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ジャバウォック
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「ごっぷぁぁぁっ!?」
アルベロの右拳をモロに喰らったアベルは、何度も地面を転がって百メートル以上転がった。
アルベロの怒りはこの程度で収まらない。転がったアベルに向かって走り出す。
「な───っ」
途中、エステリーゼとすれ違ったが、アルベロは見向きもしなかった。
それ以上に、速い。どういうわけか、身体能力が爆上がりしていた。
普段のアルベロの数十倍。あっという間にアベルに追いつく。
「てめっっぶぎゃっ!?」
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」
起き上がろうとしたアベルの顔面に拳が突き刺さる。
そして、アルベロはアベルに馬乗りになり、右拳で顔面を何度も殴った。
一撃一撃が、恐るべき威力の拳だ。人間が喰らえば粉砕骨折どころではない。当たり所が悪ければ即死する一撃を、アベルに何度も浴びせた。
「うぐぅぅぅぅぁがぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そして、アルベロは右手でアベルの顔面をわしづかみし上空へぶん投げ、自分も跳躍。
意識が朦朧としているアベルを、上空数十メートルから殴りつけた。
アベルは地面に激突し、巨大なクレーターを形成する。
アルベロは着地し、黄金の右目をギラつかせアベルに叫ぶ。
「起きろよクソ野郎がぁぁぁ!! テメェの内臓引きずりだして目の前でぐちゃぐちゃにしてやらぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ボコボコと、右腕が痙攣していた。
そして、顔面を腫らしたアベルが起き上がる……魔人と呼ぶにふさわしい耐久力だが、顔面は緑の血が流れ腫れあがっていた。
「殺す……殺すぅぅぅぅぅっ!!」
「うるっせぇぇ!! テメェを殺すのは俺だぁぁぁっ!!」
「ガァァァァァッ!!」
ボコボコと、アベルの姿が変わっていく。
ヒトの姿ではない。巨大な『口』のような、赤ちゃんみたいな手が付いた異形のバケモノだ。
『暴食』の魔人アベル。魔帝が生み出した最強の召喚獣の一体。
その真の姿は、なんでも食う『口』だった。
巨大な歯が並び、噛まれたら即死する。
だが、アルベロは臆しない。
「でけぇ口だな……その歯、へし折ってやるよ」
アルベロは跳躍し、右腕を構える。
そして、上空で拳を突き出した瞬間───アルベロの右腕が巨大化した。
「ガァ!?」
「潰してやる……クソ野郎が!!」
巨大化した腕は、アベルを地面に押しつぶした。
地震のような振動が大地を揺らす。
着地したアルベロは右腕を元の大きさに戻した。
アベルはぺしゃんこに潰れているが……死んではいない。
「まだ生きてやがる……」
そして、聞こえた。
『能力を使うんだ───』
まるで、モグのような声。
腕部の巨大化、伸縮はあくまで腕の機能。
召喚獣としての能力はまだ使用していない。すると、潰れたはずのアベルの身体が盛り上がり、元の大きさに戻った。
『そんなの、オレに効くか!! 打撃は全て吸収する。この身体を舐めんじゃねぇぞ!!』
アベルは大口を開けた。すると、白い光が集まっていく。
白い炎……アベルの魔法が、アルベロに降りかかろうとしていた。
アルベロは、半壊した校舎の壁を右腕でつかみ、盾のように構えた。
『そんな木屑で防御ができるか!! ガァァァァァッ!!』
白炎が吐き出され、アルベロを襲う。
人間形態で放っていたのとは規模が違う。アルベロのいた場所は白い炎に包まれた。
轟々と地面が燃える。
『ハッ……焼け死んだか』
「だれが?」
『───はっ!?』
白炎が収まり、中から現れたのは……校舎の壁を盾にしたアルベロだった。
おかしい。校舎の壁は燃えるどころか傷一つ付いていない。
アルベロは校舎の壁を投げ捨て、言う。
「教えてやるよ。俺の召喚獣『ジャバウォック』の能力は『硬化』……右腕で触れた物を究極まで硬くする。お前の炎程度で壊せるわけない。俺でも壊せないんだからな」
『な……』
「じゃあ、終わりだ……後悔して死ね」
アルベロは、そっと右腕をアベルに向ける。
「───!?」
すると、アベルは一歩も動けなかった。
それどころか、呼吸もできない。
声も出ない。ピクリとも動けない───アルベロが、何かをやっていた。
「さっさと死ねよ……クソ野郎が」
アルベロが行っていたのは、究極の硬化だった。
空間を、僅かな塵芥も、酸素も───時間すらも硬化してしまう。
空気が固定されているので呼吸もできない。空間が硬化しているので動けない。意識だけがはっきりした状態で、ゆるりと死を迎えるのだ。
「───」
動けなかった。
叫べなかった。
涙も流せなかった。
アベルは、ゆるやかに死へ向かっている。
この能力はヤバい……そう、仲間に伝えることもできない。
そして……アベルは命が尽きるまで後悔を続けた。
「潰れろ」
そして、アベル自信を硬化する。
右手が触れたもの。つまり、空気だって右腕に触れている。空気を伝いアベルの周辺を、時間や空間をも硬化させる。さらに、アルベロは硬化させた空間を動かし、アベルの身体を圧縮していった。
もはや、理論など不明。固めて潰すという作業だった。
『───』
眼球すら動かせず、真空状態なので声も出ない。
痛みや思考はばっちり残っているので、苦しみだけはあった。
アルベロは、圧縮され潰れていくアベルに言った。
「消えろ、クソ召喚獣が」
ぶちゅん。
手のひらに収まる大きさとなったアベルは、水っぽい音を立てて圧死した。
アルベロの右拳をモロに喰らったアベルは、何度も地面を転がって百メートル以上転がった。
アルベロの怒りはこの程度で収まらない。転がったアベルに向かって走り出す。
「な───っ」
途中、エステリーゼとすれ違ったが、アルベロは見向きもしなかった。
それ以上に、速い。どういうわけか、身体能力が爆上がりしていた。
普段のアルベロの数十倍。あっという間にアベルに追いつく。
「てめっっぶぎゃっ!?」
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」
起き上がろうとしたアベルの顔面に拳が突き刺さる。
そして、アルベロはアベルに馬乗りになり、右拳で顔面を何度も殴った。
一撃一撃が、恐るべき威力の拳だ。人間が喰らえば粉砕骨折どころではない。当たり所が悪ければ即死する一撃を、アベルに何度も浴びせた。
「うぐぅぅぅぅぁがぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そして、アルベロは右手でアベルの顔面をわしづかみし上空へぶん投げ、自分も跳躍。
意識が朦朧としているアベルを、上空数十メートルから殴りつけた。
アベルは地面に激突し、巨大なクレーターを形成する。
アルベロは着地し、黄金の右目をギラつかせアベルに叫ぶ。
「起きろよクソ野郎がぁぁぁ!! テメェの内臓引きずりだして目の前でぐちゃぐちゃにしてやらぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ボコボコと、右腕が痙攣していた。
そして、顔面を腫らしたアベルが起き上がる……魔人と呼ぶにふさわしい耐久力だが、顔面は緑の血が流れ腫れあがっていた。
「殺す……殺すぅぅぅぅぅっ!!」
「うるっせぇぇ!! テメェを殺すのは俺だぁぁぁっ!!」
「ガァァァァァッ!!」
ボコボコと、アベルの姿が変わっていく。
ヒトの姿ではない。巨大な『口』のような、赤ちゃんみたいな手が付いた異形のバケモノだ。
『暴食』の魔人アベル。魔帝が生み出した最強の召喚獣の一体。
その真の姿は、なんでも食う『口』だった。
巨大な歯が並び、噛まれたら即死する。
だが、アルベロは臆しない。
「でけぇ口だな……その歯、へし折ってやるよ」
アルベロは跳躍し、右腕を構える。
そして、上空で拳を突き出した瞬間───アルベロの右腕が巨大化した。
「ガァ!?」
「潰してやる……クソ野郎が!!」
巨大化した腕は、アベルを地面に押しつぶした。
地震のような振動が大地を揺らす。
着地したアルベロは右腕を元の大きさに戻した。
アベルはぺしゃんこに潰れているが……死んではいない。
「まだ生きてやがる……」
そして、聞こえた。
『能力を使うんだ───』
まるで、モグのような声。
腕部の巨大化、伸縮はあくまで腕の機能。
召喚獣としての能力はまだ使用していない。すると、潰れたはずのアベルの身体が盛り上がり、元の大きさに戻った。
『そんなの、オレに効くか!! 打撃は全て吸収する。この身体を舐めんじゃねぇぞ!!』
アベルは大口を開けた。すると、白い光が集まっていく。
白い炎……アベルの魔法が、アルベロに降りかかろうとしていた。
アルベロは、半壊した校舎の壁を右腕でつかみ、盾のように構えた。
『そんな木屑で防御ができるか!! ガァァァァァッ!!』
白炎が吐き出され、アルベロを襲う。
人間形態で放っていたのとは規模が違う。アルベロのいた場所は白い炎に包まれた。
轟々と地面が燃える。
『ハッ……焼け死んだか』
「だれが?」
『───はっ!?』
白炎が収まり、中から現れたのは……校舎の壁を盾にしたアルベロだった。
おかしい。校舎の壁は燃えるどころか傷一つ付いていない。
アルベロは校舎の壁を投げ捨て、言う。
「教えてやるよ。俺の召喚獣『ジャバウォック』の能力は『硬化』……右腕で触れた物を究極まで硬くする。お前の炎程度で壊せるわけない。俺でも壊せないんだからな」
『な……』
「じゃあ、終わりだ……後悔して死ね」
アルベロは、そっと右腕をアベルに向ける。
「───!?」
すると、アベルは一歩も動けなかった。
それどころか、呼吸もできない。
声も出ない。ピクリとも動けない───アルベロが、何かをやっていた。
「さっさと死ねよ……クソ野郎が」
アルベロが行っていたのは、究極の硬化だった。
空間を、僅かな塵芥も、酸素も───時間すらも硬化してしまう。
空気が固定されているので呼吸もできない。空間が硬化しているので動けない。意識だけがはっきりした状態で、ゆるりと死を迎えるのだ。
「───」
動けなかった。
叫べなかった。
涙も流せなかった。
アベルは、ゆるやかに死へ向かっている。
この能力はヤバい……そう、仲間に伝えることもできない。
そして……アベルは命が尽きるまで後悔を続けた。
「潰れろ」
そして、アベル自信を硬化する。
右手が触れたもの。つまり、空気だって右腕に触れている。空気を伝いアベルの周辺を、時間や空間をも硬化させる。さらに、アルベロは硬化させた空間を動かし、アベルの身体を圧縮していった。
もはや、理論など不明。固めて潰すという作業だった。
『───』
眼球すら動かせず、真空状態なので声も出ない。
痛みや思考はばっちり残っているので、苦しみだけはあった。
アルベロは、圧縮され潰れていくアベルに言った。
「消えろ、クソ召喚獣が」
ぶちゅん。
手のひらに収まる大きさとなったアベルは、水っぽい音を立てて圧死した。
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