【R18】Fragment

Nuit Blanche

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Princess→Prince

Princess→Prince 4

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「んっ……?」

 するりと頬を撫でるのはアレクシス?
 何だか変な感じがした。心臓が早鐘を打つのはなぜ?

「ひゃぁっ……!」

 頬から首筋へと指がなぞって、変な声が出た。
 凄くゾクッとした。何この感覚、知らない……

「あーあ、可愛い声あげちゃって……僕だけが良かったのに」
「アシュレイ……?」

 アシュレイの目が怖い。ギラギラして、やっぱりあのアシュレイだとは思えない。まるで獲物を狙う獣みたい。
 元女でどこか中性的だとは言っても、このアシュレイは紛れもなく男。そういう目。
 苦手なはずの男の顔をしてるのに、怖くないのは元女のアシュレイだから?

「君が美味しそうにいっぱい飲んでくれたあの飲み物にはね、この城の庭にしか生えていない木の果実を入れたんだ。昔から媚薬として使われていてね……よく効くらしいよ」
「びやく……?」

 呆然と呟くけど、察してはいる。
 出たよ、王家に伝わる秘薬的なやつ!
 ゲームの知識で知ってたら絶対がぶ飲みしなかった……! ゲームの中では普通の果実水だったのに!
 これは全然ゲーム通りじゃない。何かおかしい。媚薬なんて健全なゲームに出てくる? まるで十八禁みたいな……
 親友は『十八禁だったら良かったのに!』なんて言ってたけど、いざ自分の身に降りかかってくると洒落にならない。

「王家の秘密を知った以上帰すわけにはいかなくてね」

 アレクシスが淡々と告げてくる。
 第一王子以外の王子達は成人するまで国民の前に姿を現すことはない。そのことに疑問の声も挙がるけど、かつて何人もの王子が暗殺され、そのせいで呪いのような祝福のような事象が起きるようになったと言う。男尊女卑というか、この世界では男の方が尊ばれる。そして、多くの迷信が信じられていて王家となれば尚更不吉なものは排除される。ミシェル王子が死んだことにされてるのもそういうこと。

「だ、誰にも言いません……」
「言うことは簡単だ」

 だから、帰してほしい。そう目で訴えるのにアレクシスの声は冷たい。
 第一王子としての責任を負うからこそ、冷酷な面がアレクシスにはある。

「アシュレイは信じてくれないの?」

 自分でもこれはずるいかなと思いつつも、うるうるの目でアシュレイを見上げる。
 アシュレイは一番長くヒロインの側にいたけど、いや、だからこそというべきかヒロインちゃんに弱いところがある。
 前髪で隠れてたりとかじゃなくて、はっきりと顔が描かれてるヒロインちゃんの可愛いこと可愛いこと……それをフルに利用すればどうにかこの状況から抜け出せるかもしれない。

「君が秘密をばらすとは思わない」
「だったら……」
「でもね、最初から君を逃がすつもりなんてないんだよ」

 まるで死刑を宣告されたように響いた。
 一瞬、希望を持ったことが馬鹿らしく感じたほどアシュレイはハンターの目をしている。怖い。

「求婚の返事が今すぐほしいって言ったら君は頷いてくれる?」
「ボクが成人するまで待ってくれる?」
「貴女はこの中から誰か一人を選べるか?」

 アシュレイ、ライリー、アレクシスに立て続けに問われて頭がパンクしそう。
 物凄く思考能力が鈍ってきてる。でも、まだ理性はある。

「きっと、エリンは誰も選ばない。優しいからね」

 選べないのは確か。誰か一人を選ぶなんて無理。優柔不断なのもあるし、一人を選ぶのも怖い。

「だから、答えは一番正直なものに聞くことにした」

 それ、多分、一番聞いてほしくないものですね……!

「大丈夫。エリンはただ気持ち良くなればいいんだよ。ひどいことはボクがさせないからね!」

 それが全然大丈夫じゃないのにライリーは審判くらいのつもりなのだろうか。

「わたしっ……」

 反射的にずり上がって逃げようとするのに、手足はまともに動かず指先が虚しくシーツを引っ掻くだけ。

「僕のものなのに、兄上が一番なのが腹立たしいけど」
「お前の婚約は無効だ。よって、お前のものであるというのは成立しない。私としても心苦しいが、弟が兄を越すというのは良くないからな」

 でしょうね、バッドなルートでは思いっきり殺し合ってましたもんね、あなた達。
 突然始まるホラー展開がトラウマになったプレイヤーもいるのではなかろうか。
 今だってアシュレイはアレクシスを殺しそうな目をしてる。私と目が合って微笑みに変わったけど。
 その辺緩和されてたらいいのになって思ったけど、R指定な展開になってる以上、余計にひどくなってる可能性なきにしもあらず。
 だって、傲慢で野心家な第四王子ジェシーが兄達の欲しがる物を掠め取ってやろうと策を巡らせるのは、まあ、そうなるだろうなって感じだった。けど、ヒロインちゃんにとって癒しだった優しい第三王子シャノンが豹変して病んでくのとか怖すぎた。この場にいないのが幸いかも。

「エリンもそろそろ限界だろう? 楽にしてあげよう」

 できることなら、このまま気絶してしまいたい。
 それが一番楽になれる気がする。そして、目が覚めて夢だと気付きたい。
 なのに、アレクシスの綺麗な顔が近付いてくる。

「んっ……んぅ……」

 唇が重なった。私の記憶にある限り初めてのキス。
 長くて、息が苦しくなってきて、どうしたらいいかわからない。
 少し唇が離れて、ぷはっと息をした瞬間、舌が入り込んできて、口内をくすぐる。舌を絡め取られて、鼻にかかった声が漏れるし、唾液が音を立てる。
 超王道系イケメン王子様に押し倒されてエッチなキスされてるのに、それを幼馴染み王子と妹系美少女(心は男)に見られてるとかありえない。

「っは……はぁっ……」
「兄上、長すぎます」

 ようやく解放されたかと思えばアシュレイが不満を漏らした。それから今度はアシュレイが乗っかってきた。

「エリン、僕が消毒してあげる」
「消毒はボクの役目だってば!」
「まっ、んんっ!」

 アシュレイの顔が近付いてきて、ライリーが文句を言うけど、無視。おかげで待ってと言う暇もなく唇が重なった。
 ……いや、そんな可愛いものじゃないかも。

「あしゅ、んっ! んぅっ、んぅぅ!」

 嫉妬全開の荒々しいキス。まるで貪られるみたい。
 ただでさえ王家の果実のせいで頭がぼーっとするのに、酸素奪われすぎ。

「アシュ兄様だって、長すぎ。最後はボクだよ」
「んっ……ふ、っ……ぁぅ……」

 アシュレイが終わったかと思えば、今度はライリー。
 ライリーのキスは唇をはむはむされる。
 これ、見る方でいたかった。別に男性恐怖症こじらせて百合に目覚めてたわけじゃないけど、美少女と美少女のキス、尊いはず。転生するならモブ侍女とかで良かったのに……

「私のキスが一番だっただろう?」
「僕に決まってるよね?」
「いや、ボクだよね?」

 こんなの答えられるわけないのに、アレクシスは自信満々で服を脱がせてくる。
 もう抵抗とか恥ずかしいとかもまとめて剥ぎ取られていく感じ。
 ゲーム界の媚薬の前でヒロインちゃんは無力なのです。私ももう考えるのをやめます。
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