11 / 21
ありさの決意
しおりを挟む
グチャ――
生々しい音が森中に響き渡る。
私はやってしまったという感情が押し寄せてくる。
カランカランッ――
持っていた剣を私は体中の力が抜け勝手に落ちた。
私はその場で膝を地面につけた。
首と体が離れているのを確認すると私は天に向かって泣き叫んだ。
「うわあああんん!!――」
そして、天からの慰めか雨がどしどし降ってきた。
私は雨に濡れながら号泣した。
私はこの日のことを忘れないと思う。絶対に。
家に帰り暖炉に火をつけた。
薔薇は落ち込み何も話さなくなっていた。
そこにはいつも元気で明るい薔薇の姿はどこにもなくなっていた。
私は椅子に座りながら言った。
「ねぇ、薔薇?」
「なんですか……」
「聖女って何のためにいるんだろうね」
その質問に薔薇からの答えは返ってこなかった。
私は近くに会った毛布を体に巻き付け机を見つめながら言った。
「私ね。決めたんだ。もう、人を殺さないって」
その言葉に薔薇は驚いたのか声を上げていった。
「ありさ、考え直すんだ!この世界では殺すのは当たり前のことなんだぞ。それをなくしたらお前はすぐに他の人に殺されるぞ」
私はすぐに言い返した。
「私が殺さないように人にいえばいいんだよ」
「この世界に何人いると思ってる?バカバカしいことは考えるなよ」
「バカバカしくなんかないもん。塵が積もればなんとかっていうじゃん」
「何だよそれ」
先程まで暗く落ち込んでいた薔薇が笑顔を見せた。
暗かった部屋が暖炉の光と私達の笑顔で明るくなった気がした。
ー翌日ー
「「おはよう!お母さん!」」
二人が私を起こしに来る。
二人は昨日何があったかなんて知るはずもない。
子どもたちの笑顔があるから私は毎日前を進んで歩いていける。
子どもたちに朝ごはんを作り一段落したところで薔薇が言った。
「ねぇ、昨日殺さない世界作るって言ったじゃない?」
「うん」
「私も協力するわ」
「え!?」
薔薇が恥ずかしがりながらも言った。目は合わせてくれない。
「どうしたの急に」
「なんかね。あのあとよくよく考えたら殺し合う世界って物騒じゃない。しかも、人類の敵は魔物だし、人類内で戦い合ってたら意味がないなって思って……」
私は薔薇の言葉を聞いて思わず抱きついた。薔薇は言った。
「バカ!死んじゃう!死んじゃうからー!!」
こんな日常が続くことを私は目指したいのだと決意した。
私は薔薇に言った。
「これかたは、誰も殺さずにすむように、私力つけるね」」
その言葉を聞いた薔薇は満面の笑みで言った。
「……ありさ。私協力するね。新女王ありさ様」
「そんなこと言わないで。堅苦しい」
薔薇は言った。
「まずは、精霊を増やさないとね」
「増やす?女王になったら使えるんじゃ……」
「精霊は女王不在だと力を発揮できないの。だから、あなたが精霊たちのところに行って契約を結ばなければいけないのよ」
「なるほど。じゃあ次はどこにいけばいいの?」
「つぎは……私の親友のいるアルバジャ村ね」
「あなた親友いるんだ」
薔薇はプクーとした顔で遠くの方に行ってしまった。
言ってはいけないこと言ったなと思った私は薔薇の後を追いかけるのだった。
生々しい音が森中に響き渡る。
私はやってしまったという感情が押し寄せてくる。
カランカランッ――
持っていた剣を私は体中の力が抜け勝手に落ちた。
私はその場で膝を地面につけた。
首と体が離れているのを確認すると私は天に向かって泣き叫んだ。
「うわあああんん!!――」
そして、天からの慰めか雨がどしどし降ってきた。
私は雨に濡れながら号泣した。
私はこの日のことを忘れないと思う。絶対に。
家に帰り暖炉に火をつけた。
薔薇は落ち込み何も話さなくなっていた。
そこにはいつも元気で明るい薔薇の姿はどこにもなくなっていた。
私は椅子に座りながら言った。
「ねぇ、薔薇?」
「なんですか……」
「聖女って何のためにいるんだろうね」
その質問に薔薇からの答えは返ってこなかった。
私は近くに会った毛布を体に巻き付け机を見つめながら言った。
「私ね。決めたんだ。もう、人を殺さないって」
その言葉に薔薇は驚いたのか声を上げていった。
「ありさ、考え直すんだ!この世界では殺すのは当たり前のことなんだぞ。それをなくしたらお前はすぐに他の人に殺されるぞ」
私はすぐに言い返した。
「私が殺さないように人にいえばいいんだよ」
「この世界に何人いると思ってる?バカバカしいことは考えるなよ」
「バカバカしくなんかないもん。塵が積もればなんとかっていうじゃん」
「何だよそれ」
先程まで暗く落ち込んでいた薔薇が笑顔を見せた。
暗かった部屋が暖炉の光と私達の笑顔で明るくなった気がした。
ー翌日ー
「「おはよう!お母さん!」」
二人が私を起こしに来る。
二人は昨日何があったかなんて知るはずもない。
子どもたちの笑顔があるから私は毎日前を進んで歩いていける。
子どもたちに朝ごはんを作り一段落したところで薔薇が言った。
「ねぇ、昨日殺さない世界作るって言ったじゃない?」
「うん」
「私も協力するわ」
「え!?」
薔薇が恥ずかしがりながらも言った。目は合わせてくれない。
「どうしたの急に」
「なんかね。あのあとよくよく考えたら殺し合う世界って物騒じゃない。しかも、人類の敵は魔物だし、人類内で戦い合ってたら意味がないなって思って……」
私は薔薇の言葉を聞いて思わず抱きついた。薔薇は言った。
「バカ!死んじゃう!死んじゃうからー!!」
こんな日常が続くことを私は目指したいのだと決意した。
私は薔薇に言った。
「これかたは、誰も殺さずにすむように、私力つけるね」」
その言葉を聞いた薔薇は満面の笑みで言った。
「……ありさ。私協力するね。新女王ありさ様」
「そんなこと言わないで。堅苦しい」
薔薇は言った。
「まずは、精霊を増やさないとね」
「増やす?女王になったら使えるんじゃ……」
「精霊は女王不在だと力を発揮できないの。だから、あなたが精霊たちのところに行って契約を結ばなければいけないのよ」
「なるほど。じゃあ次はどこにいけばいいの?」
「つぎは……私の親友のいるアルバジャ村ね」
「あなた親友いるんだ」
薔薇はプクーとした顔で遠くの方に行ってしまった。
言ってはいけないこと言ったなと思った私は薔薇の後を追いかけるのだった。
85
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く
腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」
――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。
癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。
居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。
しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。
小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる