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「それで、その、冒険者登録には血が必要でしてちくっと軽く針で刺すのですが……………ギルドマスター呼んできますぅぅぅ!」
「え?おねしゃーん?」
「お前………何をしたんだ?」
「うーん、わかんにゃい」
まあわかってるけど人のいる場で話してしまえば、より混乱を招いてしまうだろうし。不思議そうにするカイザーにはにっこりと笑って答えておく。
しばらくするとドタバタと音を立てて、図体の大きいおじさんがお姉さんと一緒に来た。
「り、リバースで……」
「だめだよ?」
すぐさま殿下呼びされそうになり、僕は止めると、おじさんはごくりと言いかけた言葉を止め、息を呑む。
「で、では、リバース様……で?」
「うーん、まあ、いいかな」
「ありがとうございます。私はこのギルドを管理するギルドマスターハイエです……ははは」
図体はでかいのにびくびくするなんて権力者には弱いんだろうか?そんな人がギルドマスターなんて逆に不安だけど、さすがにそこまで口には出せない。
「その、この度はうちのギルドの冒険者がたいっへん!申し訳なく……」
「うん、そこはしっかりこれからとりしまってくれればいいから、とうりょくさせて?」
同じ下りはもう疲れた。登録だけにどれだけ時間をかければ………と思っていれば急に真面目な顔になるギルドマスターハイエ。びくびくした雰囲気が消え、お?となる。
「登録前に注意事項があります。冒険者に登録された場合、本人の身分による権力は他冒険者と同等になり、冒険者本人が権力の乱用はできないものとなります。冒険者同士の争いは基本自己責任。そして、依頼中の事故、死亡もまた自己責任になります。同意していただけなければ登録はできません」
「うん、どーい、すりゅよ」
「そうですか。では、こちらにサイン………文字は書けますか?」
「うん!」
他にも色々書かれた同意書を読んでサインを書く。ハイエさんはそれを確認して針を用意した。
「指を出していただけますか?」
「はい!」
「ちくっとしますよ」
「ん」
本当にちくっとしただけだった。そしてその血の出た指を同意書のサインをした部分に押すようにされ、同意書に血がついたとたん光出す同意書。それは形を変え、緑のカードとなる。
「おお……」
「これで登録完了です。これは依頼の受け付け、完了報告時などに必要なのでなくさないようにお願いします」
「はーい!」
ハイエさんは既にびくびくした様子はない。丁寧な対応は崩さないけど、少し見くびりすぎたかな。今は堂々とした姿だ。僕が大して気にしてないのを理解したのかも。
「ハイエ、ついでに俺とパーティー登録を頼む」
「カイザーがリバース様の実質保護者になるわけか。勇者パーティーを追い出されたと聞いたが、リバース様の保護者代わりをするためか?」
「いや、ちが……」
「勇者パーティーは魔王退治のために日々忙しくしているから、いくら実力があろうと、子供を入れては遅れが生じるだろうし、ひとりが抜けて別にパーティーを作るのが一番だろうな。それならリバース様も安心できるだろうし。カイザーの代わりを探すのは大変だろうが、勇者パーティーならなんとかなるだろ」
なんか誤解が生まれている気がするけど、まあパーティー登録できるならいいか。
「だから……」
「とにかくお前のギルドカードも渡せ。登録してやるから」
「はぁ………ああ」
ハイエさんへの誤解をとく気力が失われたのだろう。諦めたようにカイザーは僕を片手で抱き直し、ポケットを探ってはギルドカードをハイエさんに渡す。
そしてハイエさんは後ろにいるお姉さんに僕とカイザーさんのギルドカードを渡しては、こちらに向き直る。
「今頼みましたんで少し待ってくださいね」
ハイエさんが自分でするわけじゃないのか……なんて思いながら、僕には相変わらず丁寧なハイエさんがそう言った。登録したら身分関係ないんじゃ?とは思ったけど、まあ本人がいいならいいとしよう。
「え?おねしゃーん?」
「お前………何をしたんだ?」
「うーん、わかんにゃい」
まあわかってるけど人のいる場で話してしまえば、より混乱を招いてしまうだろうし。不思議そうにするカイザーにはにっこりと笑って答えておく。
しばらくするとドタバタと音を立てて、図体の大きいおじさんがお姉さんと一緒に来た。
「り、リバースで……」
「だめだよ?」
すぐさま殿下呼びされそうになり、僕は止めると、おじさんはごくりと言いかけた言葉を止め、息を呑む。
「で、では、リバース様……で?」
「うーん、まあ、いいかな」
「ありがとうございます。私はこのギルドを管理するギルドマスターハイエです……ははは」
図体はでかいのにびくびくするなんて権力者には弱いんだろうか?そんな人がギルドマスターなんて逆に不安だけど、さすがにそこまで口には出せない。
「その、この度はうちのギルドの冒険者がたいっへん!申し訳なく……」
「うん、そこはしっかりこれからとりしまってくれればいいから、とうりょくさせて?」
同じ下りはもう疲れた。登録だけにどれだけ時間をかければ………と思っていれば急に真面目な顔になるギルドマスターハイエ。びくびくした雰囲気が消え、お?となる。
「登録前に注意事項があります。冒険者に登録された場合、本人の身分による権力は他冒険者と同等になり、冒険者本人が権力の乱用はできないものとなります。冒険者同士の争いは基本自己責任。そして、依頼中の事故、死亡もまた自己責任になります。同意していただけなければ登録はできません」
「うん、どーい、すりゅよ」
「そうですか。では、こちらにサイン………文字は書けますか?」
「うん!」
他にも色々書かれた同意書を読んでサインを書く。ハイエさんはそれを確認して針を用意した。
「指を出していただけますか?」
「はい!」
「ちくっとしますよ」
「ん」
本当にちくっとしただけだった。そしてその血の出た指を同意書のサインをした部分に押すようにされ、同意書に血がついたとたん光出す同意書。それは形を変え、緑のカードとなる。
「おお……」
「これで登録完了です。これは依頼の受け付け、完了報告時などに必要なのでなくさないようにお願いします」
「はーい!」
ハイエさんは既にびくびくした様子はない。丁寧な対応は崩さないけど、少し見くびりすぎたかな。今は堂々とした姿だ。僕が大して気にしてないのを理解したのかも。
「ハイエ、ついでに俺とパーティー登録を頼む」
「カイザーがリバース様の実質保護者になるわけか。勇者パーティーを追い出されたと聞いたが、リバース様の保護者代わりをするためか?」
「いや、ちが……」
「勇者パーティーは魔王退治のために日々忙しくしているから、いくら実力があろうと、子供を入れては遅れが生じるだろうし、ひとりが抜けて別にパーティーを作るのが一番だろうな。それならリバース様も安心できるだろうし。カイザーの代わりを探すのは大変だろうが、勇者パーティーならなんとかなるだろ」
なんか誤解が生まれている気がするけど、まあパーティー登録できるならいいか。
「だから……」
「とにかくお前のギルドカードも渡せ。登録してやるから」
「はぁ………ああ」
ハイエさんへの誤解をとく気力が失われたのだろう。諦めたようにカイザーは僕を片手で抱き直し、ポケットを探ってはギルドカードをハイエさんに渡す。
そしてハイエさんは後ろにいるお姉さんに僕とカイザーさんのギルドカードを渡しては、こちらに向き直る。
「今頼みましたんで少し待ってくださいね」
ハイエさんが自分でするわけじゃないのか……なんて思いながら、僕には相変わらず丁寧なハイエさんがそう言った。登録したら身分関係ないんじゃ?とは思ったけど、まあ本人がいいならいいとしよう。
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