私の夫はストーカー~私は恋も愛も知りません~

荷居人(にいと)

文字の大きさ
9 / 51
2章

夫婦生活の報告1

しおりを挟む
「・・・とまぁ、それでお昼行って、私映画鑑賞好きだからってDVD借りに行って、夕食は時雨が振る舞うってことで食材の買い物して帰って、行く前にはなかったスクリーンで映画見ながら、時雨の手作り料理を食べたのが初日ね。お風呂は別、寝るのは一緒。初日の報告はそんなところかしら」

「待って、私どこから突っ込んでいいかわからない!」

初日の夫婦生活から一ヶ月。今、私はカフェで唯一の友人、鈴木瑠璃と結婚後大丈夫なのかと心配されて、夫婦生活を報告中。時雨には言わずとも行っておいでと言われたので携帯を見られたのかもしれない。

セキュリティロックはしてあるし、何度も変えてみたものの、時雨相手には無駄みたい。まあ別に構わないのだけど、それならどうして何度も変えたのかと言われると、普通にどう知っているのか知りたくて変え続けただけだ。

一緒に住んでるのに全くわからなかったわ。時雨は本当に私を退屈させない。帰った後、報告せずとも私と瑠璃の会話を知ってても私驚かないわ。

私の中で時雨は、私を知ってても当たり前だと思っているから。私すら気づいてないことすら知ってそうね。

案の定、喜怒哀楽の激しい瑠璃は頭を抱えている。進学した大学でも変わらずにいるのが、見ていてわかるわ。

「ちなみにスクリーンは私たちが出掛けた後、設置するよう私がお店で服を着替えている間に、手配していたみたい。」

「お、お昼は何を食べたの?」

「お寿司ね。私が好きなのがお寿司だからって。高級レストランかと思っていたんだけど、さすがよね」

「お寿司が好きって言った覚えは?」

「ないわよ?回らないお寿司は美味しかったわ。回転寿司でもよかったのだけど、時雨には合わないわね」

「そっか・・・後半はともかく、前半、初デートに朝からカジノって考えたこともないよ?」

「景品がもらえるからゲームセンターと似たようなものよ?」

「全然違うよ!?金銭的にも!」

「まあお金は確かに、ね。でもゲームセンターよりも、カジノの方が私は楽しいわ」

「ううっ美世ちゃんが遠い存在に・・・」

カジノくらいで大袈裟な・・・。

「まあでも1億のダイヤを捨てるなんて経験はさすがに勘弁したいわね」

あんな豚の贈り物いらないけど、時雨のお金で買ったチップがあったからこその勝負だったし、それを売るわけでもなく捨てたのは時雨に悪い気はしたもの。時雨は全く気にしない様子で笑っていたけど。

「本当に捨てたの!?」

「まあ捨てずに売ったところで時雨にバレるだろうし、下手したら売ったお金を捨てるように言われそうだもの。お金よりかダイヤ捨てた方がいくらかマシだわ」

「お金と物は大切にっ!」

「ちなみにそのダイヤ豚が借金してまで買ったダイヤだそうよ?今頃ろくな就職先もなく、路頭に迷ってるでしょうね」

「デブオヤジでも同情してしまいそうなレベル!」

「さすがにやりすぎな気がしなくもないけど、カードゲームをバカにした罪よ」

「重い罪にもほどがある!」

がんっとテーブルに頭を叩き込む瑠璃。ひとつひとつの反応が大袈裟で見ていて飽きない。

「そういえば彼、23歳なんですって。私より5歳年上だったわ。」

「どうでもいい情報をなんで今・・・」

「昨日知ったから。時雨は私を知りすぎなくらい知ってるけど、今思えば私彼について名前しか知らなかったのよ。あえて夫婦生活で知れたのは私のストーカーで、顔がよくて、かなりの権力者、お金持ちで、いつも笑ってて何考えてるかわからないくらいしか知らないの。で、ようやく知ったのが年齢」

「一応もう一ヶ月だよね?もう少し好きな食べ物とかさ、わからなかったの?」

「時雨といると、私基準なのが当たり前な気がして、何もかもが私の好みに合わせられるし、会話も私のどこが好きか、明日の予定についてとか、よりうまくイカサマするにはどうするべきかなんてことしか話さなくて、気がつけば時雨を知る機会すらなかったなと」

「知りすぎと知らなすぎの夫婦って・・・。美世ちゃん基準って随分と溺愛されてるみたいだね」

溺愛・・・溺愛なのだろうか?

「まあ、嫌なことされたりとかはされないわね」

「襲われたりとか・・・も?一緒に寝てて何もないの?」

「ただひっついて寝るくらいね。そういえば夫婦なのに身体関係はないわ」

「ストーカーなのに?」

「ストーカーだけど、紳士よ?彼」

「ストーカー宣言する男は紳士じゃないと思う」

珍しく真面目な顔の瑠璃。彼女なりに心配してくれているのだろう。まあ、初対面でプロポーズしてきた男性と結婚したのだ。いくら時雨の見目がよくても、お金があっても、瑠璃には関係ないのだろう。

まあ、確かに彼は今現在進行中でストーカー。心配かけてしまうのも無理はない。

それでも本当に意外と、この夫婦生活を悪くないと感じる程度には気に入っているし、心配されるようなことを時雨はしないと思うくらいには信用もできるんだけれど。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

処理中です...