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24 回想③ 魔道具工房
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シエルは、大通りに面した広場にある露店へきていた。田畑に近い場所にある市場とは違い、扱っている物は装飾品や上品なお菓子、本といった贅沢品ばかりだった。
「ペテロ、本当になんでも買ってくれるの?!高そうだよ?」
「一つだけですよっ!お金ことは心配しなくても大丈夫だ。作業場の職人達もお金を出してくれたので・・・・・・って、聞いてないか」
後から知ったことだが、お店から弟子の腕試し、新商品のお試し、客寄せといった商品を出張販売している所が多く、お店よりも手頃に購入出来るのだ。それでも裕福な商人がやっと手が届く程度で、庶民の1年の給料で買えるかどうかの値段だ。
キラキラとしたブローチや、ネックレス。更に見たことも無い異国のアクセサリーに、食べ物たち。目に入る全てが新鮮で、シエルはペテロの言葉なんて全く耳に入っていなかった。
ペテロを連れ回してあちこちのお店を見た挙句、シエルが選んだものは、ごくごくありふれたものだった。
「本当に薬草図鑑でいいんですか?ここで買わなくったって知ってることも多いだろうし、」
「うん、でもね、すごく詳しく薬草の特徴とか薬の作り方が分かりやすく書いてあるの。ほら、ここ見て!よくおじさんたちもわたしも指を切っちゃってたでしょう?このお薬ですぐに治せるんだって」
「いや、そうじゃなくてな、さっき見ていた羽根ペンと魔法のインクは」
「ううん、これがいい!おじさん達の役にも立てるでしょう?」
「そうか・・・・・・。ちょっと待ってな」
シエルの頭をくしゃくしゃと撫でたペテロは、本の代金を払った後、ふらっといなくなった。が、すぐに戻ってきて、何かの包みを渡してきた。
「何これ?ありがとう!」
「お嬢ちゃん、よく聞いて。俺が基礎を1ヶ月で叩き込む。その後に、違う、そんな目をしてもダメだ!お家には帰れないんだよ。腕の良い職人の所に弟子入り出来るようにする。そしたら、その時にその包みの中のものを使って欲しい」
「どうして、お父さまの工房でずっと働かないの?なら、」
「給料も食事もろくに出ないで、15時間以上もずっと雑用係でこき使われる工房にいるより、技術を身につけられる方がいいだろ!!あんたは人形じゃないんだ!」
ペテロの気迫に身体が震える。なんで怒り出したのか分からなくて、お父さまの工房でも働けないのにお家にも帰れないのがショックで泣きたくなった。
「わかんないよ、どうしてっ!お父さまの工房ならお父さまに会えるもんっ」
「お嬢ちゃん、旦那様は、工房には来ないんだ。さっきは、声を荒らげてすまなかった・・・・・・。家に戻りたいなら、旦那様の利益になるように技術を身につけるんだ。そうしたら、俺が必ず家に帰してあげるから」
ペテロの眠そうな垂れ目が力強く開かれてシエルを見つめていた。よく分からなかったけれど、家に返してくれるという言葉は嘘じゃないと感じられたから、黙って頷いた。
それに2つも高価な物を買ってくれた優しいペテロを困らせたくなかったのだ。ペテロは魔道具工房に着くまでひと言も話さず、何かを考えているようだった。
魔道具工房に着くと裏口の扉を開けて、ペテロはズカズカ入っていった。汗とむわんと籠ったような鉄の臭いが鼻を襲う。夏前だというのに暑く、作業している人達も汗だくだった。ペテロは数人から何か内緒話を受けながら、奥へ進んでいく。すると、身なりと清潔さが1番まともそうな男が近寄ってきた。
「ペテロさん、お待ちしておりました。それが、次の雑用係ですか、随分と小さいうえに、よく見りゃ女じゃありませんか」
「このお嬢ちゃんは雑用係ではない。魔道具作りの基本的なことを教えてやってくれ。とりあえず3週間後に俺が来るまでの間に、だ」
「へ、へぇ、え、祭りが近くてクソ忙しい時にですかい?いや、無理ですよ!そんな暇はっ」
「ほぉ、そうか。なら今まで目をつぶっていた賭博と、店の金の横領の件、旦那様に」
「あ、いや、いえ、おやすい御用です!設計から、仕組みやら、と、とにかくその子に教えて差し上げますので、」
「頼んだ。雑用係だが、すぐに用意してやろうと思ったが、2週間後でいいな?さっき賭博をしていたと小耳にはさんだので」
「ま、まさか、そんなことは、はははっ。えぇ、雑用係が2週間ぽっちいなくても、大丈夫です」
「そうか。3階にある物置に暫くこの子を住まわせようと思うが、空いてなければ2階の厨房の倉庫でも構わんが、とにかく部屋を用意してくれ。掃除はこの子が出来るから場所だけ案内を頼む。俺は店頭へ顔を出してくる。シエル、この人は職人長のピーターだ。ちょっと訛っているし口は悪いが怖い人ではないよ。あと、食事はパンかお粥が配られるから貰い損ねないように、ピーターも気をつけてくれ」
「はい、分かりあした」
素早い足取りでペテロが部屋を出ていく。その背中に頭を下げた後、振り返ったピーターが「フィン!来い!」と叫ぶと、ひょろっとした青年がやって来た。
「お嬢ちゃん、見習いのフィンだ。彼が色々教えてくれる。基本はとてもしっかりしているやつだ。フィン、部屋を案内してやれ。その後に教育を頼んだ」
「親方、分かりました!」
「ペテロ、本当になんでも買ってくれるの?!高そうだよ?」
「一つだけですよっ!お金ことは心配しなくても大丈夫だ。作業場の職人達もお金を出してくれたので・・・・・・って、聞いてないか」
後から知ったことだが、お店から弟子の腕試し、新商品のお試し、客寄せといった商品を出張販売している所が多く、お店よりも手頃に購入出来るのだ。それでも裕福な商人がやっと手が届く程度で、庶民の1年の給料で買えるかどうかの値段だ。
キラキラとしたブローチや、ネックレス。更に見たことも無い異国のアクセサリーに、食べ物たち。目に入る全てが新鮮で、シエルはペテロの言葉なんて全く耳に入っていなかった。
ペテロを連れ回してあちこちのお店を見た挙句、シエルが選んだものは、ごくごくありふれたものだった。
「本当に薬草図鑑でいいんですか?ここで買わなくったって知ってることも多いだろうし、」
「うん、でもね、すごく詳しく薬草の特徴とか薬の作り方が分かりやすく書いてあるの。ほら、ここ見て!よくおじさんたちもわたしも指を切っちゃってたでしょう?このお薬ですぐに治せるんだって」
「いや、そうじゃなくてな、さっき見ていた羽根ペンと魔法のインクは」
「ううん、これがいい!おじさん達の役にも立てるでしょう?」
「そうか・・・・・・。ちょっと待ってな」
シエルの頭をくしゃくしゃと撫でたペテロは、本の代金を払った後、ふらっといなくなった。が、すぐに戻ってきて、何かの包みを渡してきた。
「何これ?ありがとう!」
「お嬢ちゃん、よく聞いて。俺が基礎を1ヶ月で叩き込む。その後に、違う、そんな目をしてもダメだ!お家には帰れないんだよ。腕の良い職人の所に弟子入り出来るようにする。そしたら、その時にその包みの中のものを使って欲しい」
「どうして、お父さまの工房でずっと働かないの?なら、」
「給料も食事もろくに出ないで、15時間以上もずっと雑用係でこき使われる工房にいるより、技術を身につけられる方がいいだろ!!あんたは人形じゃないんだ!」
ペテロの気迫に身体が震える。なんで怒り出したのか分からなくて、お父さまの工房でも働けないのにお家にも帰れないのがショックで泣きたくなった。
「わかんないよ、どうしてっ!お父さまの工房ならお父さまに会えるもんっ」
「お嬢ちゃん、旦那様は、工房には来ないんだ。さっきは、声を荒らげてすまなかった・・・・・・。家に戻りたいなら、旦那様の利益になるように技術を身につけるんだ。そうしたら、俺が必ず家に帰してあげるから」
ペテロの眠そうな垂れ目が力強く開かれてシエルを見つめていた。よく分からなかったけれど、家に返してくれるという言葉は嘘じゃないと感じられたから、黙って頷いた。
それに2つも高価な物を買ってくれた優しいペテロを困らせたくなかったのだ。ペテロは魔道具工房に着くまでひと言も話さず、何かを考えているようだった。
魔道具工房に着くと裏口の扉を開けて、ペテロはズカズカ入っていった。汗とむわんと籠ったような鉄の臭いが鼻を襲う。夏前だというのに暑く、作業している人達も汗だくだった。ペテロは数人から何か内緒話を受けながら、奥へ進んでいく。すると、身なりと清潔さが1番まともそうな男が近寄ってきた。
「ペテロさん、お待ちしておりました。それが、次の雑用係ですか、随分と小さいうえに、よく見りゃ女じゃありませんか」
「このお嬢ちゃんは雑用係ではない。魔道具作りの基本的なことを教えてやってくれ。とりあえず3週間後に俺が来るまでの間に、だ」
「へ、へぇ、え、祭りが近くてクソ忙しい時にですかい?いや、無理ですよ!そんな暇はっ」
「ほぉ、そうか。なら今まで目をつぶっていた賭博と、店の金の横領の件、旦那様に」
「あ、いや、いえ、おやすい御用です!設計から、仕組みやら、と、とにかくその子に教えて差し上げますので、」
「頼んだ。雑用係だが、すぐに用意してやろうと思ったが、2週間後でいいな?さっき賭博をしていたと小耳にはさんだので」
「ま、まさか、そんなことは、はははっ。えぇ、雑用係が2週間ぽっちいなくても、大丈夫です」
「そうか。3階にある物置に暫くこの子を住まわせようと思うが、空いてなければ2階の厨房の倉庫でも構わんが、とにかく部屋を用意してくれ。掃除はこの子が出来るから場所だけ案内を頼む。俺は店頭へ顔を出してくる。シエル、この人は職人長のピーターだ。ちょっと訛っているし口は悪いが怖い人ではないよ。あと、食事はパンかお粥が配られるから貰い損ねないように、ピーターも気をつけてくれ」
「はい、分かりあした」
素早い足取りでペテロが部屋を出ていく。その背中に頭を下げた後、振り返ったピーターが「フィン!来い!」と叫ぶと、ひょろっとした青年がやって来た。
「お嬢ちゃん、見習いのフィンだ。彼が色々教えてくれる。基本はとてもしっかりしているやつだ。フィン、部屋を案内してやれ。その後に教育を頼んだ」
「親方、分かりました!」
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