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第二章
侵食される日常 24
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「ねぇ、紗菜ちゃんって呼んでもいいですか?」
不意に晃に問われて紗菜は首を横に振る。
年上のプライドがあるからではない。何となくぞわぞわするのだ。それを許してしまったら何かが壊れてしまうような気がしていた。
「二人っきりの時だけ……いや、エッチの時だけでもいいですから」
懇願なのだろうか。それでも紗菜が拒否すれば晃は「残念です」と笑う。本当はさほど残念にも思っていないだろう。からかっているだけにすぎないのだ。そう紗菜がほっとしたのも束の間のことだった。
「でも、勝手にエッチしてるわけですし、勝手に呼んじゃいますね」
「え……あぁっ!」
ズンと最奥を突き上げられて紗菜はギュッと晃にしがみつくしかなかった。そうしていなければどうにかなってしまいそうだった。
「紗菜ちゃん」
「ゃっ……だめぇっ」
耳に吹き込まれる声に紗菜はいやいやと首を横に振る。
すること自体は変わらないというのに、妙に耐え難いのはなぜなのか。まるで愛し合っている者同士の行為のように感じてしまうからだろうか。
「可愛いですよ、紗菜ちゃん。何か悪いことしてる感がハンパなくて興奮します」
「おっきくしちゃ、やぁっ!」
晃の陰茎は既に紗菜の中を奥深くまでみっちりと埋めている。それなのに増した圧迫感に紗菜は震えた。
「あっ、わかりました? 紗菜ちゃんが可愛すぎるからおっきくなっちゃうんですよ?」
「ふかっ……ふかいの、やぁっ……」
なぜ、晃は嬉しそうなのか。
わからない内に、しがみつく腕に力が籠もる。逃れようとしても自身の重みによって突き刺さってくるのだ。
「大丈夫ですよ」
何も大丈夫ではない。優しく頭を撫でられて紗菜は潤んだ目で晃を見上げた。そして唇が落ちてくるのをただ見ていた。
「んっ……ふ、ぁあ……ゃ、ぁふっ……」
体を繋げながら唇までも繋げようとするかのように入り込んでくる舌を紗菜は受け止めることしかできない。
まるで宥めるように頭を撫でられて本当に愛し合っているかのようだ。恋人ではない。彼にとっては誰にでもできることでしかないのだ。
それなのに、口内を掻き回されるほどに紗菜の体は彼を受け入れようとしているかのようだった。
「やっぱりこの方がいいですね」
「ぁ……」
呼吸も力も奪われるようでなすがままだった紗菜の体はそのままソファーに寝かされ、再び晃を見上げることになる。
その目には確かな情欲が宿り、ゾクリとしたものが背筋を駆け抜けていく。
「今度はたっぷり紗菜ちゃんの中で出しますからね」
「ぁっ……」
先程とは違い、晃の陰茎は紗菜の奥まで入り込んでいる。見せつけられた物が今度は中で吐き出される。そう考えてしまっただけで紗菜の体はブルリと震え、圧倒的な存在を感じる。
それが晃にも伝わってしまうことを思い出したのは彼が浮かべた笑みを見てしまってからだった。
「今、中、締まりましたね。想像しちゃいました?」
「ちがっ……」
見透かされたことが恥ずかしくて紗菜は咄嗟に否定するが、晃は聞いていないようだった。
「生でしたらきっと滅茶苦茶気持ちいいんでしょうね。紗菜ちゃんの中から俺の白いのが出てきたら……あぁ、想像しただけでたまらないです」
「ぃやぁ……」
「ははっ、大丈夫ですよ。学生の内はちゃんと避妊しますから」
学生でなくなったら――考えて紗菜は恐ろしくなった。
それまで彼との関係が続いているはずがない。それまでに彼は必ず飽きるはずなのだ。そうでなければ困る。
「想像すると興奮するなぁってだけです。誰かに俺の子供産んでほしいとか、今までそういうこと考えたことなかったんですけど、やっぱり紗菜ちゃんは俺にとって特別な女の子なんだと思います」
「きゃうぅっ……!」
ゆっくりと抜き差しされながら秘芽に触れられれば、強烈な快感が体の中を駆け上る。
「紗菜ちゃんにとって俺は特別じゃないんですか? 俺じゃダメですか?」
「あぁっ……だめっ、そんな、しちゃっ、ぁあんっ!」
問いかけているようで晃は答えを求めていなかったのかもしれない。少なくとも自分にとって不都合な答えは。
それを物語るかのように、そこから先は言葉もなかった。
「あっあぁっ! ゃっ、もぉ……っ!」
晃の腰の動きが速まり、グチュグチュと響く音も紗菜の声も大きくなっていた。
苦痛よりも嫌悪感より快楽が勝ることが紗菜にとっての恐怖だった。
けれども、晃は止まらない。容赦なく紗菜を追い込んでくるのだ。
「イっちゃいそうですか? いいですよ、一緒にイきましょう?」
嫌だと思ってもあらがうことはできない。崖の縁に追い詰められて、ジリジリと足場が危うくなっているようだ。否定したくとも絶頂の気配は確かにそこにあり、トドメのような一突きであっさりと弾けた。
「あっ、ぁあぁんっ!」
ぎゅっと抱き締められた体がビクビクと跳ねる。そして、晃の陰茎がドクドクと脈打つのを感じた気がした。
避妊具は着けているものの、安心できないような気持ちになるのはなぜなのか。
わからないまま、紗菜はただぼんやりと晃を見上げることしかできなかった。
不意に晃に問われて紗菜は首を横に振る。
年上のプライドがあるからではない。何となくぞわぞわするのだ。それを許してしまったら何かが壊れてしまうような気がしていた。
「二人っきりの時だけ……いや、エッチの時だけでもいいですから」
懇願なのだろうか。それでも紗菜が拒否すれば晃は「残念です」と笑う。本当はさほど残念にも思っていないだろう。からかっているだけにすぎないのだ。そう紗菜がほっとしたのも束の間のことだった。
「でも、勝手にエッチしてるわけですし、勝手に呼んじゃいますね」
「え……あぁっ!」
ズンと最奥を突き上げられて紗菜はギュッと晃にしがみつくしかなかった。そうしていなければどうにかなってしまいそうだった。
「紗菜ちゃん」
「ゃっ……だめぇっ」
耳に吹き込まれる声に紗菜はいやいやと首を横に振る。
すること自体は変わらないというのに、妙に耐え難いのはなぜなのか。まるで愛し合っている者同士の行為のように感じてしまうからだろうか。
「可愛いですよ、紗菜ちゃん。何か悪いことしてる感がハンパなくて興奮します」
「おっきくしちゃ、やぁっ!」
晃の陰茎は既に紗菜の中を奥深くまでみっちりと埋めている。それなのに増した圧迫感に紗菜は震えた。
「あっ、わかりました? 紗菜ちゃんが可愛すぎるからおっきくなっちゃうんですよ?」
「ふかっ……ふかいの、やぁっ……」
なぜ、晃は嬉しそうなのか。
わからない内に、しがみつく腕に力が籠もる。逃れようとしても自身の重みによって突き刺さってくるのだ。
「大丈夫ですよ」
何も大丈夫ではない。優しく頭を撫でられて紗菜は潤んだ目で晃を見上げた。そして唇が落ちてくるのをただ見ていた。
「んっ……ふ、ぁあ……ゃ、ぁふっ……」
体を繋げながら唇までも繋げようとするかのように入り込んでくる舌を紗菜は受け止めることしかできない。
まるで宥めるように頭を撫でられて本当に愛し合っているかのようだ。恋人ではない。彼にとっては誰にでもできることでしかないのだ。
それなのに、口内を掻き回されるほどに紗菜の体は彼を受け入れようとしているかのようだった。
「やっぱりこの方がいいですね」
「ぁ……」
呼吸も力も奪われるようでなすがままだった紗菜の体はそのままソファーに寝かされ、再び晃を見上げることになる。
その目には確かな情欲が宿り、ゾクリとしたものが背筋を駆け抜けていく。
「今度はたっぷり紗菜ちゃんの中で出しますからね」
「ぁっ……」
先程とは違い、晃の陰茎は紗菜の奥まで入り込んでいる。見せつけられた物が今度は中で吐き出される。そう考えてしまっただけで紗菜の体はブルリと震え、圧倒的な存在を感じる。
それが晃にも伝わってしまうことを思い出したのは彼が浮かべた笑みを見てしまってからだった。
「今、中、締まりましたね。想像しちゃいました?」
「ちがっ……」
見透かされたことが恥ずかしくて紗菜は咄嗟に否定するが、晃は聞いていないようだった。
「生でしたらきっと滅茶苦茶気持ちいいんでしょうね。紗菜ちゃんの中から俺の白いのが出てきたら……あぁ、想像しただけでたまらないです」
「ぃやぁ……」
「ははっ、大丈夫ですよ。学生の内はちゃんと避妊しますから」
学生でなくなったら――考えて紗菜は恐ろしくなった。
それまで彼との関係が続いているはずがない。それまでに彼は必ず飽きるはずなのだ。そうでなければ困る。
「想像すると興奮するなぁってだけです。誰かに俺の子供産んでほしいとか、今までそういうこと考えたことなかったんですけど、やっぱり紗菜ちゃんは俺にとって特別な女の子なんだと思います」
「きゃうぅっ……!」
ゆっくりと抜き差しされながら秘芽に触れられれば、強烈な快感が体の中を駆け上る。
「紗菜ちゃんにとって俺は特別じゃないんですか? 俺じゃダメですか?」
「あぁっ……だめっ、そんな、しちゃっ、ぁあんっ!」
問いかけているようで晃は答えを求めていなかったのかもしれない。少なくとも自分にとって不都合な答えは。
それを物語るかのように、そこから先は言葉もなかった。
「あっあぁっ! ゃっ、もぉ……っ!」
晃の腰の動きが速まり、グチュグチュと響く音も紗菜の声も大きくなっていた。
苦痛よりも嫌悪感より快楽が勝ることが紗菜にとっての恐怖だった。
けれども、晃は止まらない。容赦なく紗菜を追い込んでくるのだ。
「イっちゃいそうですか? いいですよ、一緒にイきましょう?」
嫌だと思ってもあらがうことはできない。崖の縁に追い詰められて、ジリジリと足場が危うくなっているようだ。否定したくとも絶頂の気配は確かにそこにあり、トドメのような一突きであっさりと弾けた。
「あっ、ぁあぁんっ!」
ぎゅっと抱き締められた体がビクビクと跳ねる。そして、晃の陰茎がドクドクと脈打つのを感じた気がした。
避妊具は着けているものの、安心できないような気持ちになるのはなぜなのか。
わからないまま、紗菜はただぼんやりと晃を見上げることしかできなかった。
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