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幼なじみのピンチ

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 学校では白峰に声をかけるチャンスは見つからず、結局俺はモンキーと一緒に下校することになってしまった。

「白峰のやつ、もうちょっと話しかけやすい雰囲気出してくれればいいのに……」

 お店のレジカウンターで頬杖をつきながら、俺は学校での白峰の態度についてそんなことをボヤいてしまう。
 この店では多少白峰と話すことには慣れてきたものの、教室では要塞のごとく近付くなオーラを放ってくるせいで相変わらず挨拶一つすることさえも難しい状況なのだ。

 これは学校での人付き合いについても指導するべきか、なんてことを考えていると視界の隅でガラス扉が開いた。

「あら、もう帰ってたのね」

 お店に入ってきて俺の顔を見るなり、白峰が素っ気ない態度でそんなことを言ってくる。言葉だけを聞くと、もはやコイツもここに住んでるんじゃないかと疑いたくなるような台詞だ。
 俺は小さくため息を吐き出すと、レジ下の棚に置いていたモンキーをそっと取り出して白峰の方へと近づいていく。

「これ、返しとくぞ」

 そう言ってお猿を差し出せば、白峰が黙ったまま何やら怪訝そうな瞳を俺へと向けてきた。

「あのな……俺が一晩かけて頑張って直したんだから受け取ってくれよ」

 昨日と同じく頑なに受け取ろうとしない相手に向かって呆れた口調でそんなことを言えば、白峰が「はぁ」と息を吐いてからしぶしぶといった態度でモンキーを受け取る。

「私が買ったはずの商品で女の子と仲良くなれて良かったわね」

「……」

 何その言い方、すっごく棘があるような気がするんですけど?

 何故か不機嫌な口調でそんなことを言われてしまい、俺は思わずジト目を向けてしまう。
 まあでもこれで親父との約束も果たせたし小言を言われることはないだろうと気を取り直していると、モンキーを鞄にしまった白峰が慣れた様子でスタスタと二階へと上がっていく。どうやらさっそく仕事モードに切り替えるようだ。

 そういうところは真面目で感心できるんだけどなぁ、なんてことをぼんやりと考えていたら再びガラス扉が勢いよく開いた。

「翔太おるッ!」

「うおっ、なんだよ茜!」

 突然、制服姿の茜がやってきて俺は思わず声を上げた。

「ちょっと今すぐ家に来て!」

「……はい?」

 血相を変えていきなり意味不明なことを言ってくる茜に、今度はぽかんとした表情を浮かべてしまう俺。
 するとズカズカと俺の目の前までやってきた茜が、「アイツがおったから何とかして!」と両手で胸ぐらを掴んで激しく揺さぶってくるではないか。

 いやあの……誰でもいいんで、まずはこの子を何とかして下さい。
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