19 / 40
1章ー幼少期ー
12
しおりを挟む
エリーナと二度目の再会でもやっぱりエリーナは泣いていて声をかければより涙が増した気がしておろおろしてしまう。
「う……っうう……っ」
「あ、あの、お、おはなとね、のみものをもってきましたよ!それときょうは僕のせんせいが………………せんせい?」
さっきまで背後にいたはずの先生がいなくなっていた。急に現れる先生なら急にいなくなることもできるだろう。先生のことだから僕の護衛は見えないところでしてくれているんじゃないかな。
「ひく……っ」
「えっとせんせいもきてたんですが、せんせいはひとみしりでしょうかいできないみたいです」
僕以外とは父上もあまり姿を見ることがないというから先生の人見知りは年季が入っている。僕が子供だからかなと思っていたけどエリーナとも顔を合わせないとなるとそうではないみたいだ。先生の基準は難しい。
「……っ」
「あ、はい、これですね」
泣きながらエリーナが紙とペンに視線を向けたのを見て、僕と会話しようとしてくれているのを悟る。慌てて花と持ってきた飲み物を紙とペンを置いていた場所に置かせてもらい、代わりに手に取った紙とペンをエリーナに渡す。
「う……っ」
【きょうはやくそくをまもれずもうしわけありません】
一瞬何のことかと思うもののすぐはっとする。僕が別れる前に言ったまた明日会おうねという言葉をエリーナは気にしていたのだろう。浮かれに浮かれてエリーナの体調に気がつけずに言った言葉に申し訳なくなる。エリーナは何も悪くないのに謝らせてしまったことに。
「ちがうよ。やくそくは僕がしたんだから、僕があいにいかなきゃいけなかったんだよ?きょうあえたからやくそくまもれたね!」
少し強引だっただろうか?でも僕は城で会うとは一言も言ってなかったはずだから約束を守ったことにはなるはずだ。そんな僕の言葉に潤んだ目を見開くエリーナ。そんな驚くようなことを僕は言っただろうか?
「ひく……っ」
【おこらないのですか?】
これには僕が驚いた。僕はそんなにすぐ怒るような人に思われていたのだろうか?少しショックである。
「おこらないですよ?僕、エリーナのへんじもきかずにでていきましたし、むしろ僕がおこられるほうじゃないです、か………?」
よくよく考えれば僕が勝手なことを言って勝手な約束をしたのだから僕こそが怒られるべきではないかと今更ながらに気がついた。もしかして、エリーナは遠回しに僕に怒ってると言いたかったのだろうか?
「ん……っ!」
【おこるなんてそんなことは。わたし、こわいゆめみてねむれなかったけど、キリアスさまがきてくれてうれしかったんです】
「僕が来て……?」
そう書かれた紙を見て僕の心がぽかぽかと温まる。だってエリーナが僕が来て嬉しいって!嬉しいって言ってくれたんですよ?浮かれてまた失態を繰り返しちゃだめだとわかりながらも、僕はエリーナのその一言で気分があがるのがわかる。
うう……僕はなんて単純なんだ!
「ひっひっひっ男は恋をすれば単純になるものですひひっ」
ふと先生の言葉が聞こえた気がして僕は口に出していたのかと後ろを振り向くがやっぱり先生はいない。浮かれすぎて幻聴でも聞こえたのだろうか?
そんな急に挙動不審になった僕を見てエリーナが首を傾げる様子に、僕はなんでもないと笑みを見せて落ち着けと自分の心に言い聞かせたのだった。
「う……っうう……っ」
「あ、あの、お、おはなとね、のみものをもってきましたよ!それときょうは僕のせんせいが………………せんせい?」
さっきまで背後にいたはずの先生がいなくなっていた。急に現れる先生なら急にいなくなることもできるだろう。先生のことだから僕の護衛は見えないところでしてくれているんじゃないかな。
「ひく……っ」
「えっとせんせいもきてたんですが、せんせいはひとみしりでしょうかいできないみたいです」
僕以外とは父上もあまり姿を見ることがないというから先生の人見知りは年季が入っている。僕が子供だからかなと思っていたけどエリーナとも顔を合わせないとなるとそうではないみたいだ。先生の基準は難しい。
「……っ」
「あ、はい、これですね」
泣きながらエリーナが紙とペンに視線を向けたのを見て、僕と会話しようとしてくれているのを悟る。慌てて花と持ってきた飲み物を紙とペンを置いていた場所に置かせてもらい、代わりに手に取った紙とペンをエリーナに渡す。
「う……っ」
【きょうはやくそくをまもれずもうしわけありません】
一瞬何のことかと思うもののすぐはっとする。僕が別れる前に言ったまた明日会おうねという言葉をエリーナは気にしていたのだろう。浮かれに浮かれてエリーナの体調に気がつけずに言った言葉に申し訳なくなる。エリーナは何も悪くないのに謝らせてしまったことに。
「ちがうよ。やくそくは僕がしたんだから、僕があいにいかなきゃいけなかったんだよ?きょうあえたからやくそくまもれたね!」
少し強引だっただろうか?でも僕は城で会うとは一言も言ってなかったはずだから約束を守ったことにはなるはずだ。そんな僕の言葉に潤んだ目を見開くエリーナ。そんな驚くようなことを僕は言っただろうか?
「ひく……っ」
【おこらないのですか?】
これには僕が驚いた。僕はそんなにすぐ怒るような人に思われていたのだろうか?少しショックである。
「おこらないですよ?僕、エリーナのへんじもきかずにでていきましたし、むしろ僕がおこられるほうじゃないです、か………?」
よくよく考えれば僕が勝手なことを言って勝手な約束をしたのだから僕こそが怒られるべきではないかと今更ながらに気がついた。もしかして、エリーナは遠回しに僕に怒ってると言いたかったのだろうか?
「ん……っ!」
【おこるなんてそんなことは。わたし、こわいゆめみてねむれなかったけど、キリアスさまがきてくれてうれしかったんです】
「僕が来て……?」
そう書かれた紙を見て僕の心がぽかぽかと温まる。だってエリーナが僕が来て嬉しいって!嬉しいって言ってくれたんですよ?浮かれてまた失態を繰り返しちゃだめだとわかりながらも、僕はエリーナのその一言で気分があがるのがわかる。
うう……僕はなんて単純なんだ!
「ひっひっひっ男は恋をすれば単純になるものですひひっ」
ふと先生の言葉が聞こえた気がして僕は口に出していたのかと後ろを振り向くがやっぱり先生はいない。浮かれすぎて幻聴でも聞こえたのだろうか?
そんな急に挙動不審になった僕を見てエリーナが首を傾げる様子に、僕はなんでもないと笑みを見せて落ち着けと自分の心に言い聞かせたのだった。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに
reva
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。
選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。
地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。
失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。
「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」
彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。
そして、私は彼の正妃として王都へ……
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる