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邪魔が入る少し前

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「陛下ー!私が犯人ですーっ!」

などと叫ぶ宰相のせいで、スモール家との会話が途切れる少し前。





「まさかすぐ会うことになるとはな、嬉しく思う」

中々思いどおりにいかないイライラした中でその褒美とばかりに数時間前去ったはずの癒しが戻ってきた。

「ところで………その異様に背が高い男はなんだ?」

本来ならそれだけで気分もよくなっただろう。しかし、見知らぬ男を連れて来たことでそれは叶わない。のっぽのような男はコルトリアのなんなのか。すぐ問い詰めた。

「お初お目にかかります。私はスモール家の長男トール・スモールと申します」

俺に物怖じしないとは益々気に食わん。と思いかけたところで、考えもしなかった自己紹介。

「長男………?………随分背が高い兄だな……?」

絶対養子に違いない。そう思った。それぐらいに背丈の差が激しいからだ。

「よく間違われるのですが弟です」

なんて思っていればさらなる衝撃。

「弟………?」

養子だといってもこの差はスモール家一家と比べるからひどく感じられるのだろうか?どう見ても俺より背が高いが。

「はい、弟です。姉の二歳下になります」

「二歳もか………!?」

一歳年下でも信じられないというのに………なんという………。

「なので成人もまだです」

「…………」

成人していない………?コルトリアは成人していて、このトールという男はまだ子供………子供………?

頭が混乱しすぎておかしくなりそうだった。別に悪いとは言わないが………姉弟揃って年齢詐欺ではないよな?

「……失礼した」

そんなわけないか。する必要も思い当たらないのだからとなんとか意識を戻す。

「いえ、よくあることなので」

だろうな。そう返事をしかけたが、なんとか呑み込む。

「そうか………で、宰相襲撃の件についてだったな。このせいでコルトリアの結婚手続きを宰相に頼んでいたのもあり、コルトリアとの籍がまだ入れられていない。にしても発覚したのはコルトリアらが帰った後だ。どう知った?」

そうして本題に入り、疑問を投げ掛ける。知ってからそう時間が経ってないだけに護衛の騎士たちも知らない事情だ。だからこそ情報が漏れたにしても早すぎたための当然の疑問。

「あうあうあう」

「あー……また怖がらせたか……?あうあう語は生憎習っていなくてだな……」

特に怖がらせたつもりはなかったが、場が場なだけに緊張させてしまっているのかもしれない。自分で言ってなんだが、あうあう語ってなんだ。なんのフォローにもならん。

「陛下、父に代わり私が話してもいいでしょうか?」

話が進みそうにないと困っていれば成人してないはずのトールが父親の代わりを勤めると自ら手を挙げる。

「本当に成人してないのか……?」

あまりに堂々としていて大人顔負けと言ってもいいほどしっかりとした弟のようだ。未だに成人していないのか疑ってしまうほどには。

「え?」

「ごほん……何でもない。許可する」

「ありがとうございます。まず知った理由ですが………」

つい漏れた本音を誤魔化して許可を出せば至極丁寧にわかりやすくスモール家の帰宅後の話が始まった。
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