【完結】もしかして悪役令嬢とはわたくしのことでしょうか?

桃田みかん

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6.カリード

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 ライオネルとフローラが仲良く手を繋ぎ去って行く姿を見て、カリードは内心戦慄していた。

 フローラの見事な人心掌握は素晴らしい。

 この場の誰もがフローラの味方で、彼女の願いを叶えてあげたいと思っている。

 フローラのすごいところは男だけでなく、女性をも味方につけてしまうところだ。

 彼女がその気になったら、王妃、いや、王位だって手に入れてしまうのではないか。
 いや、彼女は姉のイザベル嬢が大好きなだけで、全くその気はないから、そんなことは起こり得ないが…

 カリードはフローラを絶対に敵には回してはいけない人物だと再認識した。


 とにかく、これであのとんでもなく無礼で面倒くさいピンク頭の男爵令嬢はイザベル嬢に近づくことすらできないだろう。

 あのエリスとかいう男爵令嬢は本当にウザい。

 やたらと馴れ馴れしいし、ことあるごとに身体に触れようとしてくる。

 フローラ嬢はピンク頭の男爵令嬢がハニートラップを仕掛けてくると言っていたが、あんなお粗末なのがそうなのだろうか。

 確かに顔はかわいくて気さくだから(すぐに体に触れるし、腕に胸を押し付けてくる破廉恥さで)下位貴族の子息には人気があったが、可愛らしい容姿はもちろん、教養も性格も(表向きの部分は)完全にフローラ嬢の方が上をいっている。

 雲泥の差、月とスッポンだ。

 もちろん、ピンク頭はイザベル嬢とは比べようもないくらい品がない。

 ピンク頭の取り巻きになってた男子生徒がフローラ嬢を見て、目が覚めてくれるといいんだがな…


「カリード様?」
 学園祭に遊びに来ている一つ年下の婚約者のアメリアが考え込んでいたカリードの袖をちょんちょんと引いた。

「大丈夫ですか?」
 ハッとしてアメリアを見ると、心配そうにカリードを見ている。

「いや、何でもないよ」
 見慣れたアメリアの顔を見て、ほっと息を吐いた。

 手を取るだけで、少し顔を赤くしているアメリアに癒されながら、再び歩き出した。
 



「全校生徒の協力で、最近はイザベルに近寄れなくなったみたいだ」
 生徒会長の椅子に座るマリオンは満足そうに、ティーカップを口元に運んだ。

「これで、万が一我々の目がない時にもイザベル嬢を害することができないですね」

 一度、イザベルとエリスの邂逅時にイザベルが難癖をつけられ、連れ去られそうになった件で
「こんなことがないようにカリードを学園に残したのに…」
 とかなりねちねちと文句を言われた記憶が蘇って、遠い目になる。

「あとは、男爵本人が失脚すれば、あのピンク頭を見なくて済むな」
「どれだけ嫌いなんですか…」
 マリオンの言葉に思わず苦笑する。

「いくら学園で平等に学べることを謳っているからって、馴れ馴れしいにもほどがあるだろう。万が一にでもイザベルに誤解されたらどうするんだ」

 心底嫌そうに眉間に皺がよっている。

「大体、カリードとライオネルがあいつの気を引いてくれてれば、こっちに被害が及ばないんじゃないか?」

「それは無理。フローラ嬢の敵は俺の敵だ」
 ライオネルが食い気味に言葉を被せた。

「ピンク頭はフローラ嬢の敵なのか?」
 あの二人は学園祭が初対面で、三歳年下の公爵令嬢であるフローラ嬢とはこれからも会うことがあるとは思えないが…


「イザベル嬢の敵はフローラ嬢の敵だからな」
 ライオネルは当然とばかりに頷く。

「あいつはイザベルを貶めようとするとんでもない女だからな。ああ、ならやっぱり俺の敵でもあるな」

 あの男爵令嬢は知らぬ間に、権力者を親に持つ厄介な敵を多く作ったらしい。

 少し同情しそうになった時
「じゃあ、カリードが気を引くしかないな」
 マリオンが発した言葉に眉が跳ねる。

「いや、わたしも無理です。婚約者のアメリアに誤解されたくないし、ああいう下品な女は生理的に受け付けないんで」
 喰い気味に言葉を発したのは許して欲しい。

 アメリアは容姿はイザベル嬢やフローラ嬢、ピンク頭に比べれば普通で特段目立つ訳ではないが、真面目で優しい性格をしている。
 
 色々と煩わしいことの多い今日この頃は特に、優しい気遣いができるアメリアの側はすごく癒される。
 わたしだけの癒しの天使アメリアを絶対に手放す訳にはいかないのだから。
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