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Princess→Prince
Princess→Prince 3
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「ライリーのことはどうだ?」
アレクシスが名前を挙げたことでライリーがキラキラした目をこちらに向けてくる。可愛いけど、とても答えにくい。
「ライリー、様のことも、お菓子が大好きな女の子としか思っていなかったので……」
危ない危ない。危うく呼び捨てにするところだった。いくら相手が顔見知りの可愛い女の子だって、後に王子となる人って言うか、普通に王女様。
「けれど、私が王家の人間だとは知っていただろう?」
「そう、ですけど……」
だって、あなたは王子として私の目の前に現れたじゃないですか。
「だが、貴女はアシュレイが男になったことをあまり驚かないのだな」
その指摘にギクリとした。そうだった、ヒロインちゃんはアシュレイが王子様だったことよりも根本的に男だったことに驚いていた。
でも、私はゲームの知識として知ってしまっている。
やばい、下手なことは言えない。前世の記憶を持っています、あなた達のことはゲームで知ってますなんて言えない。密偵だと疑われでもしたら怖すぎる。
「混乱しすぎて……そう、ですよね……アシュレイは女の子だったのに」
「そうそう一緒に裸で水浴びとかしたよね」
水浴びは子供の頃の記憶とは言っても、確かにアシュレイは女の子だった。
二年前アシュレイがいなくなるまでは姉妹のようにベタベタしてて、目の前で着替えることもあったし、急に寂しくなった夜は一緒に眠った。生理がきた時だってアシュレイに相談したくらい。
そう言えば、アシュレイは背丈こそ私より成長してるように見えてたけど、生理はまだ来ないって言ってたっけ。お医者さんに診てもらったら、なんて言ってる内にアシュレイは出て行ってしまった。
「呪いと言うべきか祝福なのか、代々、この王家では王子が王子として産まれてくることはない。女として産まれ、多くは城外で暮らし、成人を迎える前に戻り、王族としての教育を受ける。王家の血を継ぐ姫でなければ王子に変わることはない。初めから男として産まれることもない」
ご丁寧にアレクシスが説明してくれるけど、全部知ってる。その成人の儀が神殿で泉に入ることだっていうのも。
この泉が重要で、嘘発見器って言うと違うかな? でも、成人の儀を経て男になれば正統な血筋であることが証明される、ってこと。
この辺のことはわかるけど、でも、これからどういう選択をするべきか考えるのが辛い。
ゲーム通りなら孤児院に帰らずに、城で暮らすことになる。その中で王子達は争い、ヒロインちゃんは選ぶ。
頭痛がしそう、って言うか、頭がぼーっとしてきた……
「エリン? 顔赤いよ? 大丈夫?」
ライリーに言われてはっとして頬に手をやる。凄く顔が熱い。頭がぼーっとするのは熱? 知恵熱?
「寝室に行こうか?」
いつの間にかアシュレイが近くに来ていた。
しんしつ……?
「えっ……?」
「逞しくなったでしょ?」
目の前でアシュレイが自慢げに笑ってる。
なんで、アシュレイに、本物の王子様にお姫様抱っこされてるの?
こんな展開、ゲームと違うのに。
「お、下ろして、ください……」
「下ろしたら君はどうするの? 逃げる?」
「に、逃げません……重いので……」
「重くないよ。君は羽のように軽い。だから、下ろさない」
前世の私よりヒロインちゃんは小柄だと思うけど、アシュレイだってそれほどムキムキには見えない。
なのに、軽々と持ち上げて危なげない足取りでどこかへ向かってる。
しんしつって言ってたけど、あの寝室……? ベッドがあるところ?
「ですが……」
「じゃあ、その余所余所しいしゃべり方をやめて、昔みたいに話してくれたら考える」
「アシュレイ……下ろして?」
お願いして、アシュレイがぴたりと立ち止まった。
沈黙が訪れたけど、下ろしてもらえると思った。
だけど……
「ははっ、相変わらず可愛いな。だけど、考慮の結果、このままにさせてもらうよ」
笑い飛ばしてアシュレイがまた歩き出す。
「うっ……!」
嘘吐きと言いたかったけど、踏み留まった。いくら幼馴染みだからって王族を嘘吐き呼ばわりするのは気が引けるし、嘘は吐いてない。確かにアシュレイは考えるって言っただけ。そして、考えた結果、拒否された。それだけ。
「一番は兄上に譲ってやらなきゃいけないしね」
私にしか聞こえないような声にゾクリとした。
どんどん体も熱くなってきてるし、頭に靄がかかってるみたい。
でも、先導するように前を歩いていたアレクシスがある部屋の前でぴたりと止まったのがわかった。
「今日から貴女の部屋だ」
開け放たれた部屋はホテルのスイートルームみたいに広くて豪華だった。
前世での私の部屋より遥かに広い。孤児院の部屋とは比べものにならない。
そして、アシュレイが向かう先にはキングサイズ的な巨大ベッド!
何だか、嫌な予感がする……これ、ただ寝かせてもらえるだけ?
寝室に行くのに、アレクシスもライリーも一緒なのはなぜ? ここが今日から私の部屋ってどういうこと……?
ベッドの上に下ろされて、アシュレイもアレクシスもライリーまで上がってくるのがわかった。
どういうこと? 四人で眠れそうなベッドだけど、四人でお昼寝するわけでもあるまい。
だって、左にアレクシス、右にアシュレイがいるけど、ライリーは足の方にいる。
囲まれてる……?
アレクシスが名前を挙げたことでライリーがキラキラした目をこちらに向けてくる。可愛いけど、とても答えにくい。
「ライリー、様のことも、お菓子が大好きな女の子としか思っていなかったので……」
危ない危ない。危うく呼び捨てにするところだった。いくら相手が顔見知りの可愛い女の子だって、後に王子となる人って言うか、普通に王女様。
「けれど、私が王家の人間だとは知っていただろう?」
「そう、ですけど……」
だって、あなたは王子として私の目の前に現れたじゃないですか。
「だが、貴女はアシュレイが男になったことをあまり驚かないのだな」
その指摘にギクリとした。そうだった、ヒロインちゃんはアシュレイが王子様だったことよりも根本的に男だったことに驚いていた。
でも、私はゲームの知識として知ってしまっている。
やばい、下手なことは言えない。前世の記憶を持っています、あなた達のことはゲームで知ってますなんて言えない。密偵だと疑われでもしたら怖すぎる。
「混乱しすぎて……そう、ですよね……アシュレイは女の子だったのに」
「そうそう一緒に裸で水浴びとかしたよね」
水浴びは子供の頃の記憶とは言っても、確かにアシュレイは女の子だった。
二年前アシュレイがいなくなるまでは姉妹のようにベタベタしてて、目の前で着替えることもあったし、急に寂しくなった夜は一緒に眠った。生理がきた時だってアシュレイに相談したくらい。
そう言えば、アシュレイは背丈こそ私より成長してるように見えてたけど、生理はまだ来ないって言ってたっけ。お医者さんに診てもらったら、なんて言ってる内にアシュレイは出て行ってしまった。
「呪いと言うべきか祝福なのか、代々、この王家では王子が王子として産まれてくることはない。女として産まれ、多くは城外で暮らし、成人を迎える前に戻り、王族としての教育を受ける。王家の血を継ぐ姫でなければ王子に変わることはない。初めから男として産まれることもない」
ご丁寧にアレクシスが説明してくれるけど、全部知ってる。その成人の儀が神殿で泉に入ることだっていうのも。
この泉が重要で、嘘発見器って言うと違うかな? でも、成人の儀を経て男になれば正統な血筋であることが証明される、ってこと。
この辺のことはわかるけど、でも、これからどういう選択をするべきか考えるのが辛い。
ゲーム通りなら孤児院に帰らずに、城で暮らすことになる。その中で王子達は争い、ヒロインちゃんは選ぶ。
頭痛がしそう、って言うか、頭がぼーっとしてきた……
「エリン? 顔赤いよ? 大丈夫?」
ライリーに言われてはっとして頬に手をやる。凄く顔が熱い。頭がぼーっとするのは熱? 知恵熱?
「寝室に行こうか?」
いつの間にかアシュレイが近くに来ていた。
しんしつ……?
「えっ……?」
「逞しくなったでしょ?」
目の前でアシュレイが自慢げに笑ってる。
なんで、アシュレイに、本物の王子様にお姫様抱っこされてるの?
こんな展開、ゲームと違うのに。
「お、下ろして、ください……」
「下ろしたら君はどうするの? 逃げる?」
「に、逃げません……重いので……」
「重くないよ。君は羽のように軽い。だから、下ろさない」
前世の私よりヒロインちゃんは小柄だと思うけど、アシュレイだってそれほどムキムキには見えない。
なのに、軽々と持ち上げて危なげない足取りでどこかへ向かってる。
しんしつって言ってたけど、あの寝室……? ベッドがあるところ?
「ですが……」
「じゃあ、その余所余所しいしゃべり方をやめて、昔みたいに話してくれたら考える」
「アシュレイ……下ろして?」
お願いして、アシュレイがぴたりと立ち止まった。
沈黙が訪れたけど、下ろしてもらえると思った。
だけど……
「ははっ、相変わらず可愛いな。だけど、考慮の結果、このままにさせてもらうよ」
笑い飛ばしてアシュレイがまた歩き出す。
「うっ……!」
嘘吐きと言いたかったけど、踏み留まった。いくら幼馴染みだからって王族を嘘吐き呼ばわりするのは気が引けるし、嘘は吐いてない。確かにアシュレイは考えるって言っただけ。そして、考えた結果、拒否された。それだけ。
「一番は兄上に譲ってやらなきゃいけないしね」
私にしか聞こえないような声にゾクリとした。
どんどん体も熱くなってきてるし、頭に靄がかかってるみたい。
でも、先導するように前を歩いていたアレクシスがある部屋の前でぴたりと止まったのがわかった。
「今日から貴女の部屋だ」
開け放たれた部屋はホテルのスイートルームみたいに広くて豪華だった。
前世での私の部屋より遥かに広い。孤児院の部屋とは比べものにならない。
そして、アシュレイが向かう先にはキングサイズ的な巨大ベッド!
何だか、嫌な予感がする……これ、ただ寝かせてもらえるだけ?
寝室に行くのに、アレクシスもライリーも一緒なのはなぜ? ここが今日から私の部屋ってどういうこと……?
ベッドの上に下ろされて、アシュレイもアレクシスもライリーまで上がってくるのがわかった。
どういうこと? 四人で眠れそうなベッドだけど、四人でお昼寝するわけでもあるまい。
だって、左にアレクシス、右にアシュレイがいるけど、ライリーは足の方にいる。
囲まれてる……?
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