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110 膠着状態
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「グダグダとうるさい。行くぜ!」
俺はすかさず無詠唱で紅蓮の炎を繰り出した。
別段俺にとってはこんな洋館が燃え落ちようと構いやしない。
遠慮なくぶち込んでやるさ。
だが敵も然る者、瞬間移動で紅蓮の炎の直線上から消え失せた。
ちっ!これじゃあ埒が明かない。
どちらかが攻撃すれば、もう一方が消え失せる。
先程からこれの繰り返しだ。
とそこへ、トリストの斬撃が襲いかかってきた。
俺はオートマチックに瞬間移動を使って逃れた。
「くそっ!」
俺は姿を現わすや、舌打ちと共に言った。
すると同じく姿を見せたトリストが嗤いながら言った。
「つまらんな。これではいつまで経っても決着が付きそうにない」
「じゃあ瞬間移動を禁止する縛りで戦うか?」
するとトリストが不気味に顔を歪めて嗤いながら言ったのだった。
「良い提案だ。是非ともそれにしようじゃないか」
すかさず俺は吐き捨てるように言った。
「誰がやるかよ。お前絶対裏切るだろうが」
「君が提案したんじゃないか」
「ふん!冗談言っただけだ。お前なんて信用出来るものか!」
「これはこれは、心外だねえ。わたしはこれでも紳士なんだ。約束を違えたりはしないよ」
「だから信用出来ないって言ってんの。悪魔を信用するなんて、天地が逆さまになったってするものかよ」
「ではいつまでも決着付かずの間に、わたしの配下が君の友人たちを次々に……となるがいいのかな?」
ちっ!嫌な奴だ。
伊達に悪魔やってないな、こいつ。
俺の感情をどんどん逆撫でしてくる。
でも確かにこいつの言うとおり、このままでは膠着状態だ。
どうする?
どうすればこの状態を脱することが出来る?
いや、考えるな。
迷えば迷うだけ、トリストの思う壺だ。
ここは攻めて攻めて攻めまくるんだ。
俺の神力は十万以上なんだ。
いくら魔法を使っても、枯れることはまずないだろう。
ならば攻め続けることだ。
無論トリストの魔力が十万を超えていたら、勝負は判らない。
だけどそれはやってみなければわからないことだ。
それに、昨晩俺は奴の身体を深々と斬り付けている。
見たところ怪我しているようには見えないが、手応えは間違いなくあった。
おそらく魔力で怪我を治したんだろうが、あれほどの深手が完治しているとは思えない。
ならばやはりここは攻めどころだ。
こいつには色々と聞きたいことがある。
そいつを白状させるためにも、必ずここで倒す!
「喰らえっ!」
俺は問答無用で紅蓮の炎を放出した。
トリストはすかさず消え失せる。
俺は構わず二撃目の準備に入る。
そこへトリストが姿を現わした。
トリストは剣を頭上に構え、俺の右上から現れた。
間もなく奴はそれを振り下ろすだろう。
だがその前に俺の炎が噴き上がった。
奴はすんでの所で姿を消した。
俺はすぐさま三撃目の準備。
奴は何処だ?
いや、慌てるな。
奴はすぐに姿を現わすはずだ。
集中しろ。
何処から来ても瞬時に発動出来るように。
来た。
今度は左からだ。
俺の左手がすかさず火を噴く。
地獄の業火が唸りを上げて直進する。
だがトリストはやはりその線上にはいなかった。
しかしながら実のところ、この瞬間移動は本当に実体が消え失せるというようなものではなかった。
その正体は、単純に目に見えないほどの凄まじい速度で移動するというものであった。
だから初めから移動するであろうコースを予測しておき、その予想さえ当れば、結構な割合で追跡できる代物だった。
この時がまさにそうだ。
ついに俺の予想するコースにトリストが移動を開始した。
俺は必死に奴の動きを目で追う。
そして俺は、ついにその延長線上に向け、渾身の魔法を放出することに成功した。
それも俺の中で、最速の魔法を。
俺の左手から、稲妻が轟音を置き去りにしてひた走る。
瞬間、雷光がものの見事に障害物に衝突した。
遅れて轟音が轟く。
トリストの叫び声は、そのわずかに後であった。
「ぐおぉぉぉーーー!」
俺はすかさず追撃の雷撃を打ち下ろす。
「がっはあぁぁ!」
トリストは肺腑の中の空気を一瞬で全てを吐き出した。
そこへ三発目の雷撃が襲う。
「ぐぶっ!」
とどめはこれだ。
俺は瞬間移動で一瞬の内に間合いを詰めると、振り上げた剣を冷徹に振り下ろした。
ドスッ!
金属が肉をしたたかに打ち付ける音が響く。
もはやトリストはうめき声も出なかった。
俺は、トリストの肩口にぐっさりと斬り込まれた剣を、ゆっくりと抜き放った。
「ぐふぅ……」
そしてうずくまるトリストを見下ろして、俺は冷酷に言い放ったのだった。
「決着だ。お前、意外に弱かったな」
俺はすかさず無詠唱で紅蓮の炎を繰り出した。
別段俺にとってはこんな洋館が燃え落ちようと構いやしない。
遠慮なくぶち込んでやるさ。
だが敵も然る者、瞬間移動で紅蓮の炎の直線上から消え失せた。
ちっ!これじゃあ埒が明かない。
どちらかが攻撃すれば、もう一方が消え失せる。
先程からこれの繰り返しだ。
とそこへ、トリストの斬撃が襲いかかってきた。
俺はオートマチックに瞬間移動を使って逃れた。
「くそっ!」
俺は姿を現わすや、舌打ちと共に言った。
すると同じく姿を見せたトリストが嗤いながら言った。
「つまらんな。これではいつまで経っても決着が付きそうにない」
「じゃあ瞬間移動を禁止する縛りで戦うか?」
するとトリストが不気味に顔を歪めて嗤いながら言ったのだった。
「良い提案だ。是非ともそれにしようじゃないか」
すかさず俺は吐き捨てるように言った。
「誰がやるかよ。お前絶対裏切るだろうが」
「君が提案したんじゃないか」
「ふん!冗談言っただけだ。お前なんて信用出来るものか!」
「これはこれは、心外だねえ。わたしはこれでも紳士なんだ。約束を違えたりはしないよ」
「だから信用出来ないって言ってんの。悪魔を信用するなんて、天地が逆さまになったってするものかよ」
「ではいつまでも決着付かずの間に、わたしの配下が君の友人たちを次々に……となるがいいのかな?」
ちっ!嫌な奴だ。
伊達に悪魔やってないな、こいつ。
俺の感情をどんどん逆撫でしてくる。
でも確かにこいつの言うとおり、このままでは膠着状態だ。
どうする?
どうすればこの状態を脱することが出来る?
いや、考えるな。
迷えば迷うだけ、トリストの思う壺だ。
ここは攻めて攻めて攻めまくるんだ。
俺の神力は十万以上なんだ。
いくら魔法を使っても、枯れることはまずないだろう。
ならば攻め続けることだ。
無論トリストの魔力が十万を超えていたら、勝負は判らない。
だけどそれはやってみなければわからないことだ。
それに、昨晩俺は奴の身体を深々と斬り付けている。
見たところ怪我しているようには見えないが、手応えは間違いなくあった。
おそらく魔力で怪我を治したんだろうが、あれほどの深手が完治しているとは思えない。
ならばやはりここは攻めどころだ。
こいつには色々と聞きたいことがある。
そいつを白状させるためにも、必ずここで倒す!
「喰らえっ!」
俺は問答無用で紅蓮の炎を放出した。
トリストはすかさず消え失せる。
俺は構わず二撃目の準備に入る。
そこへトリストが姿を現わした。
トリストは剣を頭上に構え、俺の右上から現れた。
間もなく奴はそれを振り下ろすだろう。
だがその前に俺の炎が噴き上がった。
奴はすんでの所で姿を消した。
俺はすぐさま三撃目の準備。
奴は何処だ?
いや、慌てるな。
奴はすぐに姿を現わすはずだ。
集中しろ。
何処から来ても瞬時に発動出来るように。
来た。
今度は左からだ。
俺の左手がすかさず火を噴く。
地獄の業火が唸りを上げて直進する。
だがトリストはやはりその線上にはいなかった。
しかしながら実のところ、この瞬間移動は本当に実体が消え失せるというようなものではなかった。
その正体は、単純に目に見えないほどの凄まじい速度で移動するというものであった。
だから初めから移動するであろうコースを予測しておき、その予想さえ当れば、結構な割合で追跡できる代物だった。
この時がまさにそうだ。
ついに俺の予想するコースにトリストが移動を開始した。
俺は必死に奴の動きを目で追う。
そして俺は、ついにその延長線上に向け、渾身の魔法を放出することに成功した。
それも俺の中で、最速の魔法を。
俺の左手から、稲妻が轟音を置き去りにしてひた走る。
瞬間、雷光がものの見事に障害物に衝突した。
遅れて轟音が轟く。
トリストの叫び声は、そのわずかに後であった。
「ぐおぉぉぉーーー!」
俺はすかさず追撃の雷撃を打ち下ろす。
「がっはあぁぁ!」
トリストは肺腑の中の空気を一瞬で全てを吐き出した。
そこへ三発目の雷撃が襲う。
「ぐぶっ!」
とどめはこれだ。
俺は瞬間移動で一瞬の内に間合いを詰めると、振り上げた剣を冷徹に振り下ろした。
ドスッ!
金属が肉をしたたかに打ち付ける音が響く。
もはやトリストはうめき声も出なかった。
俺は、トリストの肩口にぐっさりと斬り込まれた剣を、ゆっくりと抜き放った。
「ぐふぅ……」
そしてうずくまるトリストを見下ろして、俺は冷酷に言い放ったのだった。
「決着だ。お前、意外に弱かったな」
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