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2章
夫婦生活の報告2
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「瑠璃からすれば信用できないかもしれないけど、彼は私の幸せを第一に考えてくれてるみたいだから大丈夫よ」
「もう!美世ちゃんは危機感が足りないよ!」
真剣さは失われ、ぷんぷんと音が出そうな怒り方。やっぱりこちらの方が瑠璃らしいわね。瑠璃に真剣な顔も、真面目な顔も似合わない。
「なんか失礼なこと考えてない?」
「何のことかしら?」
時々鋭いから瑠璃は油断できない。まあしらばっくれるのは得意だけれど。
「もう、初日からそれだと2日目以降を聞くのも怖いんだけど」
「2日目以降は時雨が仕事で一日中一緒ってわけではなかったのよ?」
「そうなの?」
「ええ、いくらストーカーな夫でも仕事はあるものでしょ?じゃなきゃ、1億をゴミになんてできるほどお金があるはずもないわ」
「そ、それはそうだけど、仕事場に連れていくとかありそうだったから。今日も会えると思わなかったし・・・」
「言ったでしょう?彼は私の幸せが第一なの。束縛するような行動は私が嫌なことも理解してるわ。あくまで自分本位に動きたいから私」
「美世ちゃんマイペースだもんね・・・。」
自分がしたいように動いて何が悪い。自分の人生だからやりたいことがあれば人の意見を聞かずにするのが私だ。
流されるままに行くこともあれど、嫌だと思えば方向転換。だからこそ、時雨が私に文句を言わさず行動を移せることに感心せざる終えない。
人に任せといて、文句を言い、私のしたいようにする。瑠璃にすらそのマイペースを崩さない私なのだから、時雨がどれだけ私を理解し、私基準で動いてくれているかがわかるというものだ。
「ただ監視はされているようね。ひとりで近場に買い物に行ってみれば、その時いなかったはずの時雨が、帰ってきてから何かほしいものでもあったのか聞かれたりしたもの」
「え、怖い」
「そうかしら?中々面白いわよ?どこから監視されているかはわからないけれど、これがほしいと呟いてみて買わずに帰った日があるの。その日仕事から帰った時雨が、当たり前のようにこれ欲しかったんだよねと、買って帰ってきたわ」
「面白くないよ!ってか今も監視されてるってこと!?」
キョロキョロと慌てたように周りを見渡す瑠璃。この1ヶ月、時雨が仕事の間、色々試して見つけられなかったのだから、それでわかるはずもないだろうに。
空になったカップを見て、近くの店員を捕まえ、別の飲み物を注文する。あまりに冷静な私を見て少し落ち着いたのか、瑠璃も同じく店員に頼むことで挙動不審な姿はなくなった。
「危害は加えられないし、何かあっても監視のおかげで大きな危機にはならないだろうから、護衛がいるとでも思っていればいいのよ。」
「ストーカー行為を護衛って・・・」
焦るほどではなくても、そわそわと落ち着きは完全になくなってはいないようだ。どうやら余計なことを言ってしまったみたいね。
「護衛があれなら、便利なものと考えるのもいいわ」
「べ、便利なもの?」
「ねぇ、瑠璃。ピザが食べたくない?」
「へ?突然何を?ここのカフェ、ピザないよ?」
「そうね、気にしないで」
「う、うん?」
にこりと笑って、とりあえず話を逸らす。頼んだ飲み物が来たことで、それを飲み、瑠璃はほっと息を吐いてそわそわも落ち着く。
「で、他の報告だけど、ひとりを満喫したり、時雨といるときはカジノに連れていってもらったり、遊園地や水族館なんかも貸し切りで行ったわ。」
「か、貸し切り・・・?」
「人がいなければ行きたいって言ってみたら時雨の休日には、ね。水族館もよかったけれど、貸し切りの遊園地は待ち時間なしの乗り放題だったから少しはしゃいでしまったわ。今度瑠璃も行きましょうね」
「え、いいの?」
「私が頼めば彼はやってくれるわ」
「そ、そっか・・・なんか美世ちゃん、随分表情が・・・」
「ピザの宅配に来ました。奥様、こちらを」
「あら、ありがとう。」
「では、私は仕事がありますので」
「ええ、ごめんなさいね」
「え、いや、誰!?」
瑠璃の言葉を遮って来たのは時雨の秘書だ。仕事上一番関わりのある人だけ時雨に紹介され、恐らく彼が一番時雨に使われているのが簡単に予測できる。ピザを届けさせたのも時雨だろう。
開けて見ればやはり私の好みにあったピザ。
「さっきの彼は時雨の秘書らしいわ。さっき監視を便利なものだと言ったでしょ?こう呟けば届くこともあるの。急ぐものでなければ時雨が買って帰って来るんだけれど」
「便利ってか普通に怖いよ!場所気にせず食べたいもの届くの怖すぎだよ!」
「でも便利でしょう?転けて怪我でもすれば、消毒液や絆創膏が言わずとも届けられるわ。なんなら、近場の買い物ばかりつまらないと言って外で立ち止まっていれば、車が目の前に停まって、運転手にどちらまで行かれますかって聞かれて、後部座席のドアを開けられるわ。間違えて誘拐されないよう車が目の前に停められた時点で時雨から電話が来て、手配した車だと伝えられるの」
「至れり尽くせりすぎないかな!?」
「まあただ監視されるよりはいいでしょ?」
やることなすこと邪魔さえされなければ私はなんでもいいのだけど。
「もう!美世ちゃんは危機感が足りないよ!」
真剣さは失われ、ぷんぷんと音が出そうな怒り方。やっぱりこちらの方が瑠璃らしいわね。瑠璃に真剣な顔も、真面目な顔も似合わない。
「なんか失礼なこと考えてない?」
「何のことかしら?」
時々鋭いから瑠璃は油断できない。まあしらばっくれるのは得意だけれど。
「もう、初日からそれだと2日目以降を聞くのも怖いんだけど」
「2日目以降は時雨が仕事で一日中一緒ってわけではなかったのよ?」
「そうなの?」
「ええ、いくらストーカーな夫でも仕事はあるものでしょ?じゃなきゃ、1億をゴミになんてできるほどお金があるはずもないわ」
「そ、それはそうだけど、仕事場に連れていくとかありそうだったから。今日も会えると思わなかったし・・・」
「言ったでしょう?彼は私の幸せが第一なの。束縛するような行動は私が嫌なことも理解してるわ。あくまで自分本位に動きたいから私」
「美世ちゃんマイペースだもんね・・・。」
自分がしたいように動いて何が悪い。自分の人生だからやりたいことがあれば人の意見を聞かずにするのが私だ。
流されるままに行くこともあれど、嫌だと思えば方向転換。だからこそ、時雨が私に文句を言わさず行動を移せることに感心せざる終えない。
人に任せといて、文句を言い、私のしたいようにする。瑠璃にすらそのマイペースを崩さない私なのだから、時雨がどれだけ私を理解し、私基準で動いてくれているかがわかるというものだ。
「ただ監視はされているようね。ひとりで近場に買い物に行ってみれば、その時いなかったはずの時雨が、帰ってきてから何かほしいものでもあったのか聞かれたりしたもの」
「え、怖い」
「そうかしら?中々面白いわよ?どこから監視されているかはわからないけれど、これがほしいと呟いてみて買わずに帰った日があるの。その日仕事から帰った時雨が、当たり前のようにこれ欲しかったんだよねと、買って帰ってきたわ」
「面白くないよ!ってか今も監視されてるってこと!?」
キョロキョロと慌てたように周りを見渡す瑠璃。この1ヶ月、時雨が仕事の間、色々試して見つけられなかったのだから、それでわかるはずもないだろうに。
空になったカップを見て、近くの店員を捕まえ、別の飲み物を注文する。あまりに冷静な私を見て少し落ち着いたのか、瑠璃も同じく店員に頼むことで挙動不審な姿はなくなった。
「危害は加えられないし、何かあっても監視のおかげで大きな危機にはならないだろうから、護衛がいるとでも思っていればいいのよ。」
「ストーカー行為を護衛って・・・」
焦るほどではなくても、そわそわと落ち着きは完全になくなってはいないようだ。どうやら余計なことを言ってしまったみたいね。
「護衛があれなら、便利なものと考えるのもいいわ」
「べ、便利なもの?」
「ねぇ、瑠璃。ピザが食べたくない?」
「へ?突然何を?ここのカフェ、ピザないよ?」
「そうね、気にしないで」
「う、うん?」
にこりと笑って、とりあえず話を逸らす。頼んだ飲み物が来たことで、それを飲み、瑠璃はほっと息を吐いてそわそわも落ち着く。
「で、他の報告だけど、ひとりを満喫したり、時雨といるときはカジノに連れていってもらったり、遊園地や水族館なんかも貸し切りで行ったわ。」
「か、貸し切り・・・?」
「人がいなければ行きたいって言ってみたら時雨の休日には、ね。水族館もよかったけれど、貸し切りの遊園地は待ち時間なしの乗り放題だったから少しはしゃいでしまったわ。今度瑠璃も行きましょうね」
「え、いいの?」
「私が頼めば彼はやってくれるわ」
「そ、そっか・・・なんか美世ちゃん、随分表情が・・・」
「ピザの宅配に来ました。奥様、こちらを」
「あら、ありがとう。」
「では、私は仕事がありますので」
「ええ、ごめんなさいね」
「え、いや、誰!?」
瑠璃の言葉を遮って来たのは時雨の秘書だ。仕事上一番関わりのある人だけ時雨に紹介され、恐らく彼が一番時雨に使われているのが簡単に予測できる。ピザを届けさせたのも時雨だろう。
開けて見ればやはり私の好みにあったピザ。
「さっきの彼は時雨の秘書らしいわ。さっき監視を便利なものだと言ったでしょ?こう呟けば届くこともあるの。急ぐものでなければ時雨が買って帰って来るんだけれど」
「便利ってか普通に怖いよ!場所気にせず食べたいもの届くの怖すぎだよ!」
「でも便利でしょう?転けて怪我でもすれば、消毒液や絆創膏が言わずとも届けられるわ。なんなら、近場の買い物ばかりつまらないと言って外で立ち止まっていれば、車が目の前に停まって、運転手にどちらまで行かれますかって聞かれて、後部座席のドアを開けられるわ。間違えて誘拐されないよう車が目の前に停められた時点で時雨から電話が来て、手配した車だと伝えられるの」
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やることなすこと邪魔さえされなければ私はなんでもいいのだけど。
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