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まさかゼロの祖父を殺したのがまだ子供のゼロだった………?じゃあ、ハワードとその弟クリスが目撃したのは………。それに、その時ゼロは夫人に預けられていたんじゃ?

あまりに矛盾している……。ゼロがまた記憶を混濁させているの?

「この記憶は確か………だと思う。この後母さんとばあさんの二人が俺を庇うために、俺の血のついた服を処分したり、身体を洗ったりして……その後、母さんとばあさんに言われて家の外に出され、仕事先にいる父を呼ぶように言われたんだ。俺の祖父母が母と会っていることを伝えるようにって」

「確かに……そこにたまたまクリスと私が居合わせて、ゼロを私に預けたのよね。秘密裏にお義母様とお義父様がキャロエさんに会おうとしていたのだと思って………」

なら、キャロエが殺したのは祖母だけ……?ゼロを庇うために二人が協力したようだけど、あの後二人の間で何かあったのだろうか。でもまさか、子供が殺人を犯すなんて誰も思わなかっただろう。

そう思わせないためにキャロエはゼロの祖父を何度も刺してさも自分が殺したかのように見せかけたのかもしれない。不謹慎だけれど、そんな子供の重い罪を庇い、自らが被ろうとするなんて本当に母親としてゼロを愛せなかったのだろうか?

それとも自分がそうさせたという罪悪感………のようなもの、なのだろうか?だからこれ以上ゼロが罪を犯さないようにゼロの祖母を自ら………。

「祖母まで亡くなったことには驚いたんだ。でも俺のせいだろう。母さんに祖母がまだ消えてないって伝えたから。母さんに止められて身体をとにかく綺麗にするよう言われたから………俺は、今の今まですっかり忘れていた。自分の最初の罪を」

十分衝撃的な話ではあるけれど、この話自体はまだゼロの記憶に影響を及ばさなかったのだろう。つまりこの先はさらなる衝撃な話が待ち受けているのだろうか?ゼロにとって記憶を書き換えるほどの………。

「そして記憶を都合よく変えてしまった理由も思い出した。全部……俺のせいだ、全部」

そう言うゼロは涙をぽろぽろと流し始めた。思い出したくない記憶を思い出したせいか、虚ろな表情になりながら。

「記憶を書き換えたくなるのもわかるわ。誰よりも母親キャロエに愛されたかったゼロにとって信じたくない事実。それは母親キャロエに愛されないままに再び貴方を殺そうとしたこと……よね」

「え?」

母親キャロエに殺されかけた?祖父母のことがあってからどうなってそんな話に繋がるのかというそれよりも、自分の息子を女の子にしてまで殺人衝動を抑えていたキャロエが、再びゼロを殺そうとしたことに驚きを隠せない。

ゼロの祖母を殺したことで枷が外れてしまった?でもその前に祖父を殺したゼロを庇う行動をしたのに?話を聞けば聞くほどあまりにもゼロという人物の闇が深くて、ステイのことが小さく見えてくる。

これ以上どんな闇が眠っているのだろう……。少なくともハワードとクリスの死はまだ話されてないのだから。
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