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1章
夫婦生活初日の初デート5
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「カードごとき簡単なのでしょう?」
「い、イカサマだー!」
決着は着いたその瞬間、豚は立ち上がり私に指を差して冷や汗と青ざめた顔で大声を出す。
ええ、イカサマですけど何か?と言いたいけれどそこは言っては負けになる。自分も下手なイカサマをしながらよく言えると笑いたくなるくらいにはもう怒りは発散された。
なくなるばかりのチップに、あれだけ自信満々だった姿が弱々しくなり、焦る姿は滑稽で、最後の止めロイヤルストレートフラッシュは観客の興奮した声もあって、達成感すらある。
「イカサマ?何のことかしら?私何分カジノは初めてなの」
「い、イカサマじゃなきゃありえない!」
「なぜ?ただ単に運がよかっただけだわ。それに負けた今言うのは言いがかりにしかならないわ。」
「私の妻に手を出すだけでなく、負け惜しみ、イカサマ扱いとは嘆かわしい。よっぽど私に喧嘩を売りたいようですね」
「ひ、ひぃ・・・っ」
あらあら、大の大人が若者相手になんて情けない姿かしら。
「これだけのチップ一体いくらぐらいのゴミが届くのかしら?」
「ざっと1億かな?」
「い・・・っ!?そ、そんなバカなっ!」
「何を驚いているんです?1億くらい安いものでしょう?君のチップは1000万にもならないものだけど、私が妻に送ったチップは全部で1億近くはあるんですよ?いくらかそこのディーラーに負けて減ってはいましたけど」
遊び感覚のチップが物凄く重いものに感じてきたわ。稼ぎにならないのにそんな大金が動いていたなんて・・・。時雨の資産は一体いくらなのかしら?さすがに気になってきたわ。
「1億をゴミにするなんて私にはとてもできないわ。貴方にとってカードごときの簡単な勝負でしたのに、負けてくださってありがとうございます。」
まあせっかくの機会、無駄な1億を利用した嫌味のひとつくらい許されるでしょう。
立ち上がってはスカートの端を掴み、軽くお辞儀をして、笑みを作れば、皮肉を込めて言った言葉。それは遠回しでもなんでもない。そこに怒りを感じていたという意味を再確認させたつもりだ。
満足したとばかりに時雨を見れば、わかったとばかりに腕を差し出されたので、その腕に寄り添うようにして抱きつく。
「明日、ゴミの処分をしてあげますから必ず送ってくださいね?届かなかった場合は、手加減もできそうにないです。」
「は、い・・・っ」
限界だったのだろう。ついに豚は気絶した。
手加減なんてするつもりもなさそうに見えるけど、にこにこと笑う時雨は、無表情が常の私と同じように考えが見えない。そんな時雨とのカードゲームは、瑠璃とする以上に楽しそうだ。帰る前にトランプを買っていきたいと言おうかしら?もうどこかに用意されていそうだけど。
「皆様、この場を盛り上げてくださりありがとうございました」
カジノを出ようとして時雨が周囲を見渡すのを見て、ああ、そうだと一瞬頭から抜け落ちていた観客の存在思い出した。
そんな今だこの場を見守る観客に愛想笑いを浮かべてお礼を告げれば、どよっと蠢く周囲。観客がいたからこそ、あの達成感もあり、より楽しめたというもの。ただ見ていただけのつもりの周囲からすれば、訳がわからないだろうが、素直な感謝だ。
「では、そろそろ出ようと思うので道を開けていただけますか?そこの君は、そのチップを換金してくれないかな」
「は、はい!」
ざっと囲んでいた人たちが道を開ける。換金を頼まれたディーラーは時雨を相手にしていた人だ。余程時雨にしてやられたのか、こんな状況の中で安堵すら見てとれるディーラーは、ただ一人、この豚に救われた人物かもしれない。
私だって豚の発言がなければこのまま普通に遊んでいたし、時雨も私が飽きるまでしていたことだろうから。
換金したと言っても大金を持ち歩くわけにもいかないため、振り込みの形になるようだ。逆に負け続け買った分のチップの場合は引き落とされるとのこと。口座登録を先にして、その人の資産を割り出した後に、会員と認められることでこのカジノは利用できるようだ。
カジノを出てまだ明るい外に、そういえば朝だったなとカジノの落ち着いた雰囲気でおかしな感覚になる。カジノと言えば夜のイメージがあったから。行く時は時雨の自然なエスコートと初めてのカジノで気分があがっていたせいか、気にもならなかった。
「お昼には少し早いけど、どうする?」
「勝利に相応しい、貴方のおすすめの場所を案内して」
「かしこまりました、僕のお姫様」
冗談混じりの言葉に、ふっと笑みを浮かべて車のドアを開けてくれる時雨に、どこかまだ浮わついた私の気分は上々する。
恋はともかく、私を一方的によく知るストーカー夫は、どこまでも私を満足させようとしてくれる。例え恋愛がわからなくても、この人と夫婦な限り退屈はしなさそうだ。
「い、イカサマだー!」
決着は着いたその瞬間、豚は立ち上がり私に指を差して冷や汗と青ざめた顔で大声を出す。
ええ、イカサマですけど何か?と言いたいけれどそこは言っては負けになる。自分も下手なイカサマをしながらよく言えると笑いたくなるくらいにはもう怒りは発散された。
なくなるばかりのチップに、あれだけ自信満々だった姿が弱々しくなり、焦る姿は滑稽で、最後の止めロイヤルストレートフラッシュは観客の興奮した声もあって、達成感すらある。
「イカサマ?何のことかしら?私何分カジノは初めてなの」
「い、イカサマじゃなきゃありえない!」
「なぜ?ただ単に運がよかっただけだわ。それに負けた今言うのは言いがかりにしかならないわ。」
「私の妻に手を出すだけでなく、負け惜しみ、イカサマ扱いとは嘆かわしい。よっぽど私に喧嘩を売りたいようですね」
「ひ、ひぃ・・・っ」
あらあら、大の大人が若者相手になんて情けない姿かしら。
「これだけのチップ一体いくらぐらいのゴミが届くのかしら?」
「ざっと1億かな?」
「い・・・っ!?そ、そんなバカなっ!」
「何を驚いているんです?1億くらい安いものでしょう?君のチップは1000万にもならないものだけど、私が妻に送ったチップは全部で1億近くはあるんですよ?いくらかそこのディーラーに負けて減ってはいましたけど」
遊び感覚のチップが物凄く重いものに感じてきたわ。稼ぎにならないのにそんな大金が動いていたなんて・・・。時雨の資産は一体いくらなのかしら?さすがに気になってきたわ。
「1億をゴミにするなんて私にはとてもできないわ。貴方にとってカードごときの簡単な勝負でしたのに、負けてくださってありがとうございます。」
まあせっかくの機会、無駄な1億を利用した嫌味のひとつくらい許されるでしょう。
立ち上がってはスカートの端を掴み、軽くお辞儀をして、笑みを作れば、皮肉を込めて言った言葉。それは遠回しでもなんでもない。そこに怒りを感じていたという意味を再確認させたつもりだ。
満足したとばかりに時雨を見れば、わかったとばかりに腕を差し出されたので、その腕に寄り添うようにして抱きつく。
「明日、ゴミの処分をしてあげますから必ず送ってくださいね?届かなかった場合は、手加減もできそうにないです。」
「は、い・・・っ」
限界だったのだろう。ついに豚は気絶した。
手加減なんてするつもりもなさそうに見えるけど、にこにこと笑う時雨は、無表情が常の私と同じように考えが見えない。そんな時雨とのカードゲームは、瑠璃とする以上に楽しそうだ。帰る前にトランプを買っていきたいと言おうかしら?もうどこかに用意されていそうだけど。
「皆様、この場を盛り上げてくださりありがとうございました」
カジノを出ようとして時雨が周囲を見渡すのを見て、ああ、そうだと一瞬頭から抜け落ちていた観客の存在思い出した。
そんな今だこの場を見守る観客に愛想笑いを浮かべてお礼を告げれば、どよっと蠢く周囲。観客がいたからこそ、あの達成感もあり、より楽しめたというもの。ただ見ていただけのつもりの周囲からすれば、訳がわからないだろうが、素直な感謝だ。
「では、そろそろ出ようと思うので道を開けていただけますか?そこの君は、そのチップを換金してくれないかな」
「は、はい!」
ざっと囲んでいた人たちが道を開ける。換金を頼まれたディーラーは時雨を相手にしていた人だ。余程時雨にしてやられたのか、こんな状況の中で安堵すら見てとれるディーラーは、ただ一人、この豚に救われた人物かもしれない。
私だって豚の発言がなければこのまま普通に遊んでいたし、時雨も私が飽きるまでしていたことだろうから。
換金したと言っても大金を持ち歩くわけにもいかないため、振り込みの形になるようだ。逆に負け続け買った分のチップの場合は引き落とされるとのこと。口座登録を先にして、その人の資産を割り出した後に、会員と認められることでこのカジノは利用できるようだ。
カジノを出てまだ明るい外に、そういえば朝だったなとカジノの落ち着いた雰囲気でおかしな感覚になる。カジノと言えば夜のイメージがあったから。行く時は時雨の自然なエスコートと初めてのカジノで気分があがっていたせいか、気にもならなかった。
「お昼には少し早いけど、どうする?」
「勝利に相応しい、貴方のおすすめの場所を案内して」
「かしこまりました、僕のお姫様」
冗談混じりの言葉に、ふっと笑みを浮かべて車のドアを開けてくれる時雨に、どこかまだ浮わついた私の気分は上々する。
恋はともかく、私を一方的によく知るストーカー夫は、どこまでも私を満足させようとしてくれる。例え恋愛がわからなくても、この人と夫婦な限り退屈はしなさそうだ。
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