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第六章
懐かしい声
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ぷかぷかと、闇の中に浮かんでいるような感覚だった。
真っ暗で何も見えない……でも、目の前に、小さな金色の灯りが。
『……久しいな』
「その声、エンシェントドラゴン……」
光から、声がした。
ああ、これは忘れようのない声。
『やれやれ。力だけを継承させたつもりが、我が意志の一部も核に残っていたようじゃ。ふふ……ドラゴンとは、実にしぶとい』
「あはは。でも、また話せて嬉しい。それに……ちゃんと、お礼も言いたかった」
『お礼?』
「ああ。スヴァローグを倒すのに、力を貸してくれた」
『構わん。あれは、お前の力を引き出し、スキルを使いやすく調整したにすぎん』
いや、かなりありがたいぞ。
エンシェントドラゴンの声は続ける。
『ふむ、スヴァローグにリンドブルムの力を吸収したか。だがレベルは2……ストックできるスキルも2つが限度。欲しいスキルがあるなら、『捕食右龍』で喰らえ。『闘精左龍』での闘気精製も、マシになったはずじゃ』
「アジ・ダハーカ?」
『腕の名じゃ。カッコいいじゃろ?』
「ま、まぁいいけど。あとさ……スヴァローグ、お前の子共なんだよな? 倒しちゃったけど」
『構わん。リンドブルム以外は全員、わしの命を狙っていた。いずれは戦わねばならん運命だった……』
エンシェントドラゴンは辛そうに言った。
『気を付けろ。ワシの力を狙い、リンドブルム以外のドラゴンが動き出す。人間の中に溶け込む者、組織を率い狙う者、傍観する者……特に、ファフニールには気を付けよ』
「ファフニール?」
「あ奴は、人間と変わらん。ワシでさえ、『偽装』したファフニールに気付かなんだ。人間になりすまし、人間としてお前に接してくる……油断するな』
「……ヤバいのか?」
『直接、力で支配するような奴ではない。だが、スヴァローグが千体いようと、ファフニールに傷一つ付けられんだろうな』
「えー……」
『ふふ。まぁ大丈夫じゃ。ワシの力、使いこなせよ』
「ああ。わかった。筋トレ頑張るよ」
『ああ───』
と、光が徐々に弱くなり───。
◇◇◇◇◇
「……っ!!」
俺はベッドから飛び起きた。
「……夢?」
エンシェントドラゴンとの会話……夢じゃない?
ベッドから起き、身体を捻る。
「ん~……よし!! 早朝ランニング行くか!!」
闘技大会から、十日が経過……日常が戻ってきた。
俺は運動着に着替え、部屋を出る。
寮の前で準備運動をして、ゆっくり走り出した。
走り出して間もなく、女子寮の前で準備運動をするレイを見つけた。レイは俺を見るなり一緒に並んで走り出す。
「おはよ」
「ああ」
闘技大会後、俺たちはジョギングを始めた。
朝食前の一時間、ゆっくり流すように身体をほぐしていく。
「そういえば、学園ダンジョンの危険階層のことだけど……あそこの階段、消滅したそうよ」
「え、そうなのか?」
「ええ。鎖で封鎖されててわかりにくかったけど、管理人が扉を確認しようとしたら、先に進む階段が消えてたそうよ。それを確認した瞬間に、通路も消えてただの壁になったみたい」
「へぇ……」
思わず右手を見る。
スキルイーター・レベル2……まさかとは思うけど。
「あのスキルを取ったから、役目を終えて消えたのかもね」
「……かもな」
「というわけで、闘技大会も終わったし、次はダンジョン攻略と依頼を受けて冒険者等級を上げるわよ。レノ、サリオに声かけておいて。アピアにはあたしが言うから」
「ああ。って……依頼?」
「そうよ。冒険者なら依頼を受けないと」
「そ、そうだな」
…………あとでサリオに聞いておくか。
◇◇◇◇◇
「依頼って言うのは、文字通り依頼だね」
「まんまじゃねぇか。ってかリュウキ、冒険者のこともっと勉強しておけ」
「うぐぅ」
ぐぅの音も出ないとはこのとこだ。
現在、俺たちは午前の授業を終え、校内にある大食堂でお昼を食べている。
たまには食堂を、とも思ったけど。
「臆病者……」「敵前逃亡だってよ」「だっさぁ」
「あれで冒険者やれんのか?」「貴族を追放されたってのも納得」
ひそひそと、俺を悪く言う声。
「気にすんな。陰口しか叩けねぇクソクズゴミ冒険者モドキなんかより、逃げても堂々とメシ食ってるお前のがすげぇ。あんな陰口しか叩けねぇゴミクズなんてクソの掃き溜めみてえな場所で内臓まき散らして野垂れ死にするに決まってる。声が出る汚物以下の害虫魔獣だと思え」
「く、口悪すぎる……れ、レノぉ」
サリオが青ざめている。というかレノの話、めちゃくちゃ周りに聞こえてる。
ってか口悪い……ちょっと笑ってしまった。
あと、周りが青ざめてシーンとしてる。闘技大会でレノが好成績を出したことをみんな知ってるからな。
サリオがコホンと咳払い。
「え、えーっと。依頼だったね? 依頼は『困りごと』みたいなものかな。依頼人の望みを、冒険者たちが叶えてあげるんだ。学園内にもギルドがあるよ」
「そういえば、そんな風に聞いたな」
「学園の依頼のほとんどは学生から。たまに先生たちからも依頼が入るよ。まぁ、部活動で使う薬草や資材の採集とか、ダンジョンでの素材収集、部室の掃除とかもあるよ」
「ふむふむ」
メモを取る俺。
サリオは続ける。
「王都の冒険者ギルドでも依頼は受けられるけど、やっぱりベテラン冒険者さんたちにいい依頼は持っていかれるね。依頼が張り出される早朝は、ぼくたち寮にいるし。まぁ……早起きしてギルドにでかける生徒もいる」
「なるほど……」
「長期依頼なんかを受けたら、学園に申請が必要だよ。例えば、隣町までの護衛依頼とか、届け物とか。魔獣退治とか」
「魔獣討伐やりてーな。な、レイたちに言って、王都で魔獣討伐依頼受けようぜ。スキルレベルも上げたいし」
「魔獣討伐……」
いいな。やってみたい。
それに、スキルレベル。
今の俺のスキルストックは、『炎龍闘気』と『樹龍闘気』だけ。二つしかストックできないから、レベルを上げてあと一つはストック枠を増やしたい。二つの闘気は消すこともできるけど……ドラゴンの闘気、そのまま残しておきたい。
「さて、午後は格闘部門で腕を磨いてくるぜ」
「ぼくは回復部門でレベルを上げるよ」
「俺は歴史部門で勉強だ」
「「……」」
「な、なんだよ」
「いや、鍛えろよ」
レノ。身体を鍛えるだけが強さに繋がるわけじゃないぞ。
真っ暗で何も見えない……でも、目の前に、小さな金色の灯りが。
『……久しいな』
「その声、エンシェントドラゴン……」
光から、声がした。
ああ、これは忘れようのない声。
『やれやれ。力だけを継承させたつもりが、我が意志の一部も核に残っていたようじゃ。ふふ……ドラゴンとは、実にしぶとい』
「あはは。でも、また話せて嬉しい。それに……ちゃんと、お礼も言いたかった」
『お礼?』
「ああ。スヴァローグを倒すのに、力を貸してくれた」
『構わん。あれは、お前の力を引き出し、スキルを使いやすく調整したにすぎん』
いや、かなりありがたいぞ。
エンシェントドラゴンの声は続ける。
『ふむ、スヴァローグにリンドブルムの力を吸収したか。だがレベルは2……ストックできるスキルも2つが限度。欲しいスキルがあるなら、『捕食右龍』で喰らえ。『闘精左龍』での闘気精製も、マシになったはずじゃ』
「アジ・ダハーカ?」
『腕の名じゃ。カッコいいじゃろ?』
「ま、まぁいいけど。あとさ……スヴァローグ、お前の子共なんだよな? 倒しちゃったけど」
『構わん。リンドブルム以外は全員、わしの命を狙っていた。いずれは戦わねばならん運命だった……』
エンシェントドラゴンは辛そうに言った。
『気を付けろ。ワシの力を狙い、リンドブルム以外のドラゴンが動き出す。人間の中に溶け込む者、組織を率い狙う者、傍観する者……特に、ファフニールには気を付けよ』
「ファフニール?」
「あ奴は、人間と変わらん。ワシでさえ、『偽装』したファフニールに気付かなんだ。人間になりすまし、人間としてお前に接してくる……油断するな』
「……ヤバいのか?」
『直接、力で支配するような奴ではない。だが、スヴァローグが千体いようと、ファフニールに傷一つ付けられんだろうな』
「えー……」
『ふふ。まぁ大丈夫じゃ。ワシの力、使いこなせよ』
「ああ。わかった。筋トレ頑張るよ」
『ああ───』
と、光が徐々に弱くなり───。
◇◇◇◇◇
「……っ!!」
俺はベッドから飛び起きた。
「……夢?」
エンシェントドラゴンとの会話……夢じゃない?
ベッドから起き、身体を捻る。
「ん~……よし!! 早朝ランニング行くか!!」
闘技大会から、十日が経過……日常が戻ってきた。
俺は運動着に着替え、部屋を出る。
寮の前で準備運動をして、ゆっくり走り出した。
走り出して間もなく、女子寮の前で準備運動をするレイを見つけた。レイは俺を見るなり一緒に並んで走り出す。
「おはよ」
「ああ」
闘技大会後、俺たちはジョギングを始めた。
朝食前の一時間、ゆっくり流すように身体をほぐしていく。
「そういえば、学園ダンジョンの危険階層のことだけど……あそこの階段、消滅したそうよ」
「え、そうなのか?」
「ええ。鎖で封鎖されててわかりにくかったけど、管理人が扉を確認しようとしたら、先に進む階段が消えてたそうよ。それを確認した瞬間に、通路も消えてただの壁になったみたい」
「へぇ……」
思わず右手を見る。
スキルイーター・レベル2……まさかとは思うけど。
「あのスキルを取ったから、役目を終えて消えたのかもね」
「……かもな」
「というわけで、闘技大会も終わったし、次はダンジョン攻略と依頼を受けて冒険者等級を上げるわよ。レノ、サリオに声かけておいて。アピアにはあたしが言うから」
「ああ。って……依頼?」
「そうよ。冒険者なら依頼を受けないと」
「そ、そうだな」
…………あとでサリオに聞いておくか。
◇◇◇◇◇
「依頼って言うのは、文字通り依頼だね」
「まんまじゃねぇか。ってかリュウキ、冒険者のこともっと勉強しておけ」
「うぐぅ」
ぐぅの音も出ないとはこのとこだ。
現在、俺たちは午前の授業を終え、校内にある大食堂でお昼を食べている。
たまには食堂を、とも思ったけど。
「臆病者……」「敵前逃亡だってよ」「だっさぁ」
「あれで冒険者やれんのか?」「貴族を追放されたってのも納得」
ひそひそと、俺を悪く言う声。
「気にすんな。陰口しか叩けねぇクソクズゴミ冒険者モドキなんかより、逃げても堂々とメシ食ってるお前のがすげぇ。あんな陰口しか叩けねぇゴミクズなんてクソの掃き溜めみてえな場所で内臓まき散らして野垂れ死にするに決まってる。声が出る汚物以下の害虫魔獣だと思え」
「く、口悪すぎる……れ、レノぉ」
サリオが青ざめている。というかレノの話、めちゃくちゃ周りに聞こえてる。
ってか口悪い……ちょっと笑ってしまった。
あと、周りが青ざめてシーンとしてる。闘技大会でレノが好成績を出したことをみんな知ってるからな。
サリオがコホンと咳払い。
「え、えーっと。依頼だったね? 依頼は『困りごと』みたいなものかな。依頼人の望みを、冒険者たちが叶えてあげるんだ。学園内にもギルドがあるよ」
「そういえば、そんな風に聞いたな」
「学園の依頼のほとんどは学生から。たまに先生たちからも依頼が入るよ。まぁ、部活動で使う薬草や資材の採集とか、ダンジョンでの素材収集、部室の掃除とかもあるよ」
「ふむふむ」
メモを取る俺。
サリオは続ける。
「王都の冒険者ギルドでも依頼は受けられるけど、やっぱりベテラン冒険者さんたちにいい依頼は持っていかれるね。依頼が張り出される早朝は、ぼくたち寮にいるし。まぁ……早起きしてギルドにでかける生徒もいる」
「なるほど……」
「長期依頼なんかを受けたら、学園に申請が必要だよ。例えば、隣町までの護衛依頼とか、届け物とか。魔獣退治とか」
「魔獣討伐やりてーな。な、レイたちに言って、王都で魔獣討伐依頼受けようぜ。スキルレベルも上げたいし」
「魔獣討伐……」
いいな。やってみたい。
それに、スキルレベル。
今の俺のスキルストックは、『炎龍闘気』と『樹龍闘気』だけ。二つしかストックできないから、レベルを上げてあと一つはストック枠を増やしたい。二つの闘気は消すこともできるけど……ドラゴンの闘気、そのまま残しておきたい。
「さて、午後は格闘部門で腕を磨いてくるぜ」
「ぼくは回復部門でレベルを上げるよ」
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