異世界に二人召喚されましたが、私は無能認定されて辺境送り。……え、なんかすごい力が目覚めたんですけど?

天使の羽衣

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アルバジャ村

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 私はいつものように目を覚ました。
 目を覚ますと部屋には朝日が入り込み体をしゃきっと起こしてくれた。
 背伸びをして体を起こし、部屋の外へ出るとルビーとエリックが出迎えてくれた。
「お母さん朝ご飯食べたい」
「僕も、食べたい」
 私の服の裾を掴みながらルビーとエリックは言った。
 子供たちの頭を撫でながら私は可愛いなと思った。
「ちょっと待っててね。今作るから」
 私はルビーとエリックを椅子に座らせて、キッチンへ立った。

 そこへバラがやってきた。
 薔薇は朝取り立ての野菜を私の所へ持ってきてくれる。
 いつも通りの朝を私たちは迎えていた。
 薔薇は笑顔で言った。
「ねぇ……ありさ。今日私の親友もいるアルバジャ村に行かない?」
「うーん、確かにそろそろ向かわないとね」
 ルビーとエリックの朝ご飯を作りながらいった。

 朝の忙しい時間が終わり、私は一段落ついていた。
 ルビーとエリックは相変わらず元気で、私はもうついていけてなかった。
 そこに、薔薇が慌てた様子で私の元へやってきた。
 なんだろうと思っていると薔薇は言った。
「あのね、ありさ私の親友のいるアルバジャ村あるじゃない」
「うん、前々から聞いてるよ」
「今ね、その村が大変なのよ!」
 薔薇の言葉に、私は思わず立ち上がった。声が震えていた。
 「魔物に襲われて、村が半壊状態なんだって」
 次の言葉を見つけようと頭の中をぐるぐるぐるぐる何度も何度も思考を繰り返すが、言葉が出てこない。
 心臓が早鐘を打ち、頭の中で言葉が泡のように浮かんでは消えていった。
 魔物によって殺されてしまった人間はどうなるのだろうか。食べられてしまうんだろうか。私には想像がつかないことだった。
 何も言葉が出ないまま、数分間経ち出てきた言葉がこれだった。
「薔薇はどうやってその親友と連絡を取ってるの」
「私たち精霊には独自の連絡手段があるのよ。それを使って各地にいる精霊と連絡を取ってるのよ」
「え!じゃあ今もその親友の精霊と連絡取れるの」
「うーん……今ちょっと無理みたい先から何度も連絡取ろうと通信試みてるけど全くつながらない」
「私はどうすればいいの教えて薔薇!」
 薔薇は数分間黙り込んだ。
 私には何ができるのか全くわからない。

 だが、私が精霊の女王と言うならば、助けに行かなければならないと言う使命が、心の奥底のどこかで燃え上がっていた。
 私の中の血が騒いだ。精霊たちの長としての宿命が呼びかけるように
 バラは黙り込んだ末しゃきっとした顔で私の方を向いて言った。
「今からアルバジャ村に向かうしかないわ。そしてそこの村人たちと私の親友を助けて欲しい」
「わかったわ。今から向かう準備をしましょう。魔物にも対策しないとね」
「私も手伝うわ。ルビーとエリックはどうするの?」
 私はバラにその質問されて言葉に詰まった。
 最近やっとルビーとエリックとの生活が安定してきて、2人の不安が消えてくる頃なのに、あの子たちを置いて、私と薔薇だけで行くことはできない。
 かといって、あの2人を連れて行くと、とても危険だ。
 あの2人を預かってくれる子もいないし、私はこの世界で友人が1人もいない。
 こういう時に頼れる人がいるなら、私は頼りたかった。

 私は、出発までの数時間考え込んだ。
 ルビーとエリックには自分の選んだ道を突き進んでもらいたい。
 やはり子供たちを置いていくことができない。
 苦渋の決断をして、私はエリックとルビーに言った。
「ねぇ、これからちょっとだけ旅に出ると思うけど、一緒についてくる?」
 ルビーとエリックはお互いを見合った。この質問の意図をお互い考え込んでるんだろうか。
 数分間見つめ合った末ルビーとエリックは言った。
「「ついてく!!」」
 私はルビーとエリックの決断を決して間違えてはいないと思う。
 それと同時に私はこの子たちを守っていかなければならないと言う使命を再び感じるのだった。――     
       
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