異世界に二人召喚されましたが、私は無能認定されて辺境送り。……え、なんかすごい力が目覚めたんですけど?

天使の羽衣

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人為か偶然か

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人為か偶然か
 神官長アメリア様を椅子に座らせた。
 私は緊張しながら対面に座った。

「今日はどのような要件でしょうか?」

 アメリア様は静かに口を開けた。

「今日は、最近の魔物についてです。魔物の管轄はあなたでしたよね?」

 彼女の笑顔が私の背筋を凍らせてくる。
 私は本棚から記録しているノートを持ってきて見せながら言った。

「はい。私が魔物関係の記録処理をしています。これが、最近発生した魔物の数と場所です」

 そう言い、私はノートを渡した。
 アメリア様はじっくりとノートを見た。
 ときには、ページを戻して読み直したりした。

 数分間読み続けた後、机の上にノートを置いて言った。

「どうやら、発生周期は最近になって増えているようですね」

「……はい。なぜかわかりませんが」

 私は乾いた笑いを含ませながら言った。
 そうすると、アメリア様は立ち上がりドアの方へと向かう。
 私は立ち上がり行くのを止めようとする。
 もっとお話したいことがたくさんあるのに……

「アメリア様、お待ちください!」

「ごめんなさいね。私忙しいから」
 
 そう言い、何かありそうな笑みを浮かべながら出ていった。
 笑っていたが、瞳だけは氷のように冷たかった。
 私は今までの緊張が解けたように肩の筋肉の張りがなくなり楽になった。
 自分の席に戻り、ため息を吐いた。


「……アメリア様も動き始めたか――」

 神秘教の神官長が直々に動くのは歴史を見ても初めてのことだろう。

 彼女が動くというのだから私を含めた上層部の誰かが……何かを企んでいるのだろう。

 ***

「起きてください。聖女様!」

 エマの声がして私は目を覚ました。
 目をこすりながら起きると窓の外はまだ月明かりが灯っていた。
 あくびをしながら言った。

「……なに?こんな時間に」

 エマは慌てた様子であたふたしていた。
 どうも、落ち着きがなかった。私はエマを落ち着かせるために彼女の近くにいった。

「どうしたの?エマ、何かあった?」

 エマは正気に戻ったのか私の方を向いて真剣な顔でいった。

「王国の西側の森で小規模の魔物暴走スタンビーストが発生しました!」

「魔物暴走ですって!?それはおとぎ話ではなかったの?」

「えぇ、私もそう思っていたのですが……」

「魔物暴走は数千年前のお話の世界じゃない!?」

 エマは、今起こっていることに全く理解できてなさそうな顔で頷いた。
 私は急いで正装に着替えて馬車を走らせた。
 
 馬車の中で考えた。

 どうして、魔物暴走が起きたのか原因を探そうと今まで合ったことを思い返した。

 最近……魔物の発生頻度が多かったのもしかしたらヒントなのかもしれない。

 いろいろなことを考えている間に馬車は魔物暴走の最前線についた。

 私は馬車から降りて言葉を失った。
 なぜなら、目の前にはいつも退治している何十倍もの魔物が行進しているからだった――

 その光景に絶句し、足が動かなかった。
 手が震え、それに応じて足も段々と震えてきた。

 それを見たエマがいった。

「聖女様ならできますよ。このくらい」

 エマの自信満々な顔を見て私は勇気を出した。
 誰がやれるの……?私しかいないでしょ!

 ゆっくりと舌足取りで私は魔物暴走に向かうのだった。
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