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第十章 アズマ、東方の国
別荘を手に入れろ!!
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さて、お昼を食べた後は宿に戻り、全員で宴会となった。
畳敷き、お膳、和食……カラオケとかはさすがにないけど、芸者さんが三味線みたいな楽器を弾いたり、ステージで踊ったりとかなり豪華だった。
それに、出てくる飯がもう……日本!! ジャパン懐石料理!! みたいなモンばかり。
雑酒を飲みながら食べる日本料理。俺、ちょっと泣いちゃったよ。
みんなも、美味しい美味しいと言って食べていた。
みんな浴衣着てるし、なんか慰安旅行っぽくていい。
俺はお猪口を手に、酔っ払いながらサンドローネに言う。
「おうおうサンドローネ、飲んでるか~?」
「飲んでるわよ。あなたは飲み過ぎだけど」
「はっはっは!! アズマ大好き!! 最高だぜ!! なあユキちゃん」
「にゃあ」
「子供に酒臭い息を吐くのはやめなさい。まったく……」
サンドローネがユキちゃんを抱っこし、俺から離す。
すると、やや顔の赤いアオが俺の背にくっついてきた。
「アズマ……私も好き」
「だよな!! なあ、ここに『オダ魔道具開発所』の本店作っちまうか。俺、ここに住みたい!!」
「私もここに住みたい……」
「ダメよ。というかアオさん、アズマは武士や兵士の熟練度が高いから、討伐レートの高い魔獣はほぼいないそうよ」
「えー」
「魔獣もわかっているみたい。人間は強い、縄張りを冒さなければ問題ない。ってね。強い魔獣は山奥にいて、人間には迷惑を掛けないようね」
「うー、じゃあやだ。おじさん、ここに住むのやめよ? おじさんと離れたくない……」
「はっはっは!! 可愛い奴め。なあなあサンドローネ、親戚のよく懐いてくれる姪っ子ってこんな感じか?」
「知らないわよ……全く。ああそうだ、アオさんに聞きたいんだけど」
「なにー?」
アオ、酔ってるのかフワフワしてる。
アオのいたお膳の近くでは、徳利がいくつも転がってロッソが爆睡してる。ブランシュは徳利しかないお膳の前で美味しそうかつ上品にお猪口を傾けているし、ヴェルデはシュバンに無理やり酒を飲ませていた。
「オータムパディードッグの子供を仕入れたいんだけど、伝手はある?」
「ツテ……ん~、ヒコロクは山で拾った子なの。おねえさん、欲しいの?」
「ええ。馬を七頭で引かせるより、やはりオータムパディードッグ一匹で引かせた方がコストも安いしね。成体でもいいだけど、仕入れたいわ」
「んー、オータムパディードッグ、元は魔獣だから山にいかないといない。それに、討伐レートSSだから、私たちもけっこう苦労する」
「そ、そう……」
「おねえさん、オータムパディードッグの生体、知ってる?」
「……大きい犬、としか」
「ふふん。説明してあげる」
アオ、俺の背中にくっついたまま喋り出した。
◇◇◇◇◇◇
オータムパディードッグは、山に住む犬の魔獣だ。
子供の頃は非常に憶病で、人前に姿を見せることはまずない。成長するにつれて度胸、強さ、威厳が出てくるようになり、完全に成長すると討伐レートSSの魔獣『オータムパディードッグ』となる。
オータムパディードッグは、生まれて一か月は親の乳で成長するが、すぐに肉食となり、一か月後には親から離れ独立……子犬の時に身を隠す方法、戦う術などを独学で学ぶのだ。
臆病だが、戦う時は戦う。それがオータムパディードッグだ。
「オータムパディードッグは、アズマの山にいるぜ。アズマじゃ馬の代わりに使うこともあるしな」
と、ここでサスケが乱入。
サンドローネはサスケに聞く。
「捕まえる方法、ある?」
「ああ。でも、無理やりはダメだぜ。オータムパディードッグは誇り高い。従ってもいいと思わせれば、向こうからやってくる」
「従わせる……どうやって?」
「簡単さ。山に向かって、オータムパディードッグ……この場合はヒコロクだな。ヒコロクの遠吠えを聞かせればいい。あとは待ってれば、従ってもいいって考えるオータムパディードッグの子供が勝手に山から下りて来る」
「なるほど……捕まえる、とかじゃないのね」
「ああ。できればだが、従わせることができたら、成長するまではアズマにいた方がいいぜ。やっぱり、故郷で育てた方がいいからな」
「ふむ……やっぱり支店が必要ね。支店というか、オータムパディードッグを育てるための場所か……できれば、郊外に牧場のような場所を。それに育手も必要になるか……」
「育てるのは、大人より子供のがいいぜ。子供と共に成長したオータムパディードッグは、そいつの言うことをよく聞く」
サンドローネがブツブツ言ってる。
サスケと真面目な話を始めたので、アオに言う。
「な、アオ。ヒコロクが山で遠吠えしたら、子供のオータムパディードッグは来るかな?」
「……来ても私は育てない。私、ヒコロクいるし。おじさんは?」
「俺もなあ。家には大福いるし、オータムパディードッグってデカいしなあ」
ちなみに大福。部屋の隅に置いた座布団の上で、白玉と一緒に寝てる。
晩飯の鮭ご飯に満足したようだ。
「アオたち、明日はどうする?」
「冒険者ギルド。依頼見てくる」
「そっか。じゃあ俺はサスケと不動産ギルドだな」
「……おじさん。やっぱり私も行っていい?」
「え?」
「ロッソ、ブランシュは別荘買った。私もアズマに欲しいかも」
なるほどな。ロッソはザナドゥに、ブランシュはレレドレに別荘を買ったしな。アオはアズマに買うってことか。
「じゃあ、俺と一緒に行くか」
「うん。デートだね」
「はっはっは!! そうだな、デートだな」
というわけで、明日はアオ、サスケとのデートだ。
邪魔になるのは俺かもしれん。若い子同士、仲良くやってくれよ?
◇◇◇◇◇◇
翌日。
俺、アオ、サスケの三人は宿を出た。
「ロッソたちは?」
「まだ寝てる。というか、みんな二日酔い」
「え……ブランシュとか、普通に飲んでたけど」
「ブランシュ。いくらでも飲めるけど、お酒あんまり好きじゃない。でも、飲み始めると止まらないし、翌日二日酔いで死にそうになる。ロッソもヴェルデも今日は無理」
「そ、そうなのか」
というわけで、今日はアオだけ……なんか新鮮だな。
サスケは笑って言う。
「ははは。愉快でいいな!! さーて、不動産ギルドに案内するぜ」
「ああ、頼む」
「……別荘、私の予算で買えるといいな」
「足りないときは俺が出すから好きなの選んでいいぞ」
「だめ。自分のお金で買う」
アオはしっかりと拒絶した。なんか悪いこと言ったかもしれん。
さて、向かったのは町の中心にある大きな木造のお寺……ではなく、不動産ギルドだ。
さっそく中に入ると、和服の男女が仕事をしている。
「ダンキチさん、いるかい?」
「はいはーい。おお? サスケくんじゃないか。帰ってきたのかい?」
眼鏡をかけた七三分けの男性だ。着物、七三分けって意外に似合うな。
サスケは俺の背中をポンと叩く。
「一時的な帰省だよ。それより、お客さん二人連れて来たぜ。しかもとびっきりの上客だ。ちゃんと対応しないとクビ飛ぶぜ~?」
「ははは。そりゃ怖い。と……初めまして。アズマ不動産ギルド副長、ダンキチです」
「どうも。ゲントクです」
「……アオ」
ダンキチさんと握手。なんか和服サラリーマンって感じだな。
別室に案内され、粗茶が運ばれて来たので一口飲む。
「別荘をご希望とのことでしたね。さっそくですが、ご希望はありますか?」
「えーと……」
とりあえず、妥協せずに言うか。
大きな風呂付きで、温泉……まあこんな町中じゃ無理か。飲み屋街が近くに欲しい。できれば庭も欲しいし。静かなところだといい。部屋数は欲しい。地下室とか魔道具開発できるような部屋が欲しい。
と……けっこうな無茶を言うと。
「ふーむ……厳しいですが、ないこともないですね。失礼ですがご予算の方は……?」
「とりあえず、十五億セドル」
「え」
ギョッとするダンキチさん。やっぱ億って現実的じゃないのかね。
予算、俺の貯金を入れても三十億までは出せる。異世界ではかなり大金だ。
ダンキチさんは咳払い。
「ごほんごほん……えと、十五」
「億」
「お、おおお……そ、そんな大金を。せいぜい、六千万、七千万セドルかと」
「だから言ったろ? 上客だって」
「……私はそこまでない。せいぜい一億」
「……わかりました」
ダンキチさんは深呼吸。
眼鏡をはずし、なぜか鼈甲ブチ眼鏡を取り出して掛ける。
「私も本気を出しましょう。では……まず、こちらの物件を」
ダンキチさんが出した資料を、さっそく俺は手に取るのだった。
畳敷き、お膳、和食……カラオケとかはさすがにないけど、芸者さんが三味線みたいな楽器を弾いたり、ステージで踊ったりとかなり豪華だった。
それに、出てくる飯がもう……日本!! ジャパン懐石料理!! みたいなモンばかり。
雑酒を飲みながら食べる日本料理。俺、ちょっと泣いちゃったよ。
みんなも、美味しい美味しいと言って食べていた。
みんな浴衣着てるし、なんか慰安旅行っぽくていい。
俺はお猪口を手に、酔っ払いながらサンドローネに言う。
「おうおうサンドローネ、飲んでるか~?」
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「はっはっは!! アズマ大好き!! 最高だぜ!! なあユキちゃん」
「にゃあ」
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サンドローネがユキちゃんを抱っこし、俺から離す。
すると、やや顔の赤いアオが俺の背にくっついてきた。
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「私もここに住みたい……」
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「えー」
「魔獣もわかっているみたい。人間は強い、縄張りを冒さなければ問題ない。ってね。強い魔獣は山奥にいて、人間には迷惑を掛けないようね」
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「なにー?」
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「オータムパディードッグの子供を仕入れたいんだけど、伝手はある?」
「ツテ……ん~、ヒコロクは山で拾った子なの。おねえさん、欲しいの?」
「ええ。馬を七頭で引かせるより、やはりオータムパディードッグ一匹で引かせた方がコストも安いしね。成体でもいいだけど、仕入れたいわ」
「んー、オータムパディードッグ、元は魔獣だから山にいかないといない。それに、討伐レートSSだから、私たちもけっこう苦労する」
「そ、そう……」
「おねえさん、オータムパディードッグの生体、知ってる?」
「……大きい犬、としか」
「ふふん。説明してあげる」
アオ、俺の背中にくっついたまま喋り出した。
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オータムパディードッグは、山に住む犬の魔獣だ。
子供の頃は非常に憶病で、人前に姿を見せることはまずない。成長するにつれて度胸、強さ、威厳が出てくるようになり、完全に成長すると討伐レートSSの魔獣『オータムパディードッグ』となる。
オータムパディードッグは、生まれて一か月は親の乳で成長するが、すぐに肉食となり、一か月後には親から離れ独立……子犬の時に身を隠す方法、戦う術などを独学で学ぶのだ。
臆病だが、戦う時は戦う。それがオータムパディードッグだ。
「オータムパディードッグは、アズマの山にいるぜ。アズマじゃ馬の代わりに使うこともあるしな」
と、ここでサスケが乱入。
サンドローネはサスケに聞く。
「捕まえる方法、ある?」
「ああ。でも、無理やりはダメだぜ。オータムパディードッグは誇り高い。従ってもいいと思わせれば、向こうからやってくる」
「従わせる……どうやって?」
「簡単さ。山に向かって、オータムパディードッグ……この場合はヒコロクだな。ヒコロクの遠吠えを聞かせればいい。あとは待ってれば、従ってもいいって考えるオータムパディードッグの子供が勝手に山から下りて来る」
「なるほど……捕まえる、とかじゃないのね」
「ああ。できればだが、従わせることができたら、成長するまではアズマにいた方がいいぜ。やっぱり、故郷で育てた方がいいからな」
「ふむ……やっぱり支店が必要ね。支店というか、オータムパディードッグを育てるための場所か……できれば、郊外に牧場のような場所を。それに育手も必要になるか……」
「育てるのは、大人より子供のがいいぜ。子供と共に成長したオータムパディードッグは、そいつの言うことをよく聞く」
サンドローネがブツブツ言ってる。
サスケと真面目な話を始めたので、アオに言う。
「な、アオ。ヒコロクが山で遠吠えしたら、子供のオータムパディードッグは来るかな?」
「……来ても私は育てない。私、ヒコロクいるし。おじさんは?」
「俺もなあ。家には大福いるし、オータムパディードッグってデカいしなあ」
ちなみに大福。部屋の隅に置いた座布団の上で、白玉と一緒に寝てる。
晩飯の鮭ご飯に満足したようだ。
「アオたち、明日はどうする?」
「冒険者ギルド。依頼見てくる」
「そっか。じゃあ俺はサスケと不動産ギルドだな」
「……おじさん。やっぱり私も行っていい?」
「え?」
「ロッソ、ブランシュは別荘買った。私もアズマに欲しいかも」
なるほどな。ロッソはザナドゥに、ブランシュはレレドレに別荘を買ったしな。アオはアズマに買うってことか。
「じゃあ、俺と一緒に行くか」
「うん。デートだね」
「はっはっは!! そうだな、デートだな」
というわけで、明日はアオ、サスケとのデートだ。
邪魔になるのは俺かもしれん。若い子同士、仲良くやってくれよ?
◇◇◇◇◇◇
翌日。
俺、アオ、サスケの三人は宿を出た。
「ロッソたちは?」
「まだ寝てる。というか、みんな二日酔い」
「え……ブランシュとか、普通に飲んでたけど」
「ブランシュ。いくらでも飲めるけど、お酒あんまり好きじゃない。でも、飲み始めると止まらないし、翌日二日酔いで死にそうになる。ロッソもヴェルデも今日は無理」
「そ、そうなのか」
というわけで、今日はアオだけ……なんか新鮮だな。
サスケは笑って言う。
「ははは。愉快でいいな!! さーて、不動産ギルドに案内するぜ」
「ああ、頼む」
「……別荘、私の予算で買えるといいな」
「足りないときは俺が出すから好きなの選んでいいぞ」
「だめ。自分のお金で買う」
アオはしっかりと拒絶した。なんか悪いこと言ったかもしれん。
さて、向かったのは町の中心にある大きな木造のお寺……ではなく、不動産ギルドだ。
さっそく中に入ると、和服の男女が仕事をしている。
「ダンキチさん、いるかい?」
「はいはーい。おお? サスケくんじゃないか。帰ってきたのかい?」
眼鏡をかけた七三分けの男性だ。着物、七三分けって意外に似合うな。
サスケは俺の背中をポンと叩く。
「一時的な帰省だよ。それより、お客さん二人連れて来たぜ。しかもとびっきりの上客だ。ちゃんと対応しないとクビ飛ぶぜ~?」
「ははは。そりゃ怖い。と……初めまして。アズマ不動産ギルド副長、ダンキチです」
「どうも。ゲントクです」
「……アオ」
ダンキチさんと握手。なんか和服サラリーマンって感じだな。
別室に案内され、粗茶が運ばれて来たので一口飲む。
「別荘をご希望とのことでしたね。さっそくですが、ご希望はありますか?」
「えーと……」
とりあえず、妥協せずに言うか。
大きな風呂付きで、温泉……まあこんな町中じゃ無理か。飲み屋街が近くに欲しい。できれば庭も欲しいし。静かなところだといい。部屋数は欲しい。地下室とか魔道具開発できるような部屋が欲しい。
と……けっこうな無茶を言うと。
「ふーむ……厳しいですが、ないこともないですね。失礼ですがご予算の方は……?」
「とりあえず、十五億セドル」
「え」
ギョッとするダンキチさん。やっぱ億って現実的じゃないのかね。
予算、俺の貯金を入れても三十億までは出せる。異世界ではかなり大金だ。
ダンキチさんは咳払い。
「ごほんごほん……えと、十五」
「億」
「お、おおお……そ、そんな大金を。せいぜい、六千万、七千万セドルかと」
「だから言ったろ? 上客だって」
「……私はそこまでない。せいぜい一億」
「……わかりました」
ダンキチさんは深呼吸。
眼鏡をはずし、なぜか鼈甲ブチ眼鏡を取り出して掛ける。
「私も本気を出しましょう。では……まず、こちらの物件を」
ダンキチさんが出した資料を、さっそく俺は手に取るのだった。
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