャは、アルフェンより速かった。
 正確には速いのではない。短距離間で『転移』を繰り返している。元の能力は『召喚獣と召喚士の位置交換』だったが、召喚獣と融合したことにより、リリーシャが指定する場所へ一瞬で転移可能となったのだ。
 アルノーと違い、転移にタイムラグがない。まさに一瞬の転移。
 それを繰り返すことにより、分身しているようにも高速移動しているようにも見えた。
 一対一ならば、そう簡単に負けることがない能力。

「はぁっ!!」
「ぐぁっ!?」

 背中を斬られた。
 動かなければ『硬化』が守ってくれる。だが、アルフェンはそれをしない。
 もっと自分を追い込む。圧倒的な力でねじ伏せる。

「まだまだ……ここからが本番だ!!」

 気合を入れ、右腕を巨大化させ、切り刻まれながら全力で動く。
 だが───リリーシャはアルフェンの動きを読んでいた。
 未だかつてない強敵となったリリーシャ。
 相性が悪い。とことん、相容れない姉と弟。ウィルやアネルならこの速度にも対応できるだろうが、パワー重視のアルフェンとは相性が悪い。

「どうした!! このままみじめに切り刻まれろぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ぬ、ガァァァァァァっ!!」

 光速の斬撃でアルフェンは刻まれる。
 『停止世界』を使えば動きは簡単に止められる。だが、それではリリーシャが死ぬ。
 それに、アルフェンはまだ手に入れていない。
 刻まれながら、心の奥にある『何か』に語り掛ける。

『モグ───俺は、負けない』
『───』
『お前が何かに怯えているのはわかる。でも……俺が付いてる。俺にお前がいるように、お前には俺が付いている。二人一緒なら、どんな困難だって───』
『───』
『モグ、一緒にやるぞ。全部、ぜんぶを使って。ニュクスを倒すぞ!!』
『───……』
「だから、ありったけの力を!!」
『───…………」

 ドクン───……と、アルフェンの心臓が跳ねた。

 ◇◇◇◇◇◇

 リリーシャが優勢。勝利は目前だった。
 
『勝てる───』

 リリーシャの刃は、アルフェンを刻める。
 文字通り、今まで歯が立たなかったが、今は違う。
 『融合』を手に入れ、圧倒的な力で弟を───。

「えっ?」

 だが、見た。
 刻まれたジャガーノートの右目が、全身が輝き───。

「───あっ」

 気が付くと、リリーシャの右腕が肩から切断された。
 衝撃が背中を叩く。血を吐き、なぜか動けなかった。
 そして、見た。

「───これが、新しい……そうか!!」

 人間に戻ったアルフェンが、右腕を突き出していた。
 もう、リリーシャを見ていなかった。
 嬉しそうに、笑っていた。
 そして気付く。ああ、アルフェンは……自分に興味がない。
 ウルブスを含むA級召喚士が駆け寄ってきた。そして、抱きかかえられリッパー医師の元へ運ばれる。

「綺麗な切断面だ。これなら三秒で治せる」

 そういって微笑むリッパー医師は……死神にしか見えなかった。
 リリーシャは、ここで気を失った。
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