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第二章
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俺はヴァルトの言葉を噛みしめるようにして、何度もゆっくりとうなずいた。
「だがSランクと知られていなければ、誰も注目しない。そうなれば、自由に動ける」
「隠しておけるならば、その方が軍にとっては都合がいいと思われます」
「納得だ。だが今回の件ではベルガンは関係ないだろう。アルデバランに攻め込む前の話なのだろう?」
ヴァルトがうなずく。
「可能性は低いでしょう」
「じゃあ、アルデバランか?」
「もしくは、未登録のSランクか、となりますかね」
「未登録?」
「カズマさんもそうだったでしょう?現在はカズマさんも登録されていますが」
「そうなのか?俺は初耳なんだが……」
「おそらくどなたか、アルデバラン旧軍の方がされたと思われます」
たぶん、レノアか、ギャレットあたりだろう。
そうか、未登録も有り得るのか……
ふと、そこである考えが俺の頭をもたげた。
だがそれは、ここでは言えないことだ。
「ありがとう。よくわかった。この件は考えておくよ」
俺はそう言って、ソファーから立ち上がった。
ヴァルトとバーブラも立ち上がる。
「ではバーン翁の件、よろしく頼む」
するとバーブラが右手を優雅に上げて俺を制した。
「お待ちください。まだ手紙をお渡ししていませんわ」
と、バーブラの横の扉がノックされた。
そして銀製のお盆を持った男が部屋の中に入ってきた。
バーブラはお盆の上に載せられた紙を手に取ると、再びソファーに座った。
「文面は部下たちに用意させておきましたので、あとはサインをするだけです。ですので、もう少々お待ちください」
バーブラは文面にさらっと目を通して確認すると、手を差し出して盆を持った男からペンを受け取ると、ササッと優美にサインした。
ヴァルトも座り、バーブラからペンを受け取ると、素早くサインした。
ヴァルトは最後にもう一度文面を確認し、手紙を丁寧に折りはじめた。
そしてヴァルトの後ろに回り込んだ盆の男から封筒を受け取り、中に手紙を入れた。
ヴァルトはバーブラとともに再度立ち上がり、俺に手紙を差し出した。
「どうぞ、お受け取りを。この手紙にはカズマさんの身分を証明する内容が書いてございます。これをバーン翁にお見せください」
「重ね重ねありがとう。助かるよ」
「いえ、思いがけずまたお会いできて光栄でした」
隣のバーブラも続く。
「わたくしも同様です。また何かありましたら、いつでもお越しください」
そう言ってふたりは俺に丁寧にお辞儀をした。
俺はそんなふたりに感謝の会釈をすると、部屋をあとにした。
「だがSランクと知られていなければ、誰も注目しない。そうなれば、自由に動ける」
「隠しておけるならば、その方が軍にとっては都合がいいと思われます」
「納得だ。だが今回の件ではベルガンは関係ないだろう。アルデバランに攻め込む前の話なのだろう?」
ヴァルトがうなずく。
「可能性は低いでしょう」
「じゃあ、アルデバランか?」
「もしくは、未登録のSランクか、となりますかね」
「未登録?」
「カズマさんもそうだったでしょう?現在はカズマさんも登録されていますが」
「そうなのか?俺は初耳なんだが……」
「おそらくどなたか、アルデバラン旧軍の方がされたと思われます」
たぶん、レノアか、ギャレットあたりだろう。
そうか、未登録も有り得るのか……
ふと、そこである考えが俺の頭をもたげた。
だがそれは、ここでは言えないことだ。
「ありがとう。よくわかった。この件は考えておくよ」
俺はそう言って、ソファーから立ち上がった。
ヴァルトとバーブラも立ち上がる。
「ではバーン翁の件、よろしく頼む」
するとバーブラが右手を優雅に上げて俺を制した。
「お待ちください。まだ手紙をお渡ししていませんわ」
と、バーブラの横の扉がノックされた。
そして銀製のお盆を持った男が部屋の中に入ってきた。
バーブラはお盆の上に載せられた紙を手に取ると、再びソファーに座った。
「文面は部下たちに用意させておきましたので、あとはサインをするだけです。ですので、もう少々お待ちください」
バーブラは文面にさらっと目を通して確認すると、手を差し出して盆を持った男からペンを受け取ると、ササッと優美にサインした。
ヴァルトも座り、バーブラからペンを受け取ると、素早くサインした。
ヴァルトは最後にもう一度文面を確認し、手紙を丁寧に折りはじめた。
そしてヴァルトの後ろに回り込んだ盆の男から封筒を受け取り、中に手紙を入れた。
ヴァルトはバーブラとともに再度立ち上がり、俺に手紙を差し出した。
「どうぞ、お受け取りを。この手紙にはカズマさんの身分を証明する内容が書いてございます。これをバーン翁にお見せください」
「重ね重ねありがとう。助かるよ」
「いえ、思いがけずまたお会いできて光栄でした」
隣のバーブラも続く。
「わたくしも同様です。また何かありましたら、いつでもお越しください」
そう言ってふたりは俺に丁寧にお辞儀をした。
俺はそんなふたりに感謝の会釈をすると、部屋をあとにした。
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