蝋燭館の事件簿

杉野桜姫

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少女探偵と蝋燭館

最初の殺人

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ヒカリのスマートフォンが鳴った
「誰のですか?」
「私のだわ!」
ヒカリは慌ててスマートフォンをとった
「殺人よ、今すぐ来て!」
ヒカリはうなずいた
浅見はベルに
「仕事ですか?」
ベルはうなずいた
「ヒカリは現役の医者だから」
佐藤は興味を抱いた
「ここは我慢だ」
佐藤は押さえた
ヒカリは走った
「場所も教えてもらってね」
「あなたの名前、浅見琴音さん?」
浅見はうなずいた
「どうしました?」
浅見は思わずヒカリに聞いた
「どうして名前を?」
「勤務先よ!」
ヒカリはきっぱりと言った
「まさかお祖父ちゃんで?」
ヒカリはうなずいた
「診察券で知ったんで」
「やり取りで知ったのね」
浅見は聞かれていたと思った
佐藤は驚いた
「走るの速いのね」
氷川は思わず呟いた
エンナは時計を見て
「ヒカリなら速く着くと思って」
ダイゴはうなずいた
「大丈夫ですかね?」
「大丈夫よ、ヒカリは生まれつき足が速いから」
エンナは平静に言った
警官は驚いた
「さすが荻原エンナ警視正ね!」
ヒカリは怒りをこらえていた
エンナは気まずいと思った
「その前に検死を」
ヒカリは渋々うなずいた
ダイゴは現場を案内した
「すごい水ね」
「よくいられたな」
ヒカリは顔を見た
「この人、元市議の」
ダイゴはうなずいた
ヒカリはバッジを見て
「三聖人の一人に間違いないわ」
「三聖人?」
ダイゴは考えた
ヒカリは大方説明した
「実は近くで」
「殺人未遂事件?」
エンナは思わず言った
ヒカリは驚いた
「それよ!」
エンナはヒカリに
「死亡推定時刻と死因を?」
ヒカリは部屋を見て
「防音設備で外からも悲鳴聞こえないか、死因は水死で死後四時間から六時間か」
エンナはヒカリと出た
「ヒカリ、なんか気にしてたよ」
「気にしてる?」
エンナはうなずいた
ヒカリはまずったと思った
「ヒカリ、終わった?」
ヒカリはうなずいた
「あとは鑑識作業が」
浅見はヒカリを見て
「元町も大丈夫?」
ヒカリはうなずいた
チェレンは振り向いた
ベルはチェレンに
「どうしました?」
「何でもない」
チェレンはそっけなく返事した
ヒカリは考えた
「事務所に来た依頼状にはユダの木と言われたハナズオウの匂いがしていたわ」
エンナは匂いをかいだ
「ハナズオウの匂いがするわ」
ダイゴはうなずいた
「するな」
「裏切り者?」
ヒカリは浅見に
「この店は?」
「日本発祥の西洋家具の店よ」
浅見はヒカリに
「あの現場にはハナズオウの匂いが」
「ハナズオウって?」
「ユダはセイヨウハズオウで首を吊ったと言われてるわ」
「セイヨウハズオウか」
ヒカリはうなずいた
「友人に頼んで見るわ」
「友人に?」
「三聖人の一人が病院にいるって」
ベルは肩を叩かれた
「誰ですか?」
「すまんな」
浅見は首をかしげた
「あなたは?」
「すいません、私は雨宮です」
雨宮は浅見に会釈した
ベルは感じ悪い人と思った
エンナは県警本部に帰った
「今年去年と落選してるわ」
警官はエンナに
「公約が原因だ」
「公約?」
警官はうなずいた
「外国人を住まわせないと」
「そりゃ、落選するわ」
エンナはあきれた
ヒカリは雨宮の顔を見て
「ベルが言うのも納得かも」
ヒカリはまずいなと思った
「雨宮さんも?」
ヒカリはうなずいた
「三聖人の一人だと思う」
エンナは急いでメールした
「市議に落ちた理由が」
ヒカリは呆然とした
「エッグンシングもすごいわ」
ベルはうなずいた
「楽しみでした」
ヒカリは苦笑いした
「みなとみらいでも行く?」
ベルは渋々うなずいた
雨宮はヒカリたちを見た
「あの三人は外国人排斥主義だと?」
エンナはうなずいた
「特に欧米系が」
ダイゴは思い出して
「欧米系の人は三聖人を快く思ってなかったが」
「さすがダイゴ」
エンナはダイゴに
「ヒカリに伝えましょ!」
ダイゴはうなずいた
ヒカリはおもむろにスマートフォンを見た
「エンナからだ」
ベルはヒカリに
「雨宮って人が呟いてました」
「なんて」
「確か「魔女が増えたと」と呟いていたと」
「えっ、魔女?」
ベルはうなずいた
ヒカリは返信した
「山下公園にいるって」
エンナは不安そうに見た
ヒカリは驚いた
「やはりそうか」
チェレンはヒカリに
「事務所に出す紅茶を」
ヒカリはしまったと思った
「山手の方か」
チェレンは上を見た
「どこに行くんですか?」
「ここで待ってから山手の報に行くわ」
浅見首をかしげた
エンナはヒカリたちを見つけた
「ヒカリ、見つけたわ」
「エンナ、どうしてここに?」
「返信メールよ」
ヒカリはハッとした
「神奈川県警察にいたと?」
エンナは当然と言いそうな顔で見た
「実は三聖人を支持してた人の話を聞いてわかったが」
ヒカリはエンナとダイゴに話した
「なるほどね」
「なるほどって?」
ヒカリは山手の方に行った
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