ダンジョンチケット

夏カボチャ

文字の大きさ
231 / 322
17章 魔王と冥王

ダンジョンチケット230

しおりを挟む
拓武の考えが皆には理解できなかった。本来ならば、世界を手にする事を願いながら叶わぬ夢と諦める者が殆どであり、拓武のように、ゲートを渡り世界の王を倒すなど、有り得ないことであった。
長い間、閉ざされていたゲートが動きだし、世界を繋ぎ始めた事、それ事態が拓武が世界の王になり得る者であると皆は疑わなかった。
しかし、拓武はそんな事を望んではいなかった。

拓武の部屋の前でギルガデムとキーメイスが途方に暮れているとモシュネがやって来た。

「やはり、まだ決まらないか」

「うむ、全てが急過ぎたのやもしれぬ」

ギルガデムもモシュネも若すぎる拓武の感じる心の負担を軽視していた訳ではなかったが、全ての流れが早すぎると感じていた。
力があるからこその苦悩、それは拓武の意思に反し争いの渦中に身を置かねば成らなくなった理由の1つであった。

「我らの王の決断を待とう、我等は王に従うのみだ」
「ふふ、ギルガデム?少し変わったな、以前のお前ならそんな優しいセリフは吐かなかっただろうにな」
「僕からしたら、皆変わったよ?ご主人様は皆を変えたんだ。やっぱり凄いよね」

三人は話を早々に切り上げ、拓武の部屋の前をあとにした。

三人が去ったあと、一人拓武の部屋を尋ねる者がいた。バーダであった。

「入るぞ。拓武」
拓武の返事を待たずに扉を開くバーダ。

部屋の中はカーテンが閉められ日差しが完全に遮断された暗闇の空間が広がっていた。
そんな中、ベットに横になる拓武の姿を見つめるバーダ。
扉を静かに閉めると、そのまま拓武の方に歩いていく。
スヤスヤと眠る拓武の幼い寝顔を見つめながらバーダは拓武の側に座った。

「拓武、いっぱい頑張ったねぇ。アンタは凄いよ」

そんな拓武の目に流れる一筋の涙、そして拓武の寝言「和葉…… ごめん」

「まったく、妬けるねぇ。私はアンタの槍になるよ、ずっと一緒だよ拓武、たまには私の名前も呼んでほしいもんだねぇ」
そう言うとバーダはベットから立ち上がった。
そんなバーダの手を無意識に掴む拓武。

「仕方ないな、特別だぞ」そう言うとバーダは拓武の耳元に近づき一言。
「拓武、許してあげる、だから泣かないで、大丈夫だよ」っと優しくそして、小さく呟いた。
バーダは自身の心を偽りながらも拓武の為にそう言葉を発したのであった。

「あれ、何で私泣いてるんだろう……はは」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした

ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。 しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義! そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。 「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...