婚約破棄よりも私は婚約者の頭が気になります

荷居人(にいと)

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「君、誰?」

あああっ!首を傾げないでアルアル!小鳥さんが必死にバタバタと羽根を動かして留まろうとしてるではないの!明らかに飛び慣れてない様子じゃない!

「まあ、照れてらっしゃるんですね!貴方の隣に立つものですわ」

あ……なんとかうまく頭に乗ったようね。それにしても電波ヒロインは強いわね?私でもアルアルと一緒のところをよく見かけたけど、彼本気で貴女のこと忘れてるわよ?元々乙女ゲームで彼を攻略するには名前を覚えてもらうところが一番大変だったし。

「隣に立つ……なるほど、君は私の騎士かな?」

何より頭の思考回路が他の人と違う。悪い人ではないんだけど………。アルアル、ひらめいた!とばかりに言うのはいいけどドレスを着た騎士がいるわけないでしょうに。

「アルアル、この令嬢は騎士じゃないですよ。それと頭の上に……」

「悪役令嬢は黙っててくれますかぁ?」

この無礼電波ヒロイン……。小鳥を救出したいのに何遮ってくれてんのよ……!見えてないの!?あのいたいけな姿が!電波な時点でヒロインが私と同じく転生者だって気づいてるんだからね!?いや、だから何って言われたら何もないんだけど!

「悪役……令嬢……!ビビンバ、いつの間にそんなかっこいいあだ名を?」

「私はビビアンです。せめて幼い頃から一緒にいる私の名前くらい覚えてください……!」

そしてアルアルはこれである。このコンビ物凄く疲れるからその場を離れたいけど小鳥さんがそうはさせてくれない。私が去れば小鳥さんはどうなるかわかったものじゃないのだから。

「あ!ビビアン……確かそういう名前だった!」

「そういう名前だったじゃなく、最初からその名前です!」

これだから私はアルアルと結婚したいとまでは思わなかったのだ。名前ひとつでここまで疲れる会話があるだろうか?ないだろう。

「あー婚約者なのに、名前も覚えてもらってないんですかぁ?」

さらにこれが混ざるのだから余計に疲れる。電波ヒロイン、あんたは姿すら忘れられているからね?毎日話しかけながら相手にされてなかった証拠だよ?

まあバカだからわからないのだろう………バカだから。

乙女ゲームはもっと楽に婚約破棄イベントは終わってたはずなのに何故現実はこうも疲れるんだろうか。小鳥さんとフランスパンというイレギュラーのせい?

この二つをイレギュラーとして認めていいの?

「ぴよぴよ」

うん、小鳥さんはレギュラー確定に異論なんて認められないわね。誰もが認めなくても悪役令嬢の私が認めるわ。
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