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第四章 その王子、瓶底眼鏡につき
まずはシナリオ通りに
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「え? あのときシュン王子が華子姉ちゃんたちの方に?」
意外って顔の健太にこっちもちょっとびっくりで。
今は例のごとくパジャマパーティー中。
議題はお茶会イベントの確認&今後の対策会議ってとこ。
「っていうか、ユイナもこっちに来てたでしょ?」
「そうだった? なんていうかイベント中は頭ぼんやりしてて」
そっか、ゲームの強制力で思考が働かないんだっけか。
「姉ちゃんたちが奥にいることすら頭になかったし」
「イベントが起きてる最中は、やっぱユイナ可愛いって感じ?」
「うん……正直、誰にも取られたくないってレベル」
おおう、そりゃ重症だ。あのときのケンタって本気で恋する目してたもんな。
今は憑き物が落ちたって顔してるけど。
にしても、どうして山田はわたしのところに来れたんだろ?
気配なく背後をとられたときは本気でビックリしたし。イベント中で強制力が働いてるハズなのにさ。
とりあえず未希と健太の意見交換黙って聞いとこう。ふたりのほうがゲームの知識持ってるからね。
「ねぇ健太、ユイナに紅茶を注がれた直後の王子ってどんな反応だった?」
「いろんな意味で普通かな? 立場的にいちばんに入れられて当然って感じでさ。あ、でもやっぱおかしいな……」
「おかしいって何が?」
山田なんてはじめっから頭イカレてるし。
存在自体がもはや理解不能だ。
「ヒロインの入れた紅茶を飲んだあとに王子が言うセリフがあるんだけど。そこから本格的に王子ルートが始まるはずなのに、シュン王子はそれを言葉にしなかった」
それ以前にさ、山田のヤツ紅茶に口すらつけなかったみたいじゃん。ユイナがひどいって文句言ってたし。
やっぱ瓶底眼鏡の奇行はゲームの強制力の上を行ってるな。
「ちなみにゲームで王子はどんなセリフ言うの?」
「確か『お前の入れた紅茶は格別だな』とか、そんな感じだったはず」
ん? それってどこかで聞いたような……?
「まんま、ハナコが言われたセリフじゃない」
うそーん、ホンマや。
「姉ちゃんに? シュン王子がそう言ったの?」
「で、でも、山田が勝手にわたしのカップ奪って飲んだだけだし」
「だけどそれってさ、ハナコが王子ルートに入ったってことなんじゃ?」
「むしろシュン王子が姉ちゃんルートに入ったとか?」
「やめてよふたりとも! 縁起でもないっ」
おのれ、山田め。お前がおかしな言動をするから、訳が分からなくなってきたじゃんかっ。
「とにかくユイナが王子ルートを選んだことは確かなんだから、それ前提で話進めてよ」
「うん、まぁ、それもそうね」
「姉ちゃんのデッドエンド、なんとしても回避しないとだしな」
そうそう、ギロチンだけはマジ勘弁。
「まずはどうやって強制力と戦うかよね」
「やっぱりユイナと山田の仲を、邪魔しないようにするのがいちばんなんじゃないのかな?」
「うん、俺もそう思う。断罪されるのは悪役令嬢がヒロインを陥れようとするからだし」
「となると王子がハナコに執心してるのがネックになるわね」
「そうだな。シュン王子の気持ちがユイナに傾いたとき、結局姉ちゃんが邪魔した判定になるかもだし……」
それってめちゃくちゃ濡れ衣じゃない!?
「いっそ華子が王子とゴールインすれば?」
「ヤダよ、瓶底眼鏡なんてっ」
「シュン王子のことそんなに毛嫌いすることないと思うけどなぁ」
「もう健太までっ。強制力でいつ山田がユイナ側につくか分からないじゃん!」
「あー分かった分かった」
なんか未希ちゃん、投げやりなんですけどっ。
「じゃあ今後の方針は、ユイナと王子をくっつける方向で。それでオッケー?」
健太とともにうなずいた。なんとしてでもふたりを上手いこといかせちゃる。
「だとすると次は雪山イベントね」
「あ、あのときユイナが言ってたヤツ?」
必ず参加しろって上から目線で言われたっけ。
「ああ、あのイベントか。そういや今ちょうど生徒会で段取りつけてるな」
「生徒会で?」
「成績優秀な者へのご褒美旅行みたいなモン」
「なんでこの時期に雪山なの?」
「金持ちの道楽、と言いたいところだけど。ぶっちゃけイベントの舞台設定って感じ」
なるほど。これから暑い時期がやってくるってのに、ホントゆるゆるなゲームだな。
「この雪山旅行はヒロインと王子の距離が近づくイベントが盛りだくさんだから」
「じゃあ邪魔しないよう上手く立ち回らないとだね」
「いちばんのメインイベントは雪山遭難なんだよね」
「えっ!? 定番の裸であっため合う的な?」
「いや、あのゲーム全年齢向けだから。そこまでの展開はないけど、まぁ似たような流れかな」
ちぇっ、どうせならユイナと山田がさっさと子供でも作ってくれればいいのに。
「そのシナリオ通りに進めるとしたら、華子もそれ相応の動きしないとだね」
「それ相応って?」
「ヒロインが遭難する原因作るのは、華子、あんただから」
「え、わたしっ!?」
「そ。悪役令嬢の役目を果たさないことには、ユイナと王子の仲は進展しないってわけ」
それじゃ断罪コース一直線なんじゃ……?
「大丈夫だよ、姉ちゃん。とりあえず犯人不明ってことで今回はウヤムヤに片付けられるハズだから」
「そか……そういうことならやるしかないね」
「事前に準備も必要だから、ちゃんとぜんぶ頭に入れてよね?」
「りょうかい」
「ま、俺も未希姉ぇもフォロー入れるからさ。そんな心配すんなって」
よし、ここを乗り切って山田とユイナをくっつけちゃえば、あとは悠々自適ライフを送るだけだ。
このゲームの世界にだって、わたし好みのイケメンがひとりくらいはいるだろうし。
待っててね。
いつか迎えに行くよ、まだ見ぬわたしの王子様!
意外って顔の健太にこっちもちょっとびっくりで。
今は例のごとくパジャマパーティー中。
議題はお茶会イベントの確認&今後の対策会議ってとこ。
「っていうか、ユイナもこっちに来てたでしょ?」
「そうだった? なんていうかイベント中は頭ぼんやりしてて」
そっか、ゲームの強制力で思考が働かないんだっけか。
「姉ちゃんたちが奥にいることすら頭になかったし」
「イベントが起きてる最中は、やっぱユイナ可愛いって感じ?」
「うん……正直、誰にも取られたくないってレベル」
おおう、そりゃ重症だ。あのときのケンタって本気で恋する目してたもんな。
今は憑き物が落ちたって顔してるけど。
にしても、どうして山田はわたしのところに来れたんだろ?
気配なく背後をとられたときは本気でビックリしたし。イベント中で強制力が働いてるハズなのにさ。
とりあえず未希と健太の意見交換黙って聞いとこう。ふたりのほうがゲームの知識持ってるからね。
「ねぇ健太、ユイナに紅茶を注がれた直後の王子ってどんな反応だった?」
「いろんな意味で普通かな? 立場的にいちばんに入れられて当然って感じでさ。あ、でもやっぱおかしいな……」
「おかしいって何が?」
山田なんてはじめっから頭イカレてるし。
存在自体がもはや理解不能だ。
「ヒロインの入れた紅茶を飲んだあとに王子が言うセリフがあるんだけど。そこから本格的に王子ルートが始まるはずなのに、シュン王子はそれを言葉にしなかった」
それ以前にさ、山田のヤツ紅茶に口すらつけなかったみたいじゃん。ユイナがひどいって文句言ってたし。
やっぱ瓶底眼鏡の奇行はゲームの強制力の上を行ってるな。
「ちなみにゲームで王子はどんなセリフ言うの?」
「確か『お前の入れた紅茶は格別だな』とか、そんな感じだったはず」
ん? それってどこかで聞いたような……?
「まんま、ハナコが言われたセリフじゃない」
うそーん、ホンマや。
「姉ちゃんに? シュン王子がそう言ったの?」
「で、でも、山田が勝手にわたしのカップ奪って飲んだだけだし」
「だけどそれってさ、ハナコが王子ルートに入ったってことなんじゃ?」
「むしろシュン王子が姉ちゃんルートに入ったとか?」
「やめてよふたりとも! 縁起でもないっ」
おのれ、山田め。お前がおかしな言動をするから、訳が分からなくなってきたじゃんかっ。
「とにかくユイナが王子ルートを選んだことは確かなんだから、それ前提で話進めてよ」
「うん、まぁ、それもそうね」
「姉ちゃんのデッドエンド、なんとしても回避しないとだしな」
そうそう、ギロチンだけはマジ勘弁。
「まずはどうやって強制力と戦うかよね」
「やっぱりユイナと山田の仲を、邪魔しないようにするのがいちばんなんじゃないのかな?」
「うん、俺もそう思う。断罪されるのは悪役令嬢がヒロインを陥れようとするからだし」
「となると王子がハナコに執心してるのがネックになるわね」
「そうだな。シュン王子の気持ちがユイナに傾いたとき、結局姉ちゃんが邪魔した判定になるかもだし……」
それってめちゃくちゃ濡れ衣じゃない!?
「いっそ華子が王子とゴールインすれば?」
「ヤダよ、瓶底眼鏡なんてっ」
「シュン王子のことそんなに毛嫌いすることないと思うけどなぁ」
「もう健太までっ。強制力でいつ山田がユイナ側につくか分からないじゃん!」
「あー分かった分かった」
なんか未希ちゃん、投げやりなんですけどっ。
「じゃあ今後の方針は、ユイナと王子をくっつける方向で。それでオッケー?」
健太とともにうなずいた。なんとしてでもふたりを上手いこといかせちゃる。
「だとすると次は雪山イベントね」
「あ、あのときユイナが言ってたヤツ?」
必ず参加しろって上から目線で言われたっけ。
「ああ、あのイベントか。そういや今ちょうど生徒会で段取りつけてるな」
「生徒会で?」
「成績優秀な者へのご褒美旅行みたいなモン」
「なんでこの時期に雪山なの?」
「金持ちの道楽、と言いたいところだけど。ぶっちゃけイベントの舞台設定って感じ」
なるほど。これから暑い時期がやってくるってのに、ホントゆるゆるなゲームだな。
「この雪山旅行はヒロインと王子の距離が近づくイベントが盛りだくさんだから」
「じゃあ邪魔しないよう上手く立ち回らないとだね」
「いちばんのメインイベントは雪山遭難なんだよね」
「えっ!? 定番の裸であっため合う的な?」
「いや、あのゲーム全年齢向けだから。そこまでの展開はないけど、まぁ似たような流れかな」
ちぇっ、どうせならユイナと山田がさっさと子供でも作ってくれればいいのに。
「そのシナリオ通りに進めるとしたら、華子もそれ相応の動きしないとだね」
「それ相応って?」
「ヒロインが遭難する原因作るのは、華子、あんただから」
「え、わたしっ!?」
「そ。悪役令嬢の役目を果たさないことには、ユイナと王子の仲は進展しないってわけ」
それじゃ断罪コース一直線なんじゃ……?
「大丈夫だよ、姉ちゃん。とりあえず犯人不明ってことで今回はウヤムヤに片付けられるハズだから」
「そか……そういうことならやるしかないね」
「事前に準備も必要だから、ちゃんとぜんぶ頭に入れてよね?」
「りょうかい」
「ま、俺も未希姉ぇもフォロー入れるからさ。そんな心配すんなって」
よし、ここを乗り切って山田とユイナをくっつけちゃえば、あとは悠々自適ライフを送るだけだ。
このゲームの世界にだって、わたし好みのイケメンがひとりくらいはいるだろうし。
待っててね。
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