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「と、まあそう思ったからさっきのことは説教として全部公爵閣下に言っといたから安心して」
「へーそうな……いや、え?言ったの?」
僕は二重の意味で驚く。公爵様に対して説教したのはもちろんのこと、あの臆病ものな兄が?という意味で。
「普段の小心者の私なら言えなかっただろうけど、弟の命に関わるってなったら無意識にしてただけなんだけどね。説教が終わった後、冷静になって床に公爵閣下を正座させてる事実に気付いた時、死を覚悟したよ」
「え、正座まで?」
益々兄らしくない行動に実は兄の妄想なんじゃ?と思ってしまう自分がいる。でも平気そうなふりをしながら青い顔色を見る限り嘘のようには思えない。そういえば普段から兄が怒ったところって見たことなかったけど、怒ると周りが見えなくなるタイプだったんだろうか?
「人間周り見えなくなったら本当何しでかすかわかったもんじゃないよね」
「う、うん」
とりあえず兄を怒らすような真似は今後もしないに限るなと思う。あの公爵様に正座させて説教するくらいなんだから。無事ということは許されたんだろうけど、しばらく眠れなかったのか、よく見るとうっすらと目の下にクマが……。
「正直きっかけはシャロンだけど、今まで我慢してたことを公爵様に八つ当たりした気分でもあるんだよね」
「あー……」
どうしよう……なんとなーく僕も似たようなことをした記憶がある。それも一番最近の記憶で。やっぱ僕と兄は兄弟なんだなと思う瞬間だ。多分限界まで溜め込んで一気に出してしまう面倒なタイプなんだろうな。なので兄の言葉に僕は何も言えない。
「なのに許してくれた公爵閣下は思ったより不器用なだけで優しい人なんだと認識を若干改めたよ。まあ頼りないなあとは思うけど」
「お兄様……」
本当に反省してる?と思う兄のこの態度。でも、僕を想って言ってくれたのもわかるから注意する気になれないんだよね。この兄がいたからこそ、僕も生まれた家でグレることもなく育ったと思えてるし。
逆にあの環境で、まだ僕が生まれてない間兄が一人で歪むことなく育ったことの方が不思議だ。まあ僕は同性愛の件もあったし、兄とは状況が違うけど。同性愛者だと言う前は親もまだ優しかった方だし……。僕の婚約者を次々と見つけようと必死だっただけだけど。
それに嫌気が差してつい僕はつい告白しちゃったんだよね。あの時の親の怒りようは忘れたくても忘れられない。
変なことを思い出したせいか兄がいるのに眠くなってきたな……。
「あ、起きたばかりなのに話に付き合わせすぎたね。眠いなら寝るといいよ」
「うん……せっかく来てくれたのにごめんね」
「気にしないで。シャロンはまだ身体を休める時期だから」
「あり、がと……う」
僕の様子にいち早く気付いた兄は、僕の頭を撫でて寝るのを待ってくれた。僕はその心地よさに再び目を閉じるのだった。
「へーそうな……いや、え?言ったの?」
僕は二重の意味で驚く。公爵様に対して説教したのはもちろんのこと、あの臆病ものな兄が?という意味で。
「普段の小心者の私なら言えなかっただろうけど、弟の命に関わるってなったら無意識にしてただけなんだけどね。説教が終わった後、冷静になって床に公爵閣下を正座させてる事実に気付いた時、死を覚悟したよ」
「え、正座まで?」
益々兄らしくない行動に実は兄の妄想なんじゃ?と思ってしまう自分がいる。でも平気そうなふりをしながら青い顔色を見る限り嘘のようには思えない。そういえば普段から兄が怒ったところって見たことなかったけど、怒ると周りが見えなくなるタイプだったんだろうか?
「人間周り見えなくなったら本当何しでかすかわかったもんじゃないよね」
「う、うん」
とりあえず兄を怒らすような真似は今後もしないに限るなと思う。あの公爵様に正座させて説教するくらいなんだから。無事ということは許されたんだろうけど、しばらく眠れなかったのか、よく見るとうっすらと目の下にクマが……。
「正直きっかけはシャロンだけど、今まで我慢してたことを公爵様に八つ当たりした気分でもあるんだよね」
「あー……」
どうしよう……なんとなーく僕も似たようなことをした記憶がある。それも一番最近の記憶で。やっぱ僕と兄は兄弟なんだなと思う瞬間だ。多分限界まで溜め込んで一気に出してしまう面倒なタイプなんだろうな。なので兄の言葉に僕は何も言えない。
「なのに許してくれた公爵閣下は思ったより不器用なだけで優しい人なんだと認識を若干改めたよ。まあ頼りないなあとは思うけど」
「お兄様……」
本当に反省してる?と思う兄のこの態度。でも、僕を想って言ってくれたのもわかるから注意する気になれないんだよね。この兄がいたからこそ、僕も生まれた家でグレることもなく育ったと思えてるし。
逆にあの環境で、まだ僕が生まれてない間兄が一人で歪むことなく育ったことの方が不思議だ。まあ僕は同性愛の件もあったし、兄とは状況が違うけど。同性愛者だと言う前は親もまだ優しかった方だし……。僕の婚約者を次々と見つけようと必死だっただけだけど。
それに嫌気が差してつい僕はつい告白しちゃったんだよね。あの時の親の怒りようは忘れたくても忘れられない。
変なことを思い出したせいか兄がいるのに眠くなってきたな……。
「あ、起きたばかりなのに話に付き合わせすぎたね。眠いなら寝るといいよ」
「うん……せっかく来てくれたのにごめんね」
「気にしないで。シャロンはまだ身体を休める時期だから」
「あり、がと……う」
僕の様子にいち早く気付いた兄は、僕の頭を撫でて寝るのを待ってくれた。僕はその心地よさに再び目を閉じるのだった。
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