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4章(真面目版)悪役令嬢の知らない想いと記憶~アムール(ロイエ)編~
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レヴェリーと過ごす日々は楽しくて時間はすぐに過ぎてしまう。公爵の子息としての勉強も将来レヴェリーにかっこいいところを見せるためにと子供っぽい理由で励んだ。
「レヴェリー嬢とはうまくやっているか?」
そんな勉学の休憩の合間を見てときどき父からそんな質問をされた。
「レヴェリー………レヴェリー嬢は僕にもったいないくらい愛らしくて守ってあげたい存在です。泣いていたら慰めたいし、笑っていればその笑顔をずっと見ていくためにも僕が笑わせてあげたい。そう思います」
父に見栄を張ったかもしれない。笑われる理由なんて今はカッコ悪いことばかりだ。でも、その想いに嘘はない。守るなんて僕ではまだまだだけれど、それでも守るためにできることは全てしてレヴェリーにはずっと僕の隣で笑ってくれたらとこの時は純粋にそう思っていた。
「そうか………ならいい」
解答に満足したのか、それを聞けば父はすぐ去っていく。父なりに僕たちを心配してくれているのがわかる。
父が決めた婚約とは言うけれど、僕は感謝していた。これだけ夢中になれる人がいて違う人と婚約してしまっていたら僕はきっと幸せにしてやれないと思うから。
まだ子供の癖に生意気だろうか?
そんなことを思えばやはり僕は幸せものだななんて信じて疑わなかった。だから常にレヴェリーとの未来を思い浮かべては今を大切にしたいと、そう考えてばかりいた。
レヴェリーの未来が短いなんてことを知らずに。
レヴェリーに会う度積もっていく愛は学園に入っても尚続いた。しかし月日が経つごとにレヴェリーともだんだん会えない日々が増えていった。
学園にすら来てない日々。何かあったのかと不安で父に聞けばお前は知らなくていいと、それだけ。僕の婚約者のことだというのに。
それでも諦めきれずに父に内緒でホープ侯爵家へ行ってしまったのがレヴェリーをひとりで死なせてしまう第一歩だった。
「ロイエ様!どうしてここへ………」
僕を見つけて慌てて使用人が呼んでくれたのはホープ侯爵で驚いた様子で僕を出迎えてくれたが、急な訪問もありレヴェリーの元へは案内してもらえるわけもなく、客間へ案内された。
僕と侯爵二人での対面はこれが初めてだった。
「素直に言います。父に内緒でレヴェリー嬢の様子を見に来ました。お願いします、会わせてください!」
「いや、その、レヴェリーは………」
遠回しに言ったところで意味がないと思い、最初から直球で聞くと侯爵は視線をさ迷わせる。困りきったようなそんな表情で、押せばいけると思えた。
「お願いします!レヴェリー嬢は、レヴェリーは僕の婚約者です!僕は誰よりもレヴェリーが好きです!生涯レヴェリーを愛します!だから、会わせてください!」
決められた婚約だから心配して来ているわけではないと、そう伝えたくて必死に言う。本人の前では言えない好きや愛しているという言葉を添えて。
そんな僕の言葉を聞いてか、とたん侯爵の表情が変わった。
「そんなに娘を愛してしまったのか………」
「え?」
聞き間違えだろうか?そんな言葉が侯爵の口から呟かれた気がした。
「レヴェリー嬢とはうまくやっているか?」
そんな勉学の休憩の合間を見てときどき父からそんな質問をされた。
「レヴェリー………レヴェリー嬢は僕にもったいないくらい愛らしくて守ってあげたい存在です。泣いていたら慰めたいし、笑っていればその笑顔をずっと見ていくためにも僕が笑わせてあげたい。そう思います」
父に見栄を張ったかもしれない。笑われる理由なんて今はカッコ悪いことばかりだ。でも、その想いに嘘はない。守るなんて僕ではまだまだだけれど、それでも守るためにできることは全てしてレヴェリーにはずっと僕の隣で笑ってくれたらとこの時は純粋にそう思っていた。
「そうか………ならいい」
解答に満足したのか、それを聞けば父はすぐ去っていく。父なりに僕たちを心配してくれているのがわかる。
父が決めた婚約とは言うけれど、僕は感謝していた。これだけ夢中になれる人がいて違う人と婚約してしまっていたら僕はきっと幸せにしてやれないと思うから。
まだ子供の癖に生意気だろうか?
そんなことを思えばやはり僕は幸せものだななんて信じて疑わなかった。だから常にレヴェリーとの未来を思い浮かべては今を大切にしたいと、そう考えてばかりいた。
レヴェリーの未来が短いなんてことを知らずに。
レヴェリーに会う度積もっていく愛は学園に入っても尚続いた。しかし月日が経つごとにレヴェリーともだんだん会えない日々が増えていった。
学園にすら来てない日々。何かあったのかと不安で父に聞けばお前は知らなくていいと、それだけ。僕の婚約者のことだというのに。
それでも諦めきれずに父に内緒でホープ侯爵家へ行ってしまったのがレヴェリーをひとりで死なせてしまう第一歩だった。
「ロイエ様!どうしてここへ………」
僕を見つけて慌てて使用人が呼んでくれたのはホープ侯爵で驚いた様子で僕を出迎えてくれたが、急な訪問もありレヴェリーの元へは案内してもらえるわけもなく、客間へ案内された。
僕と侯爵二人での対面はこれが初めてだった。
「素直に言います。父に内緒でレヴェリー嬢の様子を見に来ました。お願いします、会わせてください!」
「いや、その、レヴェリーは………」
遠回しに言ったところで意味がないと思い、最初から直球で聞くと侯爵は視線をさ迷わせる。困りきったようなそんな表情で、押せばいけると思えた。
「お願いします!レヴェリー嬢は、レヴェリーは僕の婚約者です!僕は誰よりもレヴェリーが好きです!生涯レヴェリーを愛します!だから、会わせてください!」
決められた婚約だから心配して来ているわけではないと、そう伝えたくて必死に言う。本人の前では言えない好きや愛しているという言葉を添えて。
そんな僕の言葉を聞いてか、とたん侯爵の表情が変わった。
「そんなに娘を愛してしまったのか………」
「え?」
聞き間違えだろうか?そんな言葉が侯爵の口から呟かれた気がした。
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