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裁判前日の夜。普段なら焚き火をしているが、今日は目を慣らすために敢えてまだ火をつけていなかった。辺りがすっかり暗くなり、徐々に夜目が効き始める。
薪を縦横2本ずつ、井の字型になるように組む。そして左横に空飛ぶ絨毯を広げ、昨日サミュエルがくれた風の魔道具スクパを上に置いた。荷物はこれしかないので、シエルが乗っても耐荷重の半分以下の重さだろう。
支度を終え、合図を待つ。と、鐘が遠くで響いているのを耳が感じ取った。シエルは、弾かれたように立ち上がって薪に火をつけ、じっと空を見つめる。
この鐘は、その日の最後となる8の鐘だが、普段とは時間がズレている。月がまだ西側の空に位置しているから、サミュエルが担当者を上手く買収できたようだ。
8の鐘で就寝したり、仕事を終えて帰路についたりする人が多い。これはサミュエルの提案で、「早く帰らせれば、皆喜ぶし、少しでも時間を稼げるだろ?」と言って喜々として実行してくれた。
「シエル!準備は出来てる?」
「サミュエル!えぇ、もちろん」
「こっちもいつでもいいぜ」
サミュエルの頼もしい言葉に頷いてみせ、シエルは空飛ぶ絨毯の上に膝立ちで乗った。息を吐き出し、集中する。
(最初が肝心よ、落ち着いて、ゆっくり)
普段使用している小さな魔導具を操作するのと同じだと、心のなかで唱えながら、操作していく。パアッ。眩い光が線をなぞっていき、円形をかたどる。魔法陣が光った。
ふわっ。一瞬身体が宙に浮いて落ちる。手で絨毯を掴み、ぎゅっと目を瞑る。
「お、落ちない!も、もしかして、浮いてる?」
「おっほぉ、すげぇ!!」
馬車で登り坂から下り坂に変わった時に感じるあの奇妙な感覚がずっと続いている気分だ。シエルは、ゆっくりと向きを操作する。
(少し、ほんの少し右にだけでいいの)
勢いよくし過ぎて壁にぶつけるのが怖くて、ちょこっと動かしては止めてを繰り返し、焚き火の上に空飛ぶ絨毯を移動させた。シエルは、汗びっしょりだった。
「ふぅーっ。第1関門クリアね、」
ほっと胸を撫で下ろす。焚き火の真上に居るのに暑さは全く感じなかった。暫く待っていると、実験した時と同様に空飛ぶ絨毯がググーッと上昇し始めた。
壁の横長の穴と同じ位置に達した所で、空飛ぶ絨毯を左へ移動させる。焚き火から絨毯が半分以上離れた、その瞬間、カクンッと数メートル落ちた。
「ひゃっ」
心臓が縮み、おへそが上に引っ張られる。力の入らない手足を生き返らせようとするかのように血がぐぁあっと全身を駆け巡る。
あたふたしているうちに、空飛ぶ絨毯はゆったりと上昇し始めた。シエルは、穴の位置で高さ固定するべく魔力の量を抑制する。更に穴に近づけ、出来るだけブレさせないように調整するが、左側が急に下がったり、天井へ突っ込み頭をしこたまぶつけたり、上手くいかない。
「あーっ、もう!!止まって!!ちょっどーして回るの!?」
(この絨毯、切り刻んでやろうかしら?!)
ある程度安定させられるようになるまで悪態をつき続けた結果、舌は噛むし、ぐるぐると旋回しすぎて目は回り、自分が静止しているのか回っているのかも分からなくなってしまった。
「ぶっはははっ、コマみたいじゃん!酔っ払ったみたいに、真っ赤だっ」
サミュエルが堪えきれずに笑い出した。口を抑えて、ひぃひぃ言っている。「しっー!」と睨みつけて黙らせる。
多少安定して水平を保てるようになってきた所で、穴に少しずつ近づけていく。真近で見るとやはりそびえ立つ壁と穴の入口とが三角形を成していて、入りにくい。
本当は静止させた空飛ぶ絨毯を足場にして壁に足をかけて穴から外へ出る予定だった。が、そんな芸当は出来そうもない。空飛ぶ絨毯の上に立とうものなら、真っ逆さまに落ちる。
(こうなったら、身体ごと突っ込むしかないわね)
動かしては、行き過ぎて、また、近づけては、高さがズレてを繰り返し、どうにか空飛ぶ絨毯ごと、穴へ身体を突っ込んだ。
「引っ張るぞ!」
「い、ぐへっ」
足で石の塊を踏んだような衝撃がお腹へ加わる。脚をしこたま打ち、顔を擦り、ボロボロになりながら、久しぶりに出た外。生ぬるい風が頬を撫でていく。
「はぁー久しぶりに外に出たわ」
見渡せないほどの夜空、四方を壁に囲まれていない解放感。
「おいっ!さっさと逃げないとっ」
「分かってるわよっ!!」
むすりと頬を膨らませる。ガキだなと、せせら笑うサミュエルをシエルは、睨みつけた。
(しょうがないじゃない!ずっと地下にいてお外が恋しいんだもの)
空飛ぶ絨毯を引っ張り上げて広げてくれているサミュエルに近づく。スクッと立ち上がった彼を見て、シエルは言葉を失った。
「遅いぞ、もう広げ終わった」
「へ?えぇ・・・・・・。サミュエル、あなた急に背が伸びたのね」
「あ、そうだっけ、会ってなかったか」
へへっと照れくさそうに鼻の頭をこするサミュエルは、仕草こそ子供っぽいが、顔立ちは大人び始めていた。まるまるとしていた頬の肉はすっきりとし、髭が生え始めている。
「大人っぽくなったね、」
「だろ?よし、シエル、さっさと乗ってくれ。これシスターから数日分の食料と着替えな。あと、地図。お前読めるんだろ?よく分からんが、今は古の森よりちょっと下らしい。それで、真東へ向かってカスティーラ国へ行くようにってカレーム先生が言ってた」
「分かったわ、ありがとう。でも、私は国教を越えられるかしら?」
「それは先生に考えがあるってよ。俺はシスターと一緒に後から合流する。カスティーラ国に入る前の小さな村、名前忘れちまったけど、そこに先生の古い友人が居るからそこで待ってろって。詳しくは手紙を読んでくれ」
渡された分厚い手紙に思わず苦笑してしまう。こんな時も先生らしい。ここまで短期間で色々と段取りをつけてくれたことに頭が上がらない。
「本当にありがとう、よくこんな」
「あ、そうだ!あとは、あれだ、もし途中で落っこちたら、何だっけな、この魔導具で合図をだせって」
「ありがとう。ボタンを押せば使えるのね」
受け取ってしげしげと眺める。片手で握れる大きさの箱で、ボタンが1つついている。ツヤツヤとした表面には魔法陣が刻みこまれ、装飾のようだった。これは初めて見る魔導具だ。
(先生の手作りかしら?)
「よし、全部伝言は伝えたぞ!シエル、気をつけろよ」
「えぇ、サミュエルに言われなくてもそのつもりよ」
毎日顔を合わせていたサミュエルと後で合流出来るか分からない。これが最後かも知れない・・・・・・。そう思ったら、身体が勝手に動いていた。
「はっ?ちょ、おい、何抱きついてんだよ?!」
「サミュエル、ありがとう。あなたのおかげよ。感謝してもしきれないくらいよ」
「おぅ、」
ごにょごにょ言っているし、顔も真っ赤なのを見て、離れてあげた。絶対にこっちを見ようとしないのが、可笑しくて笑えてきてしまう。
「ふふっ、じゃあ、もう行くわね。またあとで」
「あぁ」
2回目とはいえ、慎重に操作し、絨毯を浮かび上がらせた。どんどん建物が小さくなっていく。手を振るサミュエルの姿が見分けられなくなった。進行方向を東へ変える。
空があまりにも近く感じた。手を伸ばせば星屑に手が届く。そんな幻想を胸に抱いてしまうほどに、シエルは夜空に包まれていた。静で暗く何もかも吸い込まれそうだ。
あれほどまで恋焦がれた自由が、無事に逃げ切りさえすれば手に入るというのに、シエルは胸がぎゅっと締め付けられ、切なかった。地面からも、人からも切り離されることが、こんなにも心細いとは思ってもみなかった。
頼れるのは自分だけ。風が吹かれる度に流され、高さも一定に保てない、拙い操縦技術でこの広い空を渡りきれるのだろうか。不安だけが募っていく。
薪を縦横2本ずつ、井の字型になるように組む。そして左横に空飛ぶ絨毯を広げ、昨日サミュエルがくれた風の魔道具スクパを上に置いた。荷物はこれしかないので、シエルが乗っても耐荷重の半分以下の重さだろう。
支度を終え、合図を待つ。と、鐘が遠くで響いているのを耳が感じ取った。シエルは、弾かれたように立ち上がって薪に火をつけ、じっと空を見つめる。
この鐘は、その日の最後となる8の鐘だが、普段とは時間がズレている。月がまだ西側の空に位置しているから、サミュエルが担当者を上手く買収できたようだ。
8の鐘で就寝したり、仕事を終えて帰路についたりする人が多い。これはサミュエルの提案で、「早く帰らせれば、皆喜ぶし、少しでも時間を稼げるだろ?」と言って喜々として実行してくれた。
「シエル!準備は出来てる?」
「サミュエル!えぇ、もちろん」
「こっちもいつでもいいぜ」
サミュエルの頼もしい言葉に頷いてみせ、シエルは空飛ぶ絨毯の上に膝立ちで乗った。息を吐き出し、集中する。
(最初が肝心よ、落ち着いて、ゆっくり)
普段使用している小さな魔導具を操作するのと同じだと、心のなかで唱えながら、操作していく。パアッ。眩い光が線をなぞっていき、円形をかたどる。魔法陣が光った。
ふわっ。一瞬身体が宙に浮いて落ちる。手で絨毯を掴み、ぎゅっと目を瞑る。
「お、落ちない!も、もしかして、浮いてる?」
「おっほぉ、すげぇ!!」
馬車で登り坂から下り坂に変わった時に感じるあの奇妙な感覚がずっと続いている気分だ。シエルは、ゆっくりと向きを操作する。
(少し、ほんの少し右にだけでいいの)
勢いよくし過ぎて壁にぶつけるのが怖くて、ちょこっと動かしては止めてを繰り返し、焚き火の上に空飛ぶ絨毯を移動させた。シエルは、汗びっしょりだった。
「ふぅーっ。第1関門クリアね、」
ほっと胸を撫で下ろす。焚き火の真上に居るのに暑さは全く感じなかった。暫く待っていると、実験した時と同様に空飛ぶ絨毯がググーッと上昇し始めた。
壁の横長の穴と同じ位置に達した所で、空飛ぶ絨毯を左へ移動させる。焚き火から絨毯が半分以上離れた、その瞬間、カクンッと数メートル落ちた。
「ひゃっ」
心臓が縮み、おへそが上に引っ張られる。力の入らない手足を生き返らせようとするかのように血がぐぁあっと全身を駆け巡る。
あたふたしているうちに、空飛ぶ絨毯はゆったりと上昇し始めた。シエルは、穴の位置で高さ固定するべく魔力の量を抑制する。更に穴に近づけ、出来るだけブレさせないように調整するが、左側が急に下がったり、天井へ突っ込み頭をしこたまぶつけたり、上手くいかない。
「あーっ、もう!!止まって!!ちょっどーして回るの!?」
(この絨毯、切り刻んでやろうかしら?!)
ある程度安定させられるようになるまで悪態をつき続けた結果、舌は噛むし、ぐるぐると旋回しすぎて目は回り、自分が静止しているのか回っているのかも分からなくなってしまった。
「ぶっはははっ、コマみたいじゃん!酔っ払ったみたいに、真っ赤だっ」
サミュエルが堪えきれずに笑い出した。口を抑えて、ひぃひぃ言っている。「しっー!」と睨みつけて黙らせる。
多少安定して水平を保てるようになってきた所で、穴に少しずつ近づけていく。真近で見るとやはりそびえ立つ壁と穴の入口とが三角形を成していて、入りにくい。
本当は静止させた空飛ぶ絨毯を足場にして壁に足をかけて穴から外へ出る予定だった。が、そんな芸当は出来そうもない。空飛ぶ絨毯の上に立とうものなら、真っ逆さまに落ちる。
(こうなったら、身体ごと突っ込むしかないわね)
動かしては、行き過ぎて、また、近づけては、高さがズレてを繰り返し、どうにか空飛ぶ絨毯ごと、穴へ身体を突っ込んだ。
「引っ張るぞ!」
「い、ぐへっ」
足で石の塊を踏んだような衝撃がお腹へ加わる。脚をしこたま打ち、顔を擦り、ボロボロになりながら、久しぶりに出た外。生ぬるい風が頬を撫でていく。
「はぁー久しぶりに外に出たわ」
見渡せないほどの夜空、四方を壁に囲まれていない解放感。
「おいっ!さっさと逃げないとっ」
「分かってるわよっ!!」
むすりと頬を膨らませる。ガキだなと、せせら笑うサミュエルをシエルは、睨みつけた。
(しょうがないじゃない!ずっと地下にいてお外が恋しいんだもの)
空飛ぶ絨毯を引っ張り上げて広げてくれているサミュエルに近づく。スクッと立ち上がった彼を見て、シエルは言葉を失った。
「遅いぞ、もう広げ終わった」
「へ?えぇ・・・・・・。サミュエル、あなた急に背が伸びたのね」
「あ、そうだっけ、会ってなかったか」
へへっと照れくさそうに鼻の頭をこするサミュエルは、仕草こそ子供っぽいが、顔立ちは大人び始めていた。まるまるとしていた頬の肉はすっきりとし、髭が生え始めている。
「大人っぽくなったね、」
「だろ?よし、シエル、さっさと乗ってくれ。これシスターから数日分の食料と着替えな。あと、地図。お前読めるんだろ?よく分からんが、今は古の森よりちょっと下らしい。それで、真東へ向かってカスティーラ国へ行くようにってカレーム先生が言ってた」
「分かったわ、ありがとう。でも、私は国教を越えられるかしら?」
「それは先生に考えがあるってよ。俺はシスターと一緒に後から合流する。カスティーラ国に入る前の小さな村、名前忘れちまったけど、そこに先生の古い友人が居るからそこで待ってろって。詳しくは手紙を読んでくれ」
渡された分厚い手紙に思わず苦笑してしまう。こんな時も先生らしい。ここまで短期間で色々と段取りをつけてくれたことに頭が上がらない。
「本当にありがとう、よくこんな」
「あ、そうだ!あとは、あれだ、もし途中で落っこちたら、何だっけな、この魔導具で合図をだせって」
「ありがとう。ボタンを押せば使えるのね」
受け取ってしげしげと眺める。片手で握れる大きさの箱で、ボタンが1つついている。ツヤツヤとした表面には魔法陣が刻みこまれ、装飾のようだった。これは初めて見る魔導具だ。
(先生の手作りかしら?)
「よし、全部伝言は伝えたぞ!シエル、気をつけろよ」
「えぇ、サミュエルに言われなくてもそのつもりよ」
毎日顔を合わせていたサミュエルと後で合流出来るか分からない。これが最後かも知れない・・・・・・。そう思ったら、身体が勝手に動いていた。
「はっ?ちょ、おい、何抱きついてんだよ?!」
「サミュエル、ありがとう。あなたのおかげよ。感謝してもしきれないくらいよ」
「おぅ、」
ごにょごにょ言っているし、顔も真っ赤なのを見て、離れてあげた。絶対にこっちを見ようとしないのが、可笑しくて笑えてきてしまう。
「ふふっ、じゃあ、もう行くわね。またあとで」
「あぁ」
2回目とはいえ、慎重に操作し、絨毯を浮かび上がらせた。どんどん建物が小さくなっていく。手を振るサミュエルの姿が見分けられなくなった。進行方向を東へ変える。
空があまりにも近く感じた。手を伸ばせば星屑に手が届く。そんな幻想を胸に抱いてしまうほどに、シエルは夜空に包まれていた。静で暗く何もかも吸い込まれそうだ。
あれほどまで恋焦がれた自由が、無事に逃げ切りさえすれば手に入るというのに、シエルは胸がぎゅっと締め付けられ、切なかった。地面からも、人からも切り離されることが、こんなにも心細いとは思ってもみなかった。
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