独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~

さとう

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第十章 アズマ、東方の国

竜肉の使い方

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 さて、一日かけてアズマに戻って来た。
 屋敷に戻ると、ユキちゃんが大福と白玉と一緒に遊んでいた。俺を見て笑顔を浮かべて走って来るのがなんとも可愛い。

「にゃあ。おじちゃん」
「ただいま。ユキちゃん、いい子にしてたか?」
「にゃあ。あのね、だいふくとしらたまと遊んでたの。おねえさんが、わんこ連れてくるって。おかあさん、めがねの人とおしゃべりしてるの」
「ふむ……」

 大福、白玉と遊んでいた。お姉さん……サンドローネかな。サンドローネがエディーを連れて来るのか。そして、眼鏡……たぶんリヒターかな。屋敷の中にいるようだ。
 俺はユキちゃんを抱っこし、屋敷の中へ。
 すると、キッチンからいい香り……どうやら、おやつを作っていたようだ。
 キッチンに行くと、ミトンをはめたスノウさんが笑顔を浮かべる。

「あら、ゲントクさん。おかえりなさい」
「ただいま戻りました。留守番、ありがとうございます……何か変わったことはありましたか?」
「いえ。リヒターさんもいましたので、とくには。ああ、スイートポテトを焼いたんですけど、お茶でもどうですか?」
「いいっすね。と……そのリヒターは?」
「今、お風呂掃除しています。ふふ、リヒターさん、すごくいい方ですね。優しくて、頼りになります」

 おお、スノウさん、リヒターに対する好感度が上がったぞ。
 すると、半袖シャツ、素足のリヒターが来た。

「あ、ゲントクさん」
「ようリヒター、留守番、ご苦労さん。今度酒でも奢ってやるよ」
「ど、どうも……」
「と、ちょっと頼みあるんだけど、いいか?」
「な、なんでしょう」

 俺は、サンドローネとイェランを家に呼ぶようお願いした。
 理由はもちろん、竜肉の実食である。

「竜肉、ですか。聞いたことないですね……」
「美味いらしいぞ。で、俺が腕を振るう。くっくっく、期待しておいてくれ。あ、サンドローネとイェランに酒買って来るように言っておいてくれ。宴会だぞ宴会!! ああ、サスケも呼んでくれるか?」
「わかりました。サスケくん、今はイェランさんと支店の準備のお手伝いしていますので、そのまま呼べると思います」
「へー、そうなのか」
「にゃあう」

 おっと、ユキちゃんを抱っこしたままだった。
 スイートポテトが気になるのか、俺の抱っこから身をよじって逃れようとする。
 俺はユキちゃんを降ろし、頭を撫でた。

「とりあえず、お茶にするか。スノウさんお手製のスイートポテト、美味そうだぞ」
「ふふ、たくさんありますので」
「あ、ありがとうございます!!」
「にゃう、おやつー」

 さて、今日は疲れたしゆっくり休んで、竜肉料理の支度をしますかね。

 ◇◇◇◇◇◇

 数日後、俺の別荘にみんなが集まった。
 まずサンドローネ、リヒター、イェランにサスケ。そしてオータムパディードッグのエディ。
 ロッソ、ブランシュ、アオ、ヴェルデ。シュバンとマイルズさん。ユキちゃん、スノウさん。
 そしてリチア。なんだかずっとワクワクしているのか、落ち着きがない。

「さて、みんな集まってくれてありがとう」

 俺はみんなに挨拶する。
 ちなみに、ここは別荘一回の宴会場だ。横長のテーブルを並べ、魔導コンロを六台並べている。
 サイドテーブルにはありえない量の酒瓶が並んでいた。リチアがソワソワワクワクしているのはこの酒が気になっているからだろうな。

「今日は俺の作る竜肉料理を食ってもらう。まあ、魔導コンロを見てわかる通り、鍋料理だ。でも、ただの鍋料理じゃない……俺が大好きな鍋料理で、アズマの食材でならそれが再現できることを、この数日で確認した。保障しよう……マジで美味い!!」
「「「「「おおおー!!」」」」」

 『鮮血の赤椿スカーレット・カメリア』の四人、イェラン、リチアが拍手喝采だ。メチャクチャ気分いいぞこれ。
 そしてサンドローネが言う。

「前置きが長いわ。で、その料理は?」
「まあマテ。下準備はだいたい終わったから、これから作る。みんな、今日は無礼講だ。ここに泊まっていいから、好きなだけ飲んで騒いでくれ」
「やったー!!」

 大喜びのロッソ。まあ、今日の宴会はアズマで最後の思い出づくりみたいなもんだ。
 もうそろそろアズマに来て一か月。そろそろ帰らなくちゃいけない。
 
「じゃあみんな、少し待っててくれ……俺が作る『すき焼き』をな!!」

 そう、俺が作るのは……竜肉を使った『すき焼き』だった!!

 ◇◇◇◇◇◇

 キッチンに来たのは、マイルズさん、スノウさんの二人だ。
 俺は二人に言う。

「すみません。けっこう偉そうに言いましたけど……すき焼きの支度だけで手一杯で、他の料理がぜんぜんできてなくて……俺がすき焼き作ってる間、お二人には酒のつまみになるような料理をお願いします」

 正体する側としては、料理は全部やりたかったが……まあ、無理でした。
 すき焼き。
 割り下から作ろうと、みりんを探したんだよな。でもみりんはアズマにもなかった……なので、それっぽい甘いお酒を探し出し、アズマの魚醤と砂糖などと混ぜて、異世界風の割り下を作ったんだ。
 で、それで自分用にミニすき焼きを作ってみたら、これまた絶品だった。
 竜肉も試食したけど、超極上の肉だったし……これはもう、雑酒と合わせるしかない。
 おっと、話が逸れた。

「料理はお任せください。その、すき焼きというレシピも、気になるところですな」
「私も、お手伝いできることなら」
「ありがとうございます!! 冷蔵庫の中の物、何でも使っていいんで」

 さっそく調理開始。
 マイルズさんは異世界玉ねぎを刻み、生ハムと合わせ、いろいろな調味料を混ぜてドレッシングを作り、あっという間に一皿完成させた。
 スノウさんも、チーズやカットした野菜を串に通したり、魚を刻んでなめろうみたいなの作ってる……マジでプロだな。
 するとシュバンとリヒターが来て、完成した料理を運ぶ。
 宴会場では、すでに酒盛りが始まっていた……っと、見てる場合じゃない。

「よし、じゃあ……やるか!!」

 まず、俺は鍋を用意……この日のために、すき焼き鍋っぽいのを探して買い込んだんだよな。
 まずは普通の鍋で、酒、みりんっぽい酒を入れて煮立たせる。そして火を止めてアズマの魚醤、砂糖を加える。砂糖が溶け始めたので、まずは異世界風割り下が完成。
 
「よし、すき焼き鍋!!」

 すき焼き鍋に、この日のために苦労して作ったミノタウロスの脂身で作った牛脂を溶かす。
 異世界ネギを炒め、その次に肉……そして割り下を入れ、野菜を入れて煮込む。
 ちなみに、テーブルに用意した六台分、ちゃんと同時に鍋を作ったからな。

「「…………」」

 お、マイルズさんとスノウさんも気付いたか……この香りに!! 
 スノウさんなんて、ネコミミと尻尾が動いちゃってるし。
 俺はニヤリと笑い、わざと宴会場に通じるドアを開ける……すると、香りが宴会場へ。

「な、なんかすごいいい香り……ね、これおっさんの?」
「……ごくり」
「すきやき、でしたっけ……いい香りですわね」
「マイルズにレシピ教えるように言わないと!!」

 ふっふっふ、ロッソたちが興奮しているぞ。

「……リヒター、この料理、ゲントクからレシピを。丼屋でやればいいかもしれないわ」
「はい、お嬢」
「あ、お姉様。アタシ思ったけど、鍋なら鍋物屋やればよくない?」
「いいわね、それ」

 くくく、レシピはそのうちくれてやる。でも、まずは俺が経営してる丼屋でやらせてもらうぜ。オセロット獣人のトレセーナなら、もっと美味く作ってくれる。

「へえ、オレも知らない香りだな」
「おおお~!! 待ちきれん!! ゲントク、まだなの~!!」

 サスケ、リチアもワクワクしているな。
 俺はミトンをはめ、完成したすき焼き鍋を手に宴会場へ。
 

「お待ち!! さあ、これがすき焼きだ!! みんな、取り皿に卵を用意!!」

 すき焼きと言えば卵だろ。
 みんな言われた通りに割り、みんなが鍋の前に集まる。

「さあ、こいつが竜肉のすき焼きだ。この竜肉を卵につけて……」
「「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」」」

 みんなが注目する。
 そして、俺は竜肉を一口で食べた。
 
「うっっっ……まぁぁ。とろ、とろろ、ととけるぅぅぅぅ……~~~っ!!」

 超、うまい。
 マジでトロトロ、濃厚、すき焼き最高。
 そして雑酒を飲み、大きく息を吐いた。

「さあ、召し上がれ!!」

 俺が言うと、みんなが鍋に殺到する。

「アタシ一番!! おいしぃぃぃぃ!!」
「……ずるい、私も」
「わ、わたくしも!!」
「私も!! ちょ、ロッソ肉取りすぎ!!」
「はっはっは。肉はまだまだあるし、おかわり鍋もあるぞ」
「……美味しいわ。すごいわね」
「お嬢、卵がこぼれてますよ」
「おいしいー!! ゲントク、これマジおいしい!! ね、お姉様!!」
「すっげぇな。オッサン、アズマ出身のオレも知らねぇ料理だぜ」
「うまい!! ワタシもこんなの食べたことないわ。ね、アズマで食べれるよう、レシピ公開しなさいよ!! あ、十億、十億でレシピレ買うわ!! あんた十億の仕事するんでしょ?」

 みんなからの評価はかなりいい。
 あとはもう、メチャクチャな飲み会となった。
 酒を飲み、だらだらおしゃべりし、みんなで歌ったり踊ったり。
 俺はエディーを撫でまくり、スノウさんもユキちゃんを抱っこしてお酒をグイグイ飲む。
 リヒターをスノウさんの隣に座らせたり、シュバンとマイルズさんと飲み比べしたり。脱ぎ出すロッソを止めたり、酔っぱらったリチアがサンドローネの胸を揉みまくったり……とにかく、メチャクチャ楽しい宴会だった。
 俺は雑酒を飲んでいると、サスケが近づいて来る。

「オッサン、楽しい時間をありがとな」
「こっちのセリフだっつーの!! このホアキン!! おでぶ!!」
「よ、酔いまくってんな……とにかく、こんな楽しいのは久しぶりだぜ」

 それなら何より、俺も楽しい!!
 するとアオが俺の腕に抱き着いてきた。

「……おじさぁん。ロッソとお風呂入ったってホント?」
「おう!! はっはっは、最近の若い子はスゲェなあ!!」
「むー、私も入るぅ」
「いいぞ!! だっはっは!!」
「そこ、ダメですわよ!! ロッソは厳しく指導しておくので!!」
「おっさん、アタシのおっぱい凝視してたよねえ~!! 見てもいいよー!!」
「ワタシもいいわよ!! ばあちゃんのおっぱいでよければだけど!! にゃっはっは!! ほれほれ、サンドローネのデカチチ~!!」
「んんぁあぁ……う~」

 なんかもうメチャクチャだった。
 でも、今日の日を忘れない。アズマで過ごした、この楽しい日々を。
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