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第七章
大罪魔獣『憤怒の鬼帝』スルト
宮殿内にいるギガントマキアの連中をひたすら倒して進む。
「『闘気精製』───〝黄金球《ゴールデンボウル》〟!!」
巨大な黄金の《球》を造り、通路を転がす。
ギガントマキアの連中は逃げるがあっという間に追いつかれぺしゃんこに潰された。辛うじて躱した奴もいるが、俺は瞬時に接近。
「『龍薙』!!」
「「「「「ぐぎゃぁぁぁ!?」」」」」
右手で薙ぐと吹き飛ばされ、宮殿の壁に激突する。
最低でも、十か所以上は骨折させてから倒す。足をへし折れば立つこともできないし、治療系スキルを持つ奴がいても、まず自分を治すだろう。高レベルの回復スキルでも、骨折を治すのには時間がかかるってサリオも言ってた。
なるべく体力は温存したいけど、敵が多い。
俺は走りながら思う。
「みんな、大丈夫かな……」
リンドブルムがいれば、人間相手は問題ない。
問題は、ここにいるドラゴンだ。
双子のドラゴン……最悪の場合、二対一……いや、最悪というか、その可能性が高すぎる。
今だから思う。
「……勝てるかな」
スヴァローグとは比べ物にならない強さなのは間違いない。仮にリンドブルムと一緒に戦っても、勝てる可能性はかなり低い。
「それでも───……やるんだ。アキューレを助けるんだ」
仲間を守る。
俺はもう、あんな思いはしたくない。
レイの弟、ロイ……何もできず死んだ、あの少年。
何の力もないあのころとは違う。俺には、エンシェントドラゴンが付いている。
「ん、十字路か……どっちだ?」
目の前に十字路があった。
というか、この宮殿は広い。どこにいけばアキューレがいるのかな?
俺は十字路の手前で立ち止まり、方向を。
『グォォォォォォォォォッッッ!!』
「え」
何か、いた。
十字路の壁に沿って隠れていた。
巨大な赤い『鬼』が、大剣を振りかぶっていた。
なんだこいつ。いつの間に。え、やば、防御。
「───……っっっ!!」
右腕を掲げると、恐ろしい衝撃が襲い掛かってきた。
巨大な岩石を受け止めたような、不意に倒れてきたタンスを無茶な姿勢で支えて抑えきれずにそのまま倒れてしまったような。
床に亀裂が入る。圧死しそうな衝撃。
『グォアァァァァァァァァ!!』
「う、っぎ、ぬ……あ、ァァァァァァァァァァ!!」
右手を巨大化させ、闘気を振り絞って全身を強化し、薙ぎ払う。
大剣を薙ぎ払った『鬼』はすぐに態勢を立て直し、横薙ぎに剣を振う。
十字路の壁がめちゃくちゃに破壊されていく。それでも剣を振るい、俺の身体を両断しようと迫って来る……な、なんなんだこいつは。
俺は十字路の先にあるドアをブチ破り、中へ飛び込んだ。
「魔法部隊、全魔法発射ぁ!!」
「はぁ!?」
中に飛び込んだ瞬間、横一列に並んだ冒険者たちが、一気に魔法を放つ。
その中に───……プリメラがいた。
驚きつつも、俺は左手を構える。
「ど、『闘気精製』───〝黄金盾《ゴルシルド》〟!!」
黄金の盾を造り、俺の前に立てる。
だが、慌てて作った盾では強度が不完全だったのか、大勢の魔法を受けて亀裂が入る。
「大賢者魔法───『インフェルノ』!!」
そして、聞きなれた声……キルトの魔法で、俺の盾が粉砕された。
だが、盾が砕ける瞬間、俺は横っ飛びで魔法を回避。
ようやく、周りを見ることができた。
「……き、キルト」
「よお、兄貴」
「プリメラも……なんで、ここに」
「ふふ、そんなの決まってるわ」
そして、背後からドアと壁をブチ破り、赤い鬼が入ってきた。
そいつを従えるように、若い女も一緒に。
「答えは簡単。我々はギガントマキア……ドラゴンの国の、偉大なる使徒だから」
「……だ、誰だ?」
「ああ、わからない? ふふ……イザベラよ? あなたの継母」
「……は?」
バカな。
イザベラは三十後半だったはず。でも、目の前にいる女は俺より少し上くらいだ。
俺は女からキルトへ視線を移す。
「へぇ、兄貴……それが『獣化』スキルか。使いこなすのが難しいスキルって聞いたことあるぜ? ああ、無くした魔力の代わりに、身体を鍛えたってわけ? バカみてぇな考えだぜ」
「キルト!! お前、ギガントマキアが何なのか知ってんのか!? こんなことしてるのが学園にバレたら退学、冒険者資格も剥奪されるぞ!!」
「だから?」
「……え」
ギガントマキアは、冒険者ギルドや王国が討伐依頼を出すような組織だ。ギガントマキアから依頼を受けたり報酬をもらうことは、冒険者ギルドが硬く禁じている。
国相手にいろいろやらかしたことも多いらしい。今では、世界で最も凶悪な犯罪組織として討伐対象になっている。
イザベラがギガントマキアの構成員とは知っていたが、まさかキルトまで。
「もう冒険者とか学園とかどうでもいいんだよ。そんなもんより、でっかい『力』が目の前にぶら下がってる!! オレは、地方の田舎貴族の後継者じゃねぇ、田舎王国の王様じゃねぇ、でっかい力の、でっかい国の王になる!! く、ははははははははっ!!」
「……キルト」
「兄貴。ギガントマキアの討伐依頼でも受けたか? それとも、あっちでイジられてるお姫様の救出か? だとしても、ここに踏み込んだ時点で、お前の負けだ。どうする? 兄弟のよしみで、命は助けてやってもいいぜ?」
「…………」
もう───……キルトは、手遅れだった。
何がキルトをここまで歪めてしまったのか……ああ、イザベラしかいない。
だったら、ここで終わらせるべきなのかもしれない。
「どうする? また逃げ出すか? なぁ、腰抜け兄貴よぉ!!」
「逃げないよ」
俺はキルトに向かって真っすぐ言う。
「キルト、大会での決着、今ここでつけよう……あの時の決勝戦を、ここで」
「ハ、逃げないのは立派だぜ? でも、あの時とは違う。悪いねぇ、フクロにさせてもらうぜ」
「…………ああ」
俺は闘気を全開にする……もう、出し惜しみはしない。
構えを取り、キルトに向かって言った。
「いくぞキルト……ここで、決着を付けようか!!」
「『闘気精製』───〝黄金球《ゴールデンボウル》〟!!」
巨大な黄金の《球》を造り、通路を転がす。
ギガントマキアの連中は逃げるがあっという間に追いつかれぺしゃんこに潰された。辛うじて躱した奴もいるが、俺は瞬時に接近。
「『龍薙』!!」
「「「「「ぐぎゃぁぁぁ!?」」」」」
右手で薙ぐと吹き飛ばされ、宮殿の壁に激突する。
最低でも、十か所以上は骨折させてから倒す。足をへし折れば立つこともできないし、治療系スキルを持つ奴がいても、まず自分を治すだろう。高レベルの回復スキルでも、骨折を治すのには時間がかかるってサリオも言ってた。
なるべく体力は温存したいけど、敵が多い。
俺は走りながら思う。
「みんな、大丈夫かな……」
リンドブルムがいれば、人間相手は問題ない。
問題は、ここにいるドラゴンだ。
双子のドラゴン……最悪の場合、二対一……いや、最悪というか、その可能性が高すぎる。
今だから思う。
「……勝てるかな」
スヴァローグとは比べ物にならない強さなのは間違いない。仮にリンドブルムと一緒に戦っても、勝てる可能性はかなり低い。
「それでも───……やるんだ。アキューレを助けるんだ」
仲間を守る。
俺はもう、あんな思いはしたくない。
レイの弟、ロイ……何もできず死んだ、あの少年。
何の力もないあのころとは違う。俺には、エンシェントドラゴンが付いている。
「ん、十字路か……どっちだ?」
目の前に十字路があった。
というか、この宮殿は広い。どこにいけばアキューレがいるのかな?
俺は十字路の手前で立ち止まり、方向を。
『グォォォォォォォォォッッッ!!』
「え」
何か、いた。
十字路の壁に沿って隠れていた。
巨大な赤い『鬼』が、大剣を振りかぶっていた。
なんだこいつ。いつの間に。え、やば、防御。
「───……っっっ!!」
右腕を掲げると、恐ろしい衝撃が襲い掛かってきた。
巨大な岩石を受け止めたような、不意に倒れてきたタンスを無茶な姿勢で支えて抑えきれずにそのまま倒れてしまったような。
床に亀裂が入る。圧死しそうな衝撃。
『グォアァァァァァァァァ!!』
「う、っぎ、ぬ……あ、ァァァァァァァァァァ!!」
右手を巨大化させ、闘気を振り絞って全身を強化し、薙ぎ払う。
大剣を薙ぎ払った『鬼』はすぐに態勢を立て直し、横薙ぎに剣を振う。
十字路の壁がめちゃくちゃに破壊されていく。それでも剣を振るい、俺の身体を両断しようと迫って来る……な、なんなんだこいつは。
俺は十字路の先にあるドアをブチ破り、中へ飛び込んだ。
「魔法部隊、全魔法発射ぁ!!」
「はぁ!?」
中に飛び込んだ瞬間、横一列に並んだ冒険者たちが、一気に魔法を放つ。
その中に───……プリメラがいた。
驚きつつも、俺は左手を構える。
「ど、『闘気精製』───〝黄金盾《ゴルシルド》〟!!」
黄金の盾を造り、俺の前に立てる。
だが、慌てて作った盾では強度が不完全だったのか、大勢の魔法を受けて亀裂が入る。
「大賢者魔法───『インフェルノ』!!」
そして、聞きなれた声……キルトの魔法で、俺の盾が粉砕された。
だが、盾が砕ける瞬間、俺は横っ飛びで魔法を回避。
ようやく、周りを見ることができた。
「……き、キルト」
「よお、兄貴」
「プリメラも……なんで、ここに」
「ふふ、そんなの決まってるわ」
そして、背後からドアと壁をブチ破り、赤い鬼が入ってきた。
そいつを従えるように、若い女も一緒に。
「答えは簡単。我々はギガントマキア……ドラゴンの国の、偉大なる使徒だから」
「……だ、誰だ?」
「ああ、わからない? ふふ……イザベラよ? あなたの継母」
「……は?」
バカな。
イザベラは三十後半だったはず。でも、目の前にいる女は俺より少し上くらいだ。
俺は女からキルトへ視線を移す。
「へぇ、兄貴……それが『獣化』スキルか。使いこなすのが難しいスキルって聞いたことあるぜ? ああ、無くした魔力の代わりに、身体を鍛えたってわけ? バカみてぇな考えだぜ」
「キルト!! お前、ギガントマキアが何なのか知ってんのか!? こんなことしてるのが学園にバレたら退学、冒険者資格も剥奪されるぞ!!」
「だから?」
「……え」
ギガントマキアは、冒険者ギルドや王国が討伐依頼を出すような組織だ。ギガントマキアから依頼を受けたり報酬をもらうことは、冒険者ギルドが硬く禁じている。
国相手にいろいろやらかしたことも多いらしい。今では、世界で最も凶悪な犯罪組織として討伐対象になっている。
イザベラがギガントマキアの構成員とは知っていたが、まさかキルトまで。
「もう冒険者とか学園とかどうでもいいんだよ。そんなもんより、でっかい『力』が目の前にぶら下がってる!! オレは、地方の田舎貴族の後継者じゃねぇ、田舎王国の王様じゃねぇ、でっかい力の、でっかい国の王になる!! く、ははははははははっ!!」
「……キルト」
「兄貴。ギガントマキアの討伐依頼でも受けたか? それとも、あっちでイジられてるお姫様の救出か? だとしても、ここに踏み込んだ時点で、お前の負けだ。どうする? 兄弟のよしみで、命は助けてやってもいいぜ?」
「…………」
もう───……キルトは、手遅れだった。
何がキルトをここまで歪めてしまったのか……ああ、イザベラしかいない。
だったら、ここで終わらせるべきなのかもしれない。
「どうする? また逃げ出すか? なぁ、腰抜け兄貴よぉ!!」
「逃げないよ」
俺はキルトに向かって真っすぐ言う。
「キルト、大会での決着、今ここでつけよう……あの時の決勝戦を、ここで」
「ハ、逃げないのは立派だぜ? でも、あの時とは違う。悪いねぇ、フクロにさせてもらうぜ」
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