追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

文字の大きさ
83 / 109
第七章

強敵

 俺は闘気を全開にし、右腕を巨大化させ身体を隠すように広げた。
 すると、キルトの指示で魔法部隊が俺に向かって魔法を放ってくる。
 火、水、風、氷、雷……いろいろな属性だ。しかも、レベルも高い。
 でも───俺は全く恐怖を感じていなかった。
 魔法は全て、俺の開いた手に直撃する。だが、僅かな衝撃だけで傷一つ付かない。

「あぁ? クソが、なかなかの防御力だ。なんの『獣化』だ? まぁいい、魔法部隊はそのまま魔法を放て。近接部隊は前へ、中距離部隊は援護しろ!!」
「「「「「「了解!!」」」」」」

 なかなか統率の取れた部隊だ。
 チームに熟練の冒険者がいるせいでもある。明らかに三十代、四十代の男が混ざってるもんな。
 近接部隊が、武器を構えて迫って来る……が、前ばかり気にしているわけにもいかない。

『ガァァァァァァァ!!』
「チッ、こっちもか」

 巨大な赤鬼だ。手に持った大剣に火が付き、身体の各所もメラメラ燃えている。
 こいつ、エンシェントドラゴンの知識にある。大罪魔獣の一体、『憤怒の鬼帝』スルトだ。
 ステュムパリデスもミドガルズオルムもだけど……大罪魔獣、七体のうち三体もイザベラが飼っているようだ。
 まずは、迫って来る人間の方から対処するか。

「『闘気開放』」

 闘気を全開にし、床を蹴る。
 床が砕け、近接部隊の一人の目の前へ。

「!?」
「安心しろ、殺しはしない」

 闘気を込めた右手で数発殴ると、吹き飛んで壁に激突しめり込んだ。
 俺が殴ったのは、両腕と両足。戦えないように、立てないように骨を砕いた。
 殺してもいいけど、殺すより裁いた方が効きそうだしな。

「このっ!!」

 すると、俺の背後に来た男が斧を振う。
 俺は斧をデコピンで砕き、四肢を殴り骨を砕いた。
 さらに、双剣を構えていた細身の女へ接近。腕ではなく両手首を叩いて骨を砕き、蹴りで膝を砕いた。足が変な方向に曲がり女は絶叫する。

「ひるむんじゃねぇ!! 全員でかかれば必ず隙ができる!! 怪我してもあとでオレが治してやる!! 恐れるな、行けぇぇぇぇっ!!」

 キルトが命令すると、冒険者たちは襲い掛かって来る。
 魔法がいくつも飛んできたので躱し、中距離部隊が矢を放つ。俺はその矢を何本か掴み、背後から迫ってきているスルトの顔面に向かって投げた……が、スルトの顔に刺さらず、なんと皮膚で弾かれた。
 
「あいつは直接叩くか、闘気の武器じゃないと無理か」
「っしゃぁぁぁ!!」

 『加速』のスキル、さらに支援魔法で強化したナイフ使いの少女が連続攻撃してくる。こいつ確か、Aクラスの新入生だな。
 俺はそいつの両手を掴んで動きを止め、軽く握った。

「っぎ、やぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 ベギョボギグシャ、と音がして少女の手首を破壊される。
 手首がだらんと落ち、少女は座りこんで絶叫した。
 不思議だ。全く罪悪感がない……関わりがないとはいえ、同じ学年、同い年の少女なのに。
 すると、ようやくキルトが気付いた。

「……ただの『獣化』じゃねぇ。あの野郎、一体何の動物をモチーフにした『獣化』を手に入れたんだ!? ええい、プリメラ!!」
「はい!!」

 プリメラが前に出て、杖を俺へ向ける。
 かつては婚約者だったこともあるのに……俺へ対する攻撃に、なんの躊躇いもなかった。

「重力魔法、『グラビトン』!!」
「っ!!」

 身体が重くなる。強大な『圧』がかかる。
 何か、上から押されているような……これがプリメラのスキルか。
 でも、俺は平然と立つ。

「くっ……れ、レベル25の魔法を、こんな」
「……この程度か?」
「なっ」
「『闘気精製ドラゴンスフィア』───〝サイス〟」

 俺は片手用の鎌を造り、プリメラに向かって投げた。
 ハッとしたプリメラは魔法を解除して避けようとするが、少し遅い。
 魔法を解除、横へ逃げようとして───杖を持つ右腕が、肘から切断された。

「あ、あ、あ……あ、ぁ……あ、アァァァァッ!? う、腕がぁァァァァァァァァァァ!?」

 ボトリと落ちる腕。肘から噴き出す血を何とか押さえるプリメラ。

「ぷ、プリメラぁぁぁぁぁぁぁっ!! テメェ、よくも!!」
「…………」

 もう、面倒くさいな。
 
「スキルイーター・セット……『樹龍闘気』」

 黄緑色の闘気が俺の両手を包み込む。
 俺は両手を床に突き刺し、闘気を一気に解放───床を突き破り、大量の『樹』が生えてきた。
 その樹の枝や蔦が伸び、冒険者たちを全員拘束する。腕、足、首に絡みつく樹は並みの武器やスキルでは傷つけられない。ドラゴンの闘気で作り出した木を舐めるな。

「『樹龍群生リンドブルム』……この技は大勢を拘束する技だ。一対多数なんてよくありそうだしな、いい技で助かるよ、リンドブルム」
「こ、この、野郎……」
『ギ、ォォォォ!!』
「くっ……キルト!! そいつを始末しなさい!!」

 イザベラとスルトも拘束できたようだ。
 俺は、手のひらサイズの球体を造り、イザベラに向かって投げる。

「ぁん!?」

 鉄球は頭に直撃。イザベラの額から血が噴き出し、がっくりと気絶した。
 スルトはいずれ拘束を破るだろう……その前に、やることがある。

「キルト、これで一対一だ。本気でやろうか」
「い、一対一……!?」

 怪我人も含め、チーム『アークライト』は全員拘束した。
 俺は腕を交差し呟く。

「『第二解放セカンドリベレーション』」

 腕から伸びた鱗が身体を覆い、翼も生える。
 ギョッとしたキルトは、杖を構え向けた。

「く、くっ……く、ははははははははっ!! いいね、いいね兄貴!! いいぜ、やってやる!! オレは『大賢者』キルトだ!! レジェンドスキルの、新たな王となる男だ!!」
「…………」
「大賢者魔法……来たれ隕石、『メテオ

 俺は一瞬でキルトの懐へ潜り込み、右手で頬をビンタした。

「がぶぅわっぱ!?」

 空中で回転しながら吹っ飛び地面を転がるキルト。
 頬がパンパンに膨れ、鼻血もボタボタ流れ涙を浮かべている。

「ぼ、ぼぉ、て、テメェ」
「立てよ。まだ終わりじゃないぞ」

 キルトは立ち上がる。
 ああ、この眼だ……昔から、キルトはこんな目で俺を見ていた。
 見下すような、でも、どこか羨ましそうな……そんな目。

「ちくしょう、ちくしょぉぉぉぉ!! 大賢者まほ

 再びビンタ。またしてもキルトは吹っ飛んだ。

「びゅぱぁ!?」
「…………立てよ」
「は、は、はぁ……く、くそ、が」

 キルトは立つ。
 
「てめぇ、なんかに……く、ははは。魔力を失ったカスに、負けるか。オレのが、優れてるんだ。おまえ、なんかに、まけるか……まける、カァァァァァ!!」
「そうか。もういいよ」
「───……っ!!」

 俺は接近し、キルトの杖をキルトの腕ごとへし折った。

「ギャァァァァァァァァァァァ!?」
「お前が俺をどう思ってるのか知らないし、知りたくもない。でもな、キルト……お前が屋敷に来た時、俺はお前のことを本当の弟のように、可愛がろうと思ってたよ」
「は、お、オレは……オレはテメェのこと、兄貴だなんて思ったことなかった、ぜ!!」
「そうか……さよなら、キルト」

 俺は拳を強く握り、キルトの顔面を叩き潰すように殴った。
 顔面が陥没したキルトは吹っ飛び、近くに樹に激突。蔦が絡みつき、そのまま気を失った。
 
『グァァァァァ!! グァァァァァ!!』

 俺はもう、キルトを見なかった。
 暴れるスルトの叫び。蔦を切っては絡みつき、切っては絡みつくの繰り返しだ。
 俺は跳躍し、右手を巨大化させ強く握る。そして、そのまま振りかぶってスルトの頭に叩きつけた。

「『龍槌ドラハンマ』!!」

 バギャッ!! と、頭蓋骨が砕け脳が鼻や耳から噴きだした。スルトの目は真っ赤になり、そのまま死亡……首を切断し、身体は右手で食う。

「───……お!! スキルレベル上がった。レベル4、スキルのストック数1つ増えた。さらにスルトのスキル『凶戦士・火』……これはいらないな」

 全ての攻撃力が三倍になるが理性を失い、身体が燃えて火属性を獲得するスキルだ。強いんだろうけど、理性を失うってところで使い道がない。
 まぁ、いい。

「あとは……こいつだけか」

 俺は、額から血を流し気絶するイザベラを見た。
感想 33

あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強

こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」  騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。  この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。  ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。  これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。  だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。  僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。 「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」 「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」  そうして追放された僕であったが――  自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。  その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。    一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。 「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」  これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。