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Princess→Prince
Princess→Prince 1
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十八の誕生日、第五王子アシュレイに城に招待されたエリンは突然の求婚に幼い頃の記憶と同時に前世を思い出す。
そして、今生きているのが攻略対象はほぼ全員元女の子の王子様という設定の乙女ゲームの世界であることに気付くのだが……
設定の都合上、ガールズラブ要素を含みます。(全六話)
[ファンタジー 乙女ゲーム 逆ハーレム 王子様 TS 幼馴染み 処女 媚薬 快楽堕ち ちょろイン 複数]
* * * * *
『大きくなったら結婚しようね! 約束だよ?』
そう言って、花の冠と指輪をくれた女の子。
女の子同士で結婚できるはずもなかったんだけど、子供だったし、それは微笑ましい思い出だった。
薬指にはめられた花の指輪が嬉しくてずっと眺めていたのを覚えている。
その意味が今になってわかるなんて思いもしなかったわけで……
「約束通り結婚しよう、エリン」
そう言って、目の前で微笑んでいるのは明るいブラウンの髪にヘーゼルの瞳を持ち、かつての少女の面影を残しながらも男らしい端整な顔立ちの男性。
幼い頃の思い出がまさか本気の求婚だったとは……
私の十八歳は何だかとんでもない始まり方をした。
その招待は突然だった。
十八の誕生日、私が働く孤児院に城からの使いの人がやってきて、私に手紙を差し出した。
それは招待状で、送り主は第五王子アシュレイ。
それはかつてこの孤児院で姉妹のように共に過ごした幼馴染みで大親友と同じ名前で、少し彼女との別れを思い出してしまった。
あれからもう二年以上経つけど、時々思い出しては寂しくなる。夜な夜な枕を濡らす頻度は減ったけど。
遠くの家に引き取られ、手紙のやりとりもできなくなると聞いてどれだけ悲しかったか。
でも、名前だけじゃない。私は彼女の字をよく覚えてる。どうして王子様はあの子と同じ名前で同じ筆跡なんだろう? 彼女は確かに女の子だったのに。
疑問はあるけれど、王子からの招待を断れるはずもなく、院長にも行ってきなさいと言われて馬車に乗ってお城までやってきたわけだけど……
その再会に幼い頃の記憶が蘇るのと同時に、前世を思い出すなんて考えもしなかった。
前世が終わった時、私は日本で暮らす普通の女子大生だった。享年二十歳。あまりにも短い人生だった。
ショッキングだったのはストーカーに殺されて生涯を終えたこと。そして、今生きてるこの世界が乙女ゲームの世界だということ。
小さい頃、男子にいじめられたトラウマで男性恐怖症になった私は女子高、女子大へと進学した。そこで出会ったソウルメイトとも言えるような親友にプレゼントされたのが攻略対象はほぼ全員元女の子という乙女ゲーム『Princess→Prince~王子様は元お姫様!?~』だった。
この国の王子様は全員姫として生まれ、成人の儀によって男へと変わるというのはゲームならではのとんでもない設定。女の間、第一王子以外は城を出て庶民として過ごすことが多く、十八歳の成人の儀の一年前までには城に戻って教育を受ける。
第二弾の発売も決まってて、親友はとても楽しみにしてた。次の設定は五つ子で運命の乙女に選ばれた者だけが王子になれるんだとか。
恋愛ゲームには興味がなかった私も結構ハマった。確かにハマったけど……!
「エリン?」
アシュレイは心配そうに私の顔を見詰めてくる。
王子様だってだけで緊張してあらゆる内蔵が暴動を起こして飛び出そうなのに、綺麗な顔を直視できない。
私は男性恐怖症だったし、このヒロインちゃんも男性に耐性があるわけじゃない。
そして、このアシュレイは紛れもなく男。それだけで別人のように感じるのに王子というとんでもない身分差が生じている。気にせずに寛ぐように言われたけど、無理だ。
それでも、ゲームでのヒロインちゃんは混乱してたけど、今の私ならわかる。これは紛れもなくあのアシュレイ。
姫として生まれ、社会勉強のために孤児院で過ごした第五王子。遠くの家に引き取られたのは嘘で、成人の儀のために城に戻ってたってこと。
でも、一気に押し寄せてきた情報量の多さにクラクラして、出された果実水を煽る。冷たくてさっぱりして美味しい。
とにかく落ち着かなきゃいけない。乙女ゲームなら、バッドエンドもあるってこと。選択を間違えるわけにはいかない。
でも、私は既に行動を間違えていたのかもしれない。
「驚いたよね?」
私が落ち着いたのを見計らったように、やっぱり優しい幼馴染みのままアシュレイ王子が問いかけてくる。
「僕が本当は王子だったってこと、そう簡単には受け入れられないよね……でも、僕は君に花の冠と指輪を贈った時には君を必ず娶ると決めていた」
ヒロインの一番近くにいた攻略対象のアシュレイ。ヒロインのことが大好きで、まさか親友が王子様だなんて思ってないヒロインにちゃっかり結婚の約束まで取り付けちゃった人物。王子としては五番目と言ってもメインヒーローと言えるはず。
でも、もし、ゲームの通りならそろそろ他の攻略対象も出てきちゃうはずで……
「さっきも言ったけど、君を呼んだのは約束を果たすため。僕と結婚してくれるよね?」
それは王子らしさと言うべきか、断られるなんて微塵も考えていない感じ。頷くことしか許されないような、拒否権なんてないような聞き方。
身分の差はあっても相手は大親友で、でも王子。ゲームの知識があるからこそ少しだけ落ち着けた。
「エリン。答えを聞かせて」
声は穏やかで優しいのに、急かされてるように感じるのは気のせいじゃないはず。アシュレイは焦ってる。多分、この後起こることは……
そして、今生きているのが攻略対象はほぼ全員元女の子の王子様という設定の乙女ゲームの世界であることに気付くのだが……
設定の都合上、ガールズラブ要素を含みます。(全六話)
[ファンタジー 乙女ゲーム 逆ハーレム 王子様 TS 幼馴染み 処女 媚薬 快楽堕ち ちょろイン 複数]
* * * * *
『大きくなったら結婚しようね! 約束だよ?』
そう言って、花の冠と指輪をくれた女の子。
女の子同士で結婚できるはずもなかったんだけど、子供だったし、それは微笑ましい思い出だった。
薬指にはめられた花の指輪が嬉しくてずっと眺めていたのを覚えている。
その意味が今になってわかるなんて思いもしなかったわけで……
「約束通り結婚しよう、エリン」
そう言って、目の前で微笑んでいるのは明るいブラウンの髪にヘーゼルの瞳を持ち、かつての少女の面影を残しながらも男らしい端整な顔立ちの男性。
幼い頃の思い出がまさか本気の求婚だったとは……
私の十八歳は何だかとんでもない始まり方をした。
その招待は突然だった。
十八の誕生日、私が働く孤児院に城からの使いの人がやってきて、私に手紙を差し出した。
それは招待状で、送り主は第五王子アシュレイ。
それはかつてこの孤児院で姉妹のように共に過ごした幼馴染みで大親友と同じ名前で、少し彼女との別れを思い出してしまった。
あれからもう二年以上経つけど、時々思い出しては寂しくなる。夜な夜な枕を濡らす頻度は減ったけど。
遠くの家に引き取られ、手紙のやりとりもできなくなると聞いてどれだけ悲しかったか。
でも、名前だけじゃない。私は彼女の字をよく覚えてる。どうして王子様はあの子と同じ名前で同じ筆跡なんだろう? 彼女は確かに女の子だったのに。
疑問はあるけれど、王子からの招待を断れるはずもなく、院長にも行ってきなさいと言われて馬車に乗ってお城までやってきたわけだけど……
その再会に幼い頃の記憶が蘇るのと同時に、前世を思い出すなんて考えもしなかった。
前世が終わった時、私は日本で暮らす普通の女子大生だった。享年二十歳。あまりにも短い人生だった。
ショッキングだったのはストーカーに殺されて生涯を終えたこと。そして、今生きてるこの世界が乙女ゲームの世界だということ。
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「エリン?」
アシュレイは心配そうに私の顔を見詰めてくる。
王子様だってだけで緊張してあらゆる内蔵が暴動を起こして飛び出そうなのに、綺麗な顔を直視できない。
私は男性恐怖症だったし、このヒロインちゃんも男性に耐性があるわけじゃない。
そして、このアシュレイは紛れもなく男。それだけで別人のように感じるのに王子というとんでもない身分差が生じている。気にせずに寛ぐように言われたけど、無理だ。
それでも、ゲームでのヒロインちゃんは混乱してたけど、今の私ならわかる。これは紛れもなくあのアシュレイ。
姫として生まれ、社会勉強のために孤児院で過ごした第五王子。遠くの家に引き取られたのは嘘で、成人の儀のために城に戻ってたってこと。
でも、一気に押し寄せてきた情報量の多さにクラクラして、出された果実水を煽る。冷たくてさっぱりして美味しい。
とにかく落ち着かなきゃいけない。乙女ゲームなら、バッドエンドもあるってこと。選択を間違えるわけにはいかない。
でも、私は既に行動を間違えていたのかもしれない。
「驚いたよね?」
私が落ち着いたのを見計らったように、やっぱり優しい幼馴染みのままアシュレイ王子が問いかけてくる。
「僕が本当は王子だったってこと、そう簡単には受け入れられないよね……でも、僕は君に花の冠と指輪を贈った時には君を必ず娶ると決めていた」
ヒロインの一番近くにいた攻略対象のアシュレイ。ヒロインのことが大好きで、まさか親友が王子様だなんて思ってないヒロインにちゃっかり結婚の約束まで取り付けちゃった人物。王子としては五番目と言ってもメインヒーローと言えるはず。
でも、もし、ゲームの通りならそろそろ他の攻略対象も出てきちゃうはずで……
「さっきも言ったけど、君を呼んだのは約束を果たすため。僕と結婚してくれるよね?」
それは王子らしさと言うべきか、断られるなんて微塵も考えていない感じ。頷くことしか許されないような、拒否権なんてないような聞き方。
身分の差はあっても相手は大親友で、でも王子。ゲームの知識があるからこそ少しだけ落ち着けた。
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