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第二章

侵食される日常 21

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「っく、ぁあぁっ!」

 後ろから貫かれる初めての体勢は大きな質量が奥まで入り込んで、声が押し出されるようだった。そして、登り詰めるのも早かった。
 その衝撃に耐えようと背もたれにしがみついても無駄だった。
 ビクビクと体が跳ね、目の前が白く染まる。たった一突きで紗菜は絶頂してしまったのだった。

「ははっ……入れただけでイっちゃうなんて、本当にチンポほしくてたまらなかったんですね」
「うぅ……」

 背後から笑われて、紗菜は反論もできずにただ口から漏れるのは呻き声だけだった。
 余韻を味わえるような余裕もない。一瞬で終わったことを喜べるわけでもない。求めていた物にはまだ足りない。わかっているのだ。

「この程度じゃ満足できませんよね? もっと良くしてあげますから安心してください」

 まるで悪魔の囁きのように晃は耳に吹き込んでくる。
 安心できるはずもない。満足していないのは彼の方だろうと指摘することもできない。
 実際に紗菜を苛む疼きは治まってもいなかった。そう何度も絶頂を極めたいと思うわけでもないのに彼に身を任せることしかできないのだと紗菜は自分に言い聞かせるしかなかった。

「あぅぅっ……」

 グリッと奥を抉られて紗菜の体は震えた。背もたれを掴む手にギュッと力が籠もる。絶頂したばかりだというのにゾクリと体内を走り抜ける感覚があった。それは紗菜にはまだ恐ろしく感じられるものだった。

「まだ二回目だから痛いですか? 苦しいですか?」
「ぁ……」

 動きを止めて、頭を撫でながら問いかけてくる晃の声は妙に優しい。
 気遣われているのだろうか。彼こそが紗菜を苛んでいるというのに。
 苦しくないわけではない。痛みもないとは言えないが、大丈夫だと言ってしまえば受け入れたことになってしまうかもしれない。
 そんなことを聞いておいて痛いと言えばやめてくれるのか。自分が満たされなくなるだけだろう。それがわかるからこそ紗菜は何も答えられなかったが、そっと晃の方を向かされる。

「あー、とろけた顔してるから大丈夫そうですね」

 顔を覗き込まれて、そんなことを言われて紗菜は顔に熱が集まるのがわかった。自分がどんな顔をしてるかなどわからない。何より彼に見抜かれていることが恥ずかしかった。

「もっととろけさせてあげます」
「あぅうっ! 触っちゃ……!」

 晃の指が胸の先を掠めると紗菜の背がしなる。ギュウッと締まった中に晃の存在をありありと感じる。形さえわかりそうなほどに。
 その限界まで広がった入り口を反対の手がなぞる。

「ここ、俺の形に広がってますね」
「それ、だめぇっ……」

 秘芽に触れるのはわざとなのだろう。その度に紗菜の秘筒はギュッギュッと晃の陰茎を締め付ける。満たされているはずなのに切なさが消えないのはなぜなのか。

「こんな小さい穴で俺のチンポ頬張って、紗菜先輩のこっちのお口は随分と食いしん坊みたいですね?」
「変なこと、言わないでっ、てばぁっ……!」

 紗菜が少食だからそんなことを言うのか。
 自分の意思でしているわけでもない。好きなわけでもない。だからこそ、紗菜には耐え難い言葉だったのに晃は言葉を止めない。

「体はもう俺のって感じなのに、早く心も俺に堕ちてくださいよ。そうしたらいっぱい愛してあげますよ? こうやって」
「きゃうぅっ!」

 それぞれの手に乳首と秘芽を摘まれて紗菜の体を強すぎるほどの刺激が襲う。
 彼こそ自分を愛していない。紗菜はわかっていて、これ以上騙されるつもりはなかった。彼はただ自身の快楽を追うための行為に利用しようとしているだけにすぎない。
 紗菜に言えるはずもなかったが。
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