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第十章 アズマ、東方の国
ニュー・別荘
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さっそく、俺は物件の話を聞く。
俺の出した条件はかなり多いけど……ダンキチさんは俺の条件に合う物件に関する書類を並べる。
意外にも数が多い。俺は一枚の書類を手に取った。
「……なるほど。そういうことか」
元、宿屋みたいな物件ばかりだ。
アレだ。マンションを買い取って宿泊者向けのウィークリーマンションに改築するみたいな感じなのかな。部屋数も多く、元が宿屋なので設備も悪くない。
不動産ギルドが買い取って改築して販売するには、潰れた宿屋っていうのはアリなのかも。
というか……どれも五億セドル以上する。
書類を見ていると、サスケが言う。
「ダンキチさん、ここぞとばかりに、塩漬け物件出してきたね」
「さ、サスケくん。そういうことを言うのは……コホン。ですが、不動産ギルドが自信をもってお出しする物件です!! お風呂もありますし、地下室もありますよ!!」
「ふむふむ……」
ダンキチさんは、アズマの地図を出し、それぞれの物件の位置をマークする。
「静かな場所がお好みでしたらこちらですね。少々、繁華街からは遠くなりますが」
「こっちは?」
「住宅街の近くですね。この辺り、夜はとても静かですが……逆に、それが嫌というお客様もいます」
「お、ここは?」
「ここは繫華街からも近く、物件の周囲が林に囲まれていますよ。季節によっては虫の鳴き声などがありますが……」
「ふむふむ……この林の物件、飲み屋街は近い?」
「ええ。『酩酊横丁』という、酒飲みにとっては最高の飲み屋街がありますよ」
「……あれ」
酩酊横丁。最近、どっかで聞いたような。
まあいいか。飲み屋街が近いなら、飲んでも別荘まですぐ帰れるし。
「よし。この物件、見せてくれ」
「わかりました。少々、ご足労いただきます。馬車を用意しますので!!」
ダンキチさんは部屋を出た。
するとアオ、一億セドル以下の物件資料を眺めて言う。
「……私、ここにする」
「え? って……俺が今選んだ物件の近くか?」
「うん。おじさんが近いと遊びに行きやすいし」
「ははは。嬉しいこと言うな。で、広さは大丈夫なのか?」
「うん。ここも元宿屋……」
と、ダンキチさんが戻り、アオが書類を見せる。
「……ここ、見たい」
「こちらですね。では、ゲントク様の物件と一緒に見に行きましょうか」
こうして俺たちは、別荘の下見へ。
◇◇◇◇◇◇
馬車に乗って到着したのは、小さな林に囲まれた二階建ての物件だ。
なんというか……京都とかにある古い建物みたいだ。
正門を抜け、玉砂利の道を進んでいくと、やけに広い木造のドアがある。
そこを開けると、広い玄関があった。
「アズマの文化では靴を脱いで入ることになっています」
「……おじさんの家と同じだね」
「ああ。さすがアズマの文化」
靴を脱いで上がる。
まず一階は広い畳敷きのリビングルーム。トイレに、庭へ続く渡り廊下だ。
渡り廊下は分岐しており、襖を開けると宴会場みたいな広い部屋がある。
分岐の先には暖簾があり、男女別の風呂が付いていた。
「風呂は最上級のキノッヒを使っています。いい香りでしょう?」
「……確かに」
脱衣所を抜けて風呂のドアを開けると、いい香りがした。
洗い場は三つ、でかい浴槽が一つ……おや?
外に通じるドアがあり、開けるとそこには。
「おお、露天風呂もあるのか」
なんと、岩風呂。
少々小さいが、一人で入るには十分な大きさの風呂があった。
よく見ると、女風呂のドアからも行ける……ってことは。
「こちら、混浴でして……」
「問題ない。入るの俺だけだしな」
サウナは残念ながらなかった。まあいいや。
渡り廊下の先は客間になっており、六畳間が二つある。
そして二階へ行くと、客間が三つ、広い客間が一つの四部屋ある。
ここまで見ると、一般的な宿屋って感じだ。
地下へ進む階段を降りると、リネン室っぽい部屋が一つに、物置みたいな部屋が一つある。
「いいな。素材置き場、作業部屋にちょうどいい……窓が欲しいけど無理だな」
一応、換気扇みたいな空気穴は付いている。
ここまで見て、もう気になることはない……むしろ、最高だわ。
「以上になります。ゲントク様、何か気になることなどあれば」
「問題ないっすね。むしろ最高……契約します!!」
「ありがとうございます!!」
ダンキチさんは深々とお辞儀。
総額七億セドル。いやーいい買い物したぜ。
これまでは即入居だったが、今回は違った。
「ゲントク様。こちら、屋敷の見取り図と家具のカタログです。欲しい家具、設置して欲しい家具などあれば、こちらにご記入を。金額は二割ほどサービスさせていただきます」
カタログを見ると、アズマの木材を使った高級な箪笥、布団、ベッドや椅子テーブルの項目がある。コタツ……はないな。
見取り図の部屋に、カタログにある家具の番号を記入すると、その位置に家具を設置してくれるという。これはありがたいな。
「家具の設置、掃除などありますので、提出後から二日ほどお時間を置いてのご入居となります」
「わかりました。じゃあ、帰ったら記入したら持っていきますんで」
「ありがとうございます」
ちょっとワクワクするな……お、家具だけじゃなくて食器とかもあるのか。
アオもカタログを見て目をキラキラさせているし。
「では、次はアオ様の別荘へ」
「……お願いします」
さて、アオの別荘はどんなところかね。
◇◇◇◇◇◇
アオの別荘も、俺の別荘よりは小さいがなかなかよかった。
ちゃんと風呂もあるし、部屋も狭いけど多い。
宿屋というか、民宿みたいなところかな。でも『鮮血の赤椿』で使うならちょうどいい。シュバンとマイルズさん、スノウさんとユキちゃんも一緒に行けそうだし。
アオも正式に契約……やや予算オーバーだったが、サスケが交渉して割引してくれた。
帰り道。俺はサスケとアオの二人に言う。
「いやー、いい買い物した。サスケ、ありがとな」
「気にすんなって。アオも気にしなくていいぜ」
「……うん。でも、ありがと」
アオはにっこり笑うと、サスケが照れたようにほほ笑んだ。
ほうほう……同い年同士、ラブロマンスが始まるかもしれんな。
「さて、メシでも食うか。サスケ、いい店あったら教えてくれ」
「そうだな……『煮込みうどん』でも食うか? 濃厚な『ミソ』のスープは絶品だぜ」
「…………待て、今なんて」
「あ? ミソ」
「味噌あるのか!?!?」
思わずデカい声を出してしまった。驚くサスケ、そしてアオ。
サスケはウンウン頷く。
「あ、あるぜ。『ショウズ』っていう豆を加工した調味料でな。大昔、アズマ最初の殿様が『ミソ職人』だったとかで有名なんだ。他の国では流行ってないけど、アズマじゃザツマイと並ぶ食材の一つだぜ」
「土産で買う。サスケ、エーデルシュタイン王国でも買える店あったら教えてくれ」
「お、おう。すげえ興奮してるな」
「せっかくだ。お前の知ってるアズマの調味料とか全部教えてくれ!! 礼はする!!」
「……おじさん、興奮してる」
そりゃするだろ。味噌だぞ味噌!!
異世界あるある……醤油、味噌、マヨネーズという神器!!
「味噌あれば料理の幅広がるな。味噌煮、みそ炒め……ワクワクが止まらん!!」
「……美味しそうな響き。おじさん、私も食べたい」
「おう!!」
「と、とりあえず……メシ食おうぜ」
こうして俺は別荘をゲット!! そして味噌の存在を知るのだった。
アズマの祖先、日本人の味噌職人さん、マジでありがとうございます!!
俺の出した条件はかなり多いけど……ダンキチさんは俺の条件に合う物件に関する書類を並べる。
意外にも数が多い。俺は一枚の書類を手に取った。
「……なるほど。そういうことか」
元、宿屋みたいな物件ばかりだ。
アレだ。マンションを買い取って宿泊者向けのウィークリーマンションに改築するみたいな感じなのかな。部屋数も多く、元が宿屋なので設備も悪くない。
不動産ギルドが買い取って改築して販売するには、潰れた宿屋っていうのはアリなのかも。
というか……どれも五億セドル以上する。
書類を見ていると、サスケが言う。
「ダンキチさん、ここぞとばかりに、塩漬け物件出してきたね」
「さ、サスケくん。そういうことを言うのは……コホン。ですが、不動産ギルドが自信をもってお出しする物件です!! お風呂もありますし、地下室もありますよ!!」
「ふむふむ……」
ダンキチさんは、アズマの地図を出し、それぞれの物件の位置をマークする。
「静かな場所がお好みでしたらこちらですね。少々、繁華街からは遠くなりますが」
「こっちは?」
「住宅街の近くですね。この辺り、夜はとても静かですが……逆に、それが嫌というお客様もいます」
「お、ここは?」
「ここは繫華街からも近く、物件の周囲が林に囲まれていますよ。季節によっては虫の鳴き声などがありますが……」
「ふむふむ……この林の物件、飲み屋街は近い?」
「ええ。『酩酊横丁』という、酒飲みにとっては最高の飲み屋街がありますよ」
「……あれ」
酩酊横丁。最近、どっかで聞いたような。
まあいいか。飲み屋街が近いなら、飲んでも別荘まですぐ帰れるし。
「よし。この物件、見せてくれ」
「わかりました。少々、ご足労いただきます。馬車を用意しますので!!」
ダンキチさんは部屋を出た。
するとアオ、一億セドル以下の物件資料を眺めて言う。
「……私、ここにする」
「え? って……俺が今選んだ物件の近くか?」
「うん。おじさんが近いと遊びに行きやすいし」
「ははは。嬉しいこと言うな。で、広さは大丈夫なのか?」
「うん。ここも元宿屋……」
と、ダンキチさんが戻り、アオが書類を見せる。
「……ここ、見たい」
「こちらですね。では、ゲントク様の物件と一緒に見に行きましょうか」
こうして俺たちは、別荘の下見へ。
◇◇◇◇◇◇
馬車に乗って到着したのは、小さな林に囲まれた二階建ての物件だ。
なんというか……京都とかにある古い建物みたいだ。
正門を抜け、玉砂利の道を進んでいくと、やけに広い木造のドアがある。
そこを開けると、広い玄関があった。
「アズマの文化では靴を脱いで入ることになっています」
「……おじさんの家と同じだね」
「ああ。さすがアズマの文化」
靴を脱いで上がる。
まず一階は広い畳敷きのリビングルーム。トイレに、庭へ続く渡り廊下だ。
渡り廊下は分岐しており、襖を開けると宴会場みたいな広い部屋がある。
分岐の先には暖簾があり、男女別の風呂が付いていた。
「風呂は最上級のキノッヒを使っています。いい香りでしょう?」
「……確かに」
脱衣所を抜けて風呂のドアを開けると、いい香りがした。
洗い場は三つ、でかい浴槽が一つ……おや?
外に通じるドアがあり、開けるとそこには。
「おお、露天風呂もあるのか」
なんと、岩風呂。
少々小さいが、一人で入るには十分な大きさの風呂があった。
よく見ると、女風呂のドアからも行ける……ってことは。
「こちら、混浴でして……」
「問題ない。入るの俺だけだしな」
サウナは残念ながらなかった。まあいいや。
渡り廊下の先は客間になっており、六畳間が二つある。
そして二階へ行くと、客間が三つ、広い客間が一つの四部屋ある。
ここまで見ると、一般的な宿屋って感じだ。
地下へ進む階段を降りると、リネン室っぽい部屋が一つに、物置みたいな部屋が一つある。
「いいな。素材置き場、作業部屋にちょうどいい……窓が欲しいけど無理だな」
一応、換気扇みたいな空気穴は付いている。
ここまで見て、もう気になることはない……むしろ、最高だわ。
「以上になります。ゲントク様、何か気になることなどあれば」
「問題ないっすね。むしろ最高……契約します!!」
「ありがとうございます!!」
ダンキチさんは深々とお辞儀。
総額七億セドル。いやーいい買い物したぜ。
これまでは即入居だったが、今回は違った。
「ゲントク様。こちら、屋敷の見取り図と家具のカタログです。欲しい家具、設置して欲しい家具などあれば、こちらにご記入を。金額は二割ほどサービスさせていただきます」
カタログを見ると、アズマの木材を使った高級な箪笥、布団、ベッドや椅子テーブルの項目がある。コタツ……はないな。
見取り図の部屋に、カタログにある家具の番号を記入すると、その位置に家具を設置してくれるという。これはありがたいな。
「家具の設置、掃除などありますので、提出後から二日ほどお時間を置いてのご入居となります」
「わかりました。じゃあ、帰ったら記入したら持っていきますんで」
「ありがとうございます」
ちょっとワクワクするな……お、家具だけじゃなくて食器とかもあるのか。
アオもカタログを見て目をキラキラさせているし。
「では、次はアオ様の別荘へ」
「……お願いします」
さて、アオの別荘はどんなところかね。
◇◇◇◇◇◇
アオの別荘も、俺の別荘よりは小さいがなかなかよかった。
ちゃんと風呂もあるし、部屋も狭いけど多い。
宿屋というか、民宿みたいなところかな。でも『鮮血の赤椿』で使うならちょうどいい。シュバンとマイルズさん、スノウさんとユキちゃんも一緒に行けそうだし。
アオも正式に契約……やや予算オーバーだったが、サスケが交渉して割引してくれた。
帰り道。俺はサスケとアオの二人に言う。
「いやー、いい買い物した。サスケ、ありがとな」
「気にすんなって。アオも気にしなくていいぜ」
「……うん。でも、ありがと」
アオはにっこり笑うと、サスケが照れたようにほほ笑んだ。
ほうほう……同い年同士、ラブロマンスが始まるかもしれんな。
「さて、メシでも食うか。サスケ、いい店あったら教えてくれ」
「そうだな……『煮込みうどん』でも食うか? 濃厚な『ミソ』のスープは絶品だぜ」
「…………待て、今なんて」
「あ? ミソ」
「味噌あるのか!?!?」
思わずデカい声を出してしまった。驚くサスケ、そしてアオ。
サスケはウンウン頷く。
「あ、あるぜ。『ショウズ』っていう豆を加工した調味料でな。大昔、アズマ最初の殿様が『ミソ職人』だったとかで有名なんだ。他の国では流行ってないけど、アズマじゃザツマイと並ぶ食材の一つだぜ」
「土産で買う。サスケ、エーデルシュタイン王国でも買える店あったら教えてくれ」
「お、おう。すげえ興奮してるな」
「せっかくだ。お前の知ってるアズマの調味料とか全部教えてくれ!! 礼はする!!」
「……おじさん、興奮してる」
そりゃするだろ。味噌だぞ味噌!!
異世界あるある……醤油、味噌、マヨネーズという神器!!
「味噌あれば料理の幅広がるな。味噌煮、みそ炒め……ワクワクが止まらん!!」
「……美味しそうな響き。おじさん、私も食べたい」
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