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弟から見たクミ

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 僕が生まれたばかりの頃、冒険者であった両親が姉と僕を残して死んでしまったそうです。
 「そう」と言うのは、大きくなって姉から聞いたからです。
 その時の姉の寂しそうな顔は今でも忘れられません。
 
 「みんな自分のことで必死で誰も助けてくれない」

 そこで、朝日が朝日が差し込み清浄なる若ハゲ「セイン」は目を覚ます。

 「ん……ほああ……」

 寝ぼけ眼を擦り、洗面所へ行き、鏡に映った自身の顔を見る。
 姉は、父親似だと言っていた。

 「人はいつ死ぬかわからない……か、」

 姉が幼い時に言っていた言葉。

 自分は現在25歳、姉は30歳になった。この国の平均じゃ命は長くても65歳。
 自分も姉も確実に死に向かっている。
 そう思うと久しく一緒に机を囲うことのなくなってしまった姉のことが気になるようになった。
 いつも楽しそうにしているけど脆い所がある姉。
 最近の姉はどうか心配になった。
 それから家を出て予定している仕事全てを片付けた。
 聖騎士長となってから現場に出ることは減り代わりに書類仕事が増えた。

 「ふぅ……」

 痛む目頭を抑え、姉と昼食を取るために門へと向かい待つ。
 今日は珍しく働いていたので、そろそろ死んだ顔で出てくることだろうはずなのが、今日はゾンビと化した姉が出てこない。

 「……おかしい。姉さんのことだから、残業なんて真っ先に出てくるはずなのに……」

 僕は推理小説の主人公のように顎に手を当て考える。
 こう言う時は、相手になりきって考えてみるといいと書いてあった。

 「女好きの姉さんのことだから、女子更衣室で「グヘヘへ!」とか笑いながら着替えてる」

 うわぁ……ありえる!リアルに想像できる!やってそう!

 「それか交友関係の広い姉のことだから誰かの家に遊びに行っているとか……」

 姉さんはどこで知り合ってくるのか知らないけど色んな趣味の友達がたくさんいる。

 「特に5~8歳の友達が多いけど、一体どうやって仲良くなっているんだ?友達の両親も娘のように可愛がっているようだし……」

 あれ?よく考えたら。姉は寂しくないんじゃないのか?

 「ぐあああ!わからない!姉さんならあらゆることをやりそうで全然行動が掴めない!」

 僕は頭を掻きむしる。
 は!いかん!いかんぞ!僕ともあろうものが……

 「髪は大事だぞ!危ない危ない」

 懐からクシを取り出して髪を整える。

 「あのう……聖女様ならセイン様が門にこられる少し前に飛び出して行かれましたよ「まずい!急げ!東区へ」と言われながら……」

 1人の若い門兵がヘコヘコしながら教えてくれた。

 まずい!普段「僕、頭のことなんか気にしてません」とか言ってるのにクシで綺麗にしている所を見られてしまったァァ!

 「ははは!ありがとう!」

 とりあえず振り向き様に爽やかな笑顔を見せてごまかす。

 「ぐああ!目がああ!」

 若い兵士は両目を抑えて転げ回る。
 なるほど、僕の頭部の光にやられると言う事はこいつも姉さんたちのように「悪き者」か……

 「たるんでいるようだな。もう一度初心にかえって祈りから始めるんだな」

 僕は両目を抑えて転げ回る兵士をヒールをかけて王都東区へ向けて歩き出す。

 「今日は両親の命日ではないけどな」
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