360 / 548
第2章 氷の王子と消えた託宣
2
しおりを挟む
みなでソファに座り、談笑が始まる。アデライーデとリーゼロッテに加えてエマニュエルが横に並んで腰かけた。エラは給仕に回ろうとティーポットを手にすると、ベッティがエラも座るようにと促してくる。
「ここはわたしにお任せくださいましぃ。エラ様は男爵令嬢なのですから、遠慮することはございませんよぅ」
「え? でもわたしは……」
肩を押されてエラはソファに腰を掛けた。その両脇にエーミールとニコラウスが座ってしまい、エラは身動きが取れなくなる。
(わたしだけ場違いなんじゃ……)
自分以外はみな伯爵家以上の家柄の人間だ。しがない一代限りの男爵の娘には、無相応な場に思えてならない。身の置き場のないまま、おしゃべりに花を咲かせているリーゼロッテたちを、エラは黙って眺めているしかなかった。
「……何、この異形。めっちゃ目がきゅるんとしてるし」
不意に右隣りに座っていたニコラウスが、床から何かを拾い上げる動作をした。その何かを指でつまみ上げ、それをしげしげと眺めている。しかし、エラの目には、ニコラウスが何かを持っているようには見えなかった。
「それはリーゼロッテ様に温情を与えられた小鬼だ」
逆隣りに座るエーミールが、エラ越しにニコラウスを見やりながら言った。その言葉に、エラはピンとくる。
「もしや、そこに異形の者がいるのですか!?」
食い気味に問うと、ニコラウスは驚いたようにエラと目を合わせた。
「えっと、あなたは……」
「彼女はエラ・エデラー。リーゼロッテ様の侍女だ」
エーミールの言葉に、エラははっとした。
「申し訳ございません、ニコラウス・ブラル様。わたしはエデラー男爵の娘、エラ・エデラーでございます」
「エラは無知なる者だ。異形を視る能力はない」
「無知なる者?」
ニコラウスは首をかしげると、手にした何かをぽいと後ろ手に放り投げた。そのままエラの両手をがばりと握る。
「どうりでさっきから居心地いいと思ったら! オレ、無知なる者に会うのは初めてだ!」
たれ目を見開いて、興奮したようにエラの手を上下に揺さぶる。固まった状態でエラはなすがままにされていた。
「おい! 気安くエラに触れるな」
苛立った様子のエーミールに肩を引き寄せられる。両手をつかまれたまま、エラはニコラウスごとエーミールにもたれかかった。
「え? おふたりはそういう関係で?」
ニコラウスが倒れこんだエラの膝の上から驚いたように問うと、エラは慌てたように首をぶんぶんと振った。
「いいえ! そのようなことはございません!」
突然の大声に、リーゼロッテたちの視線が向けられる。
「何? 痴情のもつれ?」
「「「違いますっ」」」
アデライーデの突っ込みに、三人の言葉が重なった。と同時にそれぞれが居住まいを正す。
「ふふ、三人とも楽しそうですわ。……あら? あなた、この前の子ね」
リーゼロッテが床へと視線を向ける。エラには何も見えなかったが、みなの様子を見る限り、そこには何かがいるようだ。
「お嬢様、そこに異形の者がいるのですか?」
「ええ、とても小さくてやさしい子よ」
「まあ!」
感動したように言うも、自分には視えない存在だ。
「わたしも一度くらいは視てみたいものです……」
エラのしゅんとした様子に、ニコラウスが突然笑いはじめた。
「ははは、エデラー嬢はおもしろい人だな。異形なんか視えない方がしあわせってもんだ」
「ですが……」
悲しそうな顔のエラに、ニコラウスが懐から紙とペンを取り出した。さらさらと何かを描き上げると、それをエラに差し出してくる。
「お近づきの記念にどうぞ」
「これは……!?」
そこには目がきゅるんとしたぶさ可愛い見たこともない生き物が描かれていた。
「あら、よく描けてるじゃない」
「まあ、本当! あの子そっくりですわ」
ニコラウスに差し出された紙を手に取り、エラはとび色の目を見開いた。
「ではこれが……!」
「まあ、普通の異形とは見た目が全然違うけど」
「ありがとうございます、ニコラウス・ブラル様」
エラに潤んだ瞳で見上げられ、ニコラウスの顔が赤くなる。
「あ、いや、オレのことはニコラウスでいいから」
「はい、ニコラウス様」
「よかったわね、エラ」
リーゼロッテが微笑むと、エラはうれしそうに頷いた。
「む……そのくらいならわたしにも描けるぞ」
おもしろくなさそうにエーミールがエラの持つ紙を奪いとり、それにペンを滑らせる。
「どうだ」
「「「「「……………………」」」」」
どや顔で差し出された紙を見た一同は、一瞬押し黙った。だが次の瞬間、あまりにぶさぶさしいヘタウマな異形の姿に、サロンは大爆笑に包まれたのであった。
◇
「そこまで!」
公爵家の片隅にある鍛錬場でエーミールの声が響く。目の前にいるのは、丸腰になったニコラウスと、その鼻先に細剣を突き付けているアデライーデだ。
(上手いこと負けている)
取り落とした剣を拾い上げているニコラウスに、エーミールはそんな感想を抱いた。
「まったく、いつも手ごたえないんだから」
「だから最初にエーミール様と手合わせすればいいって言っただろうが」
「いやよ、エーミールはすぐに手加減するもの」
アデライーデがぷいとそむけると、エーミールは内心苦笑した。そこら辺の騎士よりもアデライーデの腕が立つとはいえ、本気を出したニコラウスにかなうことはないだろう。
アデライーデは気位の高い女性だ。わざと負けられるなど、そのプライドが許さない。だからこそ、ニコラウスの負け方は見事だった。アデライーデに気取られずにわざと負けるなど、エーミールには到底真似できそうにない。
「アデライーデ様に本気で剣を向けるなど、わたしにできる訳はないでしょう」
エーミールの言葉にアデライーデの頬が膨らむ。
「その台詞は聞き飽きたわ」
「さすがグレーデンの貴公子! もてる理由がわかるなぁ」
このニコラウスはどうにもつかめない奴だ。相変わらず気持ちの悪いことを言う男だが、エーミールと同じく細身に見えるその体躯は、グレーデン家で手合わせとした時にかなり鍛え上げていることが見て取れた。筋肉がつきにくい体質のエーミールにしてみれば、うらやましい限りだ。
(他人がうらやましいなど、馬鹿げているな)
エーミールは自分に足りない部分を補うために、死に物狂いで剣技を磨いた。今ではあの筋肉の塊のようなヨハンにも、手合わせで十中八九は勝つことができる。
「次はわたしと勝負だ、ニコラウス」
「ええ? 勘弁してくださいよ! オレ、昨日の徹夜明けからの休暇中なんすよ」
ニコラウスが助けを求めるようにアデライーデを見た。
「エーミール、今日は勘弁してやって。ねえ、ニコ。あなた今度の新年を祝う夜会で警護担当なんでしょう?」
「ああ、おかげで夜会に出なくて済んだ。そうだ! エーミール様にひとつお願いが!」
不覚にも、いきなりニコラウスに両手を取られたエーミールは、やはり気持ちの悪い男だと眉をひそめた。
「オレ、一応長男なんすけど正妻の子供じゃなくて、家督は妹に譲ることになっているんですよ」
「ああ、そんな話は聞いたことがあるな」
「家を継げないことは別にいいんですよ。けど、妹が……」
そこで言葉を切ったニコラウスが、アデライーデの顔を見やった。
「妹が?」
アデライーデが小首をかしげると、ニコラウスがこの世の終わりのような顔をした。
「フーゲンベルク公爵に嫁ぐって言ってきかないんだよ! どうしたらいいと思う!? アデライーデ!」
「どうしたらって……ジークヴァルトにはリーゼロッテがいるし」
「じゃあ、公爵と妖精姫との婚約話は本当なんだな?」
「ええ、二人の婚姻は龍から受けた託宣だし」
「え? マジで!?」
落ち着きなく表情を変えるニコラウスを、エーミールは苛立ったように睨みつけた。
「それで、わたしに何をしろというんだ?」
「いや、何かあった時、妹の暴走を止めてほしくて……」
「そんなもの兄であるお前の役目だろう」
「それができれば苦労がないんすよ……妹に託宣の存在は話せないし、親父が普段から甘やかしすぎて、何をしでかすか心配で心配で」
うなだれるニコラウスを前に、エーミールとアデライーデは目を見合わせた。
「それでどうしてわたしに頼む。お前が横で見張っていれば済むことだ」
「妹の奴、オレになんとか家督を継がせようと、爵位狙いの令嬢を次から次に送り込んでくるんですよ! 白の夜会でも、それでひどい目にあって……」
「それくらいあしらえなくてどうする」
「社交界きってのモテ男にはできても、オレにはそんな器用なことできないんすよ! それに、妹は本当に猪突猛進な性格で……ああ、イザベラが公爵に突撃していく様が目に浮かぶ……!」
「ジークヴァルトに任せておけば大丈夫よ」
アデライーデが興味なさげに言う。
「リーゼロッテへの執着ぶりを見れば、それ以上どうこうしようなんて気が起きるわけないわ」
「……妖精姫、むちゃくちゃ可愛かったもんなぁ」
でへへとにやけているニコラウスは、限りなく締まりのない顔だ。アデライーデは半眼となり、ニコラウスを冷たく見やった。
「言っとくけど、リーゼロッテに変な気は起こさないことね。ジークヴァルトに殺されてもいいならかまわないけど」
「かまう! めっちゃかまいます!」
青くなってぶんぶんと首を振るニコラウスに、アデライーデは人の悪い笑みを向けた。
「ねぇ、ニコ。そんなに妹が心配なら、わたしにいい考えがあるわ」
にやりと笑うアデライーデを前に、するのはもはや嫌な予感ばかりだ。エーミールは、同様に感じているであろうニコラウスと、思わずその目を合わせた。
「ここはわたしにお任せくださいましぃ。エラ様は男爵令嬢なのですから、遠慮することはございませんよぅ」
「え? でもわたしは……」
肩を押されてエラはソファに腰を掛けた。その両脇にエーミールとニコラウスが座ってしまい、エラは身動きが取れなくなる。
(わたしだけ場違いなんじゃ……)
自分以外はみな伯爵家以上の家柄の人間だ。しがない一代限りの男爵の娘には、無相応な場に思えてならない。身の置き場のないまま、おしゃべりに花を咲かせているリーゼロッテたちを、エラは黙って眺めているしかなかった。
「……何、この異形。めっちゃ目がきゅるんとしてるし」
不意に右隣りに座っていたニコラウスが、床から何かを拾い上げる動作をした。その何かを指でつまみ上げ、それをしげしげと眺めている。しかし、エラの目には、ニコラウスが何かを持っているようには見えなかった。
「それはリーゼロッテ様に温情を与えられた小鬼だ」
逆隣りに座るエーミールが、エラ越しにニコラウスを見やりながら言った。その言葉に、エラはピンとくる。
「もしや、そこに異形の者がいるのですか!?」
食い気味に問うと、ニコラウスは驚いたようにエラと目を合わせた。
「えっと、あなたは……」
「彼女はエラ・エデラー。リーゼロッテ様の侍女だ」
エーミールの言葉に、エラははっとした。
「申し訳ございません、ニコラウス・ブラル様。わたしはエデラー男爵の娘、エラ・エデラーでございます」
「エラは無知なる者だ。異形を視る能力はない」
「無知なる者?」
ニコラウスは首をかしげると、手にした何かをぽいと後ろ手に放り投げた。そのままエラの両手をがばりと握る。
「どうりでさっきから居心地いいと思ったら! オレ、無知なる者に会うのは初めてだ!」
たれ目を見開いて、興奮したようにエラの手を上下に揺さぶる。固まった状態でエラはなすがままにされていた。
「おい! 気安くエラに触れるな」
苛立った様子のエーミールに肩を引き寄せられる。両手をつかまれたまま、エラはニコラウスごとエーミールにもたれかかった。
「え? おふたりはそういう関係で?」
ニコラウスが倒れこんだエラの膝の上から驚いたように問うと、エラは慌てたように首をぶんぶんと振った。
「いいえ! そのようなことはございません!」
突然の大声に、リーゼロッテたちの視線が向けられる。
「何? 痴情のもつれ?」
「「「違いますっ」」」
アデライーデの突っ込みに、三人の言葉が重なった。と同時にそれぞれが居住まいを正す。
「ふふ、三人とも楽しそうですわ。……あら? あなた、この前の子ね」
リーゼロッテが床へと視線を向ける。エラには何も見えなかったが、みなの様子を見る限り、そこには何かがいるようだ。
「お嬢様、そこに異形の者がいるのですか?」
「ええ、とても小さくてやさしい子よ」
「まあ!」
感動したように言うも、自分には視えない存在だ。
「わたしも一度くらいは視てみたいものです……」
エラのしゅんとした様子に、ニコラウスが突然笑いはじめた。
「ははは、エデラー嬢はおもしろい人だな。異形なんか視えない方がしあわせってもんだ」
「ですが……」
悲しそうな顔のエラに、ニコラウスが懐から紙とペンを取り出した。さらさらと何かを描き上げると、それをエラに差し出してくる。
「お近づきの記念にどうぞ」
「これは……!?」
そこには目がきゅるんとしたぶさ可愛い見たこともない生き物が描かれていた。
「あら、よく描けてるじゃない」
「まあ、本当! あの子そっくりですわ」
ニコラウスに差し出された紙を手に取り、エラはとび色の目を見開いた。
「ではこれが……!」
「まあ、普通の異形とは見た目が全然違うけど」
「ありがとうございます、ニコラウス・ブラル様」
エラに潤んだ瞳で見上げられ、ニコラウスの顔が赤くなる。
「あ、いや、オレのことはニコラウスでいいから」
「はい、ニコラウス様」
「よかったわね、エラ」
リーゼロッテが微笑むと、エラはうれしそうに頷いた。
「む……そのくらいならわたしにも描けるぞ」
おもしろくなさそうにエーミールがエラの持つ紙を奪いとり、それにペンを滑らせる。
「どうだ」
「「「「「……………………」」」」」
どや顔で差し出された紙を見た一同は、一瞬押し黙った。だが次の瞬間、あまりにぶさぶさしいヘタウマな異形の姿に、サロンは大爆笑に包まれたのであった。
◇
「そこまで!」
公爵家の片隅にある鍛錬場でエーミールの声が響く。目の前にいるのは、丸腰になったニコラウスと、その鼻先に細剣を突き付けているアデライーデだ。
(上手いこと負けている)
取り落とした剣を拾い上げているニコラウスに、エーミールはそんな感想を抱いた。
「まったく、いつも手ごたえないんだから」
「だから最初にエーミール様と手合わせすればいいって言っただろうが」
「いやよ、エーミールはすぐに手加減するもの」
アデライーデがぷいとそむけると、エーミールは内心苦笑した。そこら辺の騎士よりもアデライーデの腕が立つとはいえ、本気を出したニコラウスにかなうことはないだろう。
アデライーデは気位の高い女性だ。わざと負けられるなど、そのプライドが許さない。だからこそ、ニコラウスの負け方は見事だった。アデライーデに気取られずにわざと負けるなど、エーミールには到底真似できそうにない。
「アデライーデ様に本気で剣を向けるなど、わたしにできる訳はないでしょう」
エーミールの言葉にアデライーデの頬が膨らむ。
「その台詞は聞き飽きたわ」
「さすがグレーデンの貴公子! もてる理由がわかるなぁ」
このニコラウスはどうにもつかめない奴だ。相変わらず気持ちの悪いことを言う男だが、エーミールと同じく細身に見えるその体躯は、グレーデン家で手合わせとした時にかなり鍛え上げていることが見て取れた。筋肉がつきにくい体質のエーミールにしてみれば、うらやましい限りだ。
(他人がうらやましいなど、馬鹿げているな)
エーミールは自分に足りない部分を補うために、死に物狂いで剣技を磨いた。今ではあの筋肉の塊のようなヨハンにも、手合わせで十中八九は勝つことができる。
「次はわたしと勝負だ、ニコラウス」
「ええ? 勘弁してくださいよ! オレ、昨日の徹夜明けからの休暇中なんすよ」
ニコラウスが助けを求めるようにアデライーデを見た。
「エーミール、今日は勘弁してやって。ねえ、ニコ。あなた今度の新年を祝う夜会で警護担当なんでしょう?」
「ああ、おかげで夜会に出なくて済んだ。そうだ! エーミール様にひとつお願いが!」
不覚にも、いきなりニコラウスに両手を取られたエーミールは、やはり気持ちの悪い男だと眉をひそめた。
「オレ、一応長男なんすけど正妻の子供じゃなくて、家督は妹に譲ることになっているんですよ」
「ああ、そんな話は聞いたことがあるな」
「家を継げないことは別にいいんですよ。けど、妹が……」
そこで言葉を切ったニコラウスが、アデライーデの顔を見やった。
「妹が?」
アデライーデが小首をかしげると、ニコラウスがこの世の終わりのような顔をした。
「フーゲンベルク公爵に嫁ぐって言ってきかないんだよ! どうしたらいいと思う!? アデライーデ!」
「どうしたらって……ジークヴァルトにはリーゼロッテがいるし」
「じゃあ、公爵と妖精姫との婚約話は本当なんだな?」
「ええ、二人の婚姻は龍から受けた託宣だし」
「え? マジで!?」
落ち着きなく表情を変えるニコラウスを、エーミールは苛立ったように睨みつけた。
「それで、わたしに何をしろというんだ?」
「いや、何かあった時、妹の暴走を止めてほしくて……」
「そんなもの兄であるお前の役目だろう」
「それができれば苦労がないんすよ……妹に託宣の存在は話せないし、親父が普段から甘やかしすぎて、何をしでかすか心配で心配で」
うなだれるニコラウスを前に、エーミールとアデライーデは目を見合わせた。
「それでどうしてわたしに頼む。お前が横で見張っていれば済むことだ」
「妹の奴、オレになんとか家督を継がせようと、爵位狙いの令嬢を次から次に送り込んでくるんですよ! 白の夜会でも、それでひどい目にあって……」
「それくらいあしらえなくてどうする」
「社交界きってのモテ男にはできても、オレにはそんな器用なことできないんすよ! それに、妹は本当に猪突猛進な性格で……ああ、イザベラが公爵に突撃していく様が目に浮かぶ……!」
「ジークヴァルトに任せておけば大丈夫よ」
アデライーデが興味なさげに言う。
「リーゼロッテへの執着ぶりを見れば、それ以上どうこうしようなんて気が起きるわけないわ」
「……妖精姫、むちゃくちゃ可愛かったもんなぁ」
でへへとにやけているニコラウスは、限りなく締まりのない顔だ。アデライーデは半眼となり、ニコラウスを冷たく見やった。
「言っとくけど、リーゼロッテに変な気は起こさないことね。ジークヴァルトに殺されてもいいならかまわないけど」
「かまう! めっちゃかまいます!」
青くなってぶんぶんと首を振るニコラウスに、アデライーデは人の悪い笑みを向けた。
「ねぇ、ニコ。そんなに妹が心配なら、わたしにいい考えがあるわ」
にやりと笑うアデライーデを前に、するのはもはや嫌な予感ばかりだ。エーミールは、同様に感じているであろうニコラウスと、思わずその目を合わせた。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
【完結】遅いのですなにもかも
砂礫レキ
恋愛
昔森の奥でやさしい魔女は一人の王子さまを助けました。
王子さまは魔女に恋をして自分の城につれかえりました。
数年後、王子さまは隣国のお姫さまを好きになってしまいました。
もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~
岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。
「これからは自由に生きます」
そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、
「勝手にしろ」
と突き放した。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
【完結】大好きな幼馴染には愛している人がいるようです。だからわたしは頑張って仕事に生きようと思います。
たろ
恋愛
幼馴染のロード。
学校を卒業してロードは村から街へ。
街の警備隊の騎士になり、気がつけば人気者に。
ダリアは大好きなロードの近くにいたくて街に出て子爵家のメイドとして働き出した。
なかなか会うことはなくても同じ街にいるだけでも幸せだと思っていた。いつかは終わらせないといけない片思い。
ロードが恋人を作るまで、夢を見ていようと思っていたのに……何故か自分がロードの恋人になってしまった。
それも女避けのための(仮)の恋人に。
そしてとうとうロードには愛する女性が現れた。
ダリアは、静かに身を引く決意をして………
★ 短編から長編に変更させていただきます。
すみません。いつものように話が長くなってしまいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる