ダンジョンチケット

１７章 魔王と冥王

ダンジョンチケット２５７

戻ってからの拓武は何処かぎこちない雰囲気であったが其れは記憶の混乱だろうと皆がそう考えていた。

実際に拓武の中には何千年、何万年もの時代の記憶が一気に流れ込んでいたのだから、誰もそれを疑わなかった。

拓武は直ぐに魔界の王達を集めるとある計画を話した。

「俺は一度、冥界、知界、幻想界を魔界に繋げようと思う」

拓武の言葉に王達は動揺した。
其れは異世界から次々に魔界に別の種族を引き込むと言う事であり、流石の王達も反対をする。

しかし、反対をしたからと言って計画を変更させる力はなく、受け入れる他なかった。

拓武は、先ず知界とのゲートを最優先に取りかからせたのだ。

そんな拓武にモシュネが質問をする。

「主様、余りに今のやり方は不味いのではないかと思います」

モシュネの言葉に対して拓武は頷いた。

「俺は間違ってるって言う事でいいのかな？」

モシュネが黙ったまま、首を縦にして頷いた。

「俺は、和羽を助ける方法を見つけたんだ、だからどんなに敵が増えてもやめる気はない」

「主様……其れは……いえ、失言でした、申し訳ありません」

拓武は力が有りすぎたのだ、そして魔界の者は王に従う、その事実が拓武の行動に拍車をかけていた。

　そんな魔界の動きをよく思わない者がいた。
天界の王ゼウスであった。

ゼウスは、魔界の新しい王が人間と聞き笑っていたが、その人間である拓武が冥界の王となり、次々にゲートを使い世界を侵略している事実に危機感を感じ始めていた。