5 / 28
5 ※
しおりを挟む
晩餐はこちらの郷土料理が主だった。華やかな料理ではなかったが、どれも美味しくて、つい食べすぎてしまったほどだ。
上機嫌のまま湯浴みを済ませ夫婦の寝室に向かうと、アーファ様が幾分か緊張した面持ちで、すでに待っていた。
「お待たせいたしました」
アーファ様は酒を飲んでいたようだ。私は卓上に置かれた蜂蜜色の酒を一瞥し、その隣に持参した小箱を置く。
「それは?」
「色々と必要になるかと思い、用意いたしました」
アーファ様は小首を傾げながら箱の中を覗き込み、言葉を失った。
「こちらは潤滑剤です。性交の際、性器に塗ると滑りがよくなるそうです。あと媚薬ですね。主に男性側に効果があるそうです」
「な、な、なんでこんな物を!?」
「アーファ様は私に勃ちますか?」
包み隠さず問うと、彼は顔を紅潮させる。
「初夜は来賓の方々から注がれたお酒をたくさん召し上がっていたでしょう? 嫌だと言いながら酒の力も手伝い、私との行為を成すことが出来ました。しかし、それ以外では無理なのでは?」
「そんなことは……」
人の良い夫は素直に答えられないようだ。
はっきりと認めてしまえばいいのに、否定したり言い逃れしたりする。話が円滑に進まないことに苛立ちを覚える。
「そのために、お酒を召し上がっていたのでしょう?」
「違います!」
「就寝前に酒を嗜む習慣があるのですか? まあ、どちらでもいいですが……」
私は箱の中に入った媚薬を手に取った。
「どうされますか?」
「い、いりません」
「分かりました。では潤滑剤だけ塗りましょう。私はもう塗って参りましたので、アーファ様もお願いいたします」
ずいっと潤滑剤の瓶を差し出すと、彼は困惑して目を泳がせた。
「両者ともに塗っておくと、身体への負担が少ないそうです」
「ま、まだ勃っていないので……」
「ああ……、男性はその状態で塗っても意味がないのですね。私には無いものなので、扱いが分からなくて申し訳ありません」
私はアーファ様の前に潤滑剤の瓶を置いた。そして、ナイトガウンを纏ったまま寝台に横たわる。
嫌なことは早々に終わらせて自室に戻りたい。
「早くして頂けますか。それとも、私との子は欲しいけれど、私を抱くのは嫌ですか?」
初めての夜。彼は『婚姻に同意はしたけれど、まだ心の整理がついていない。だから貴女を抱きたくない』と言っていた。
それなのに意地になって煽ったのは私だ。
アーファ様はためらいを見せてから、潤滑剤の瓶を手にして寝台に近寄ってきた。
「ガウンは脱がなくて結構です。必要なのは下半身だけなので、必要のない部位には触れないで頂けますか?」
「は……?」
「子を生すためだけの行為ですから、穴と棒さえあればいいはずです」
「穴と棒……」
恥ずかしいけれど、私はアーファ様の前で脚を開いた。
下着を身に着けていないので、露わになった秘部が彼の目の前にさらけ出される。
「吐精後はすぐに離れてください」
「そんなにも僕に抱かれるのが嫌なのですか……」
「嫌です」
「ならば、どうして」
「子を生すことには同意いたしました。だから早くして頂けますか?」
「…………分かりました」
アーファ様は寝台に膝をついて、ナイトガウンの合わせから己の分身を取り出す。
「勃ちませんか?」
「……少し、黙ってください」
彼は目を伏せて、それを上下に擦り始めた。
(なるほど。私を見ていては気分が高まらないから、目を閉じて準備を整えているのね)
初夜のときはどうだっただろう。
私も緊張していたから、彼がどうしていたかなんて覚えていない。案外、同じことをしていたのかもしれない。
そう考えると、心がすっと冷えていく気がした。
私は寝台の端に折り畳まれていた上掛けを引き寄せて、頭から臍までをそれで覆う。
「アーファ様。私、こうやって上半身を隠しておきます。そうすれば誰を抱いているのか見えないでしょう? お好きな女性を想像して、性欲を処理するように抱いてくださってもいいですよ?」
「なっ!? そんな失礼なこと出来るわけないでしょう!」
上掛け越しに、アーファ様の憤る声が響く。
「早くしてください。せっかく潤滑剤を塗ったのに乾いてしまいそうです」
空気に晒されて、少し陰部が冷えてきた。私は暗い上掛けの中で抗議する。
「王族の血を引く子を生すのですよね?」
アーファ様が息を吞んだ気配がした。きしりと寝台が軋んで、開いた脚のあいだに彼は身を寄せる。
「挿れます……」
そう言うと同時に、彼の昂ぶりの先端が蜜口に触れた。
押し開くように狭い蜜孔に肉杭が入ってきて、つるりと彼を咥え込む。
「ぁっ……」
潤滑剤のおかげか、初めての交わりで感じたような痛みはない。しかし腹の奥が圧迫されて息苦しい。
「大丈夫ですか?」
アーファ様は私の顔の横に手をつき、上体を傾けているようだ。上掛け越しに感じる彼の気配が近い。
「大丈夫です! それよりも、もう少し離れてください!」
異物感をやり過ごすのに必死で、強い拒絶の声が出てしまった。
彼は身体を起こして私の腰を掴み、そのまま卑猥な音を立てて太い杭を前後させ始める。その動きに合わせて私の身体はいやらしく揺れた。
「あ……ぁっ、んん……」
必死に声を堪えて、早く終われと何度も心の中で叫ぶ。
私の身体を穿つそれは、刺激を欲しているのか、次第に激しい動きに変わっていく。
強く最奥を突き上げられて、彼を受け入れた蜜路が無意識にぎゅっと締まった。
「ん……っ」
アーファ様のくぐもった小さな声が耳に届く。彼の昂ぶりは最奥で子種をほとばしらせた。
(これを、あと何回繰り返せばいいのかしら……)
彼は下腹部を震わせて、私の中で精を吐き出し続ける。
――気持ちが悪い。
とっさに湧いた吐き気が胸の底を押し上げてくる。
私に対して何も感じていない男性に、一番大切な場所を暴かれている事実が想像以上につらい。
アーファ様はようやく繋がりを抜いて、私から離れた。
その気配を感じて上掛けを外すと、彼は寝台の端で身を整えている。しかし、決して私の方を見ようとはしない。
(初めての夜と同じね……)
私は火照った身体をナイトガウンで隠して、寝台から立ち上がる。
「では、部屋に戻らせていただきます」
一礼して彼を見ると、ようやくその瞳と目が合った。
苦悶の表情というのだろうか。言葉が出てこないようで、口をわずかに開けては、すぐに引き結んでしまう。
「これからも、こういう形で励みましょう。思いのほか早く子が生せるかもしれませんね」
私は持参した箱に諸々を戻して、自室と繋がる扉へ向かう。
「ペレーネ」
「はい、なんでしょう?」
「……貴女は僕のどのような点が嫌になったのですか?」
彼は眉を寄せて苦々しく告げた。
「初夜の行為が気に入らなかったのですか?」
「良し悪しを判断できるほど、性交経験はございません」
この人だって、私の破瓜の血を見たはずだ。
「そういう意味ではなく……」
「なんですか?」
「僕は男としての矜持を傷つけられたような気がします」
「そんなことが気になるのでしたら、愛人でもお持ちになったらどうですか?」
「愛人!?」
アーファ様はぎょっとした顔をして取り乱した。
「私は構いませんよ?」
「そんなつもりはありません!」
「そうですか。では、おやすみなさいませ」
返答も聞かずに、私は自室へ戻り、扉の鍵をかける。
私のために屋敷で一番広く奇麗な部屋をあてがってくれたようだが、湯室はなく、行為後の身体を清めることもできない。
股のあいだに滴る精のぬるさを感じて、私は溜め息をついた。
上機嫌のまま湯浴みを済ませ夫婦の寝室に向かうと、アーファ様が幾分か緊張した面持ちで、すでに待っていた。
「お待たせいたしました」
アーファ様は酒を飲んでいたようだ。私は卓上に置かれた蜂蜜色の酒を一瞥し、その隣に持参した小箱を置く。
「それは?」
「色々と必要になるかと思い、用意いたしました」
アーファ様は小首を傾げながら箱の中を覗き込み、言葉を失った。
「こちらは潤滑剤です。性交の際、性器に塗ると滑りがよくなるそうです。あと媚薬ですね。主に男性側に効果があるそうです」
「な、な、なんでこんな物を!?」
「アーファ様は私に勃ちますか?」
包み隠さず問うと、彼は顔を紅潮させる。
「初夜は来賓の方々から注がれたお酒をたくさん召し上がっていたでしょう? 嫌だと言いながら酒の力も手伝い、私との行為を成すことが出来ました。しかし、それ以外では無理なのでは?」
「そんなことは……」
人の良い夫は素直に答えられないようだ。
はっきりと認めてしまえばいいのに、否定したり言い逃れしたりする。話が円滑に進まないことに苛立ちを覚える。
「そのために、お酒を召し上がっていたのでしょう?」
「違います!」
「就寝前に酒を嗜む習慣があるのですか? まあ、どちらでもいいですが……」
私は箱の中に入った媚薬を手に取った。
「どうされますか?」
「い、いりません」
「分かりました。では潤滑剤だけ塗りましょう。私はもう塗って参りましたので、アーファ様もお願いいたします」
ずいっと潤滑剤の瓶を差し出すと、彼は困惑して目を泳がせた。
「両者ともに塗っておくと、身体への負担が少ないそうです」
「ま、まだ勃っていないので……」
「ああ……、男性はその状態で塗っても意味がないのですね。私には無いものなので、扱いが分からなくて申し訳ありません」
私はアーファ様の前に潤滑剤の瓶を置いた。そして、ナイトガウンを纏ったまま寝台に横たわる。
嫌なことは早々に終わらせて自室に戻りたい。
「早くして頂けますか。それとも、私との子は欲しいけれど、私を抱くのは嫌ですか?」
初めての夜。彼は『婚姻に同意はしたけれど、まだ心の整理がついていない。だから貴女を抱きたくない』と言っていた。
それなのに意地になって煽ったのは私だ。
アーファ様はためらいを見せてから、潤滑剤の瓶を手にして寝台に近寄ってきた。
「ガウンは脱がなくて結構です。必要なのは下半身だけなので、必要のない部位には触れないで頂けますか?」
「は……?」
「子を生すためだけの行為ですから、穴と棒さえあればいいはずです」
「穴と棒……」
恥ずかしいけれど、私はアーファ様の前で脚を開いた。
下着を身に着けていないので、露わになった秘部が彼の目の前にさらけ出される。
「吐精後はすぐに離れてください」
「そんなにも僕に抱かれるのが嫌なのですか……」
「嫌です」
「ならば、どうして」
「子を生すことには同意いたしました。だから早くして頂けますか?」
「…………分かりました」
アーファ様は寝台に膝をついて、ナイトガウンの合わせから己の分身を取り出す。
「勃ちませんか?」
「……少し、黙ってください」
彼は目を伏せて、それを上下に擦り始めた。
(なるほど。私を見ていては気分が高まらないから、目を閉じて準備を整えているのね)
初夜のときはどうだっただろう。
私も緊張していたから、彼がどうしていたかなんて覚えていない。案外、同じことをしていたのかもしれない。
そう考えると、心がすっと冷えていく気がした。
私は寝台の端に折り畳まれていた上掛けを引き寄せて、頭から臍までをそれで覆う。
「アーファ様。私、こうやって上半身を隠しておきます。そうすれば誰を抱いているのか見えないでしょう? お好きな女性を想像して、性欲を処理するように抱いてくださってもいいですよ?」
「なっ!? そんな失礼なこと出来るわけないでしょう!」
上掛け越しに、アーファ様の憤る声が響く。
「早くしてください。せっかく潤滑剤を塗ったのに乾いてしまいそうです」
空気に晒されて、少し陰部が冷えてきた。私は暗い上掛けの中で抗議する。
「王族の血を引く子を生すのですよね?」
アーファ様が息を吞んだ気配がした。きしりと寝台が軋んで、開いた脚のあいだに彼は身を寄せる。
「挿れます……」
そう言うと同時に、彼の昂ぶりの先端が蜜口に触れた。
押し開くように狭い蜜孔に肉杭が入ってきて、つるりと彼を咥え込む。
「ぁっ……」
潤滑剤のおかげか、初めての交わりで感じたような痛みはない。しかし腹の奥が圧迫されて息苦しい。
「大丈夫ですか?」
アーファ様は私の顔の横に手をつき、上体を傾けているようだ。上掛け越しに感じる彼の気配が近い。
「大丈夫です! それよりも、もう少し離れてください!」
異物感をやり過ごすのに必死で、強い拒絶の声が出てしまった。
彼は身体を起こして私の腰を掴み、そのまま卑猥な音を立てて太い杭を前後させ始める。その動きに合わせて私の身体はいやらしく揺れた。
「あ……ぁっ、んん……」
必死に声を堪えて、早く終われと何度も心の中で叫ぶ。
私の身体を穿つそれは、刺激を欲しているのか、次第に激しい動きに変わっていく。
強く最奥を突き上げられて、彼を受け入れた蜜路が無意識にぎゅっと締まった。
「ん……っ」
アーファ様のくぐもった小さな声が耳に届く。彼の昂ぶりは最奥で子種をほとばしらせた。
(これを、あと何回繰り返せばいいのかしら……)
彼は下腹部を震わせて、私の中で精を吐き出し続ける。
――気持ちが悪い。
とっさに湧いた吐き気が胸の底を押し上げてくる。
私に対して何も感じていない男性に、一番大切な場所を暴かれている事実が想像以上につらい。
アーファ様はようやく繋がりを抜いて、私から離れた。
その気配を感じて上掛けを外すと、彼は寝台の端で身を整えている。しかし、決して私の方を見ようとはしない。
(初めての夜と同じね……)
私は火照った身体をナイトガウンで隠して、寝台から立ち上がる。
「では、部屋に戻らせていただきます」
一礼して彼を見ると、ようやくその瞳と目が合った。
苦悶の表情というのだろうか。言葉が出てこないようで、口をわずかに開けては、すぐに引き結んでしまう。
「これからも、こういう形で励みましょう。思いのほか早く子が生せるかもしれませんね」
私は持参した箱に諸々を戻して、自室と繋がる扉へ向かう。
「ペレーネ」
「はい、なんでしょう?」
「……貴女は僕のどのような点が嫌になったのですか?」
彼は眉を寄せて苦々しく告げた。
「初夜の行為が気に入らなかったのですか?」
「良し悪しを判断できるほど、性交経験はございません」
この人だって、私の破瓜の血を見たはずだ。
「そういう意味ではなく……」
「なんですか?」
「僕は男としての矜持を傷つけられたような気がします」
「そんなことが気になるのでしたら、愛人でもお持ちになったらどうですか?」
「愛人!?」
アーファ様はぎょっとした顔をして取り乱した。
「私は構いませんよ?」
「そんなつもりはありません!」
「そうですか。では、おやすみなさいませ」
返答も聞かずに、私は自室へ戻り、扉の鍵をかける。
私のために屋敷で一番広く奇麗な部屋をあてがってくれたようだが、湯室はなく、行為後の身体を清めることもできない。
股のあいだに滴る精のぬるさを感じて、私は溜め息をついた。
285
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる