僕の恋の始まりと終わり

マカリ

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僕の恋の始まりと終わり 5月

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僕はいつの間にか、眠ってしまっていた。
 なんだがくすぐったい様なモゾモゾした感触で、無意識に左目がうっすらと開いた。

 この感覚…… 

 うっすら開いた左目から見えている光景を理解するのに、かなり時間が掛かった。
 ベッドで寝ていたはずの凌二が、ソファーで寝ている僕にキスをしながら、僕の髪を撫でていた。

 状況を理解した僕は、思わず両目を見開いて驚きおののく。

 凌二も僕が起きた事に気付いてキスを止めた。

「な、何、何、やってんだ……何やってんだ……」と、僕は驚き過ぎて頭では理解していたけれど、受け入れられなくて、しどろもどろになっていた。
「キス……した……」と、凌二は俯いて言う。
「キス……キスって……お前……」
「奏、ゲイだろ」
「え……」
「俺もだから、すぐ分かった」
 凌二にそう言われて固まってしまった僕。
「だからって、していい事じゃないのも分かってる。ごめん……寝込み襲って」

 僕はなるべく冷静を装ってゆっくり起き上がった。
 凌二が隣に座る。
「僕が…ゲイだと……」
「確信したよ。昨日コンビニから帰って来た時、奏が共通廊下で出迎えてくれた時に」
「そんな事で?分かる訳無いだろ」
「分かるよ。元々俺を見る時の目付きとか、素で笑った時の仕草とか」
 何も返せない僕。
「俺がこんな土地勘も無い所に越して来たのって、単に家賃が安いとかじゃ無くて……ゲイだからってのもあって…」と、凌二が俯いて言った。そして、
「逃げて来たようなもんなんだ」と言った。
 更に何も言えない僕。
「本当にごめん。申し訳ない事した」と、凌二は頭を下げた。

 僕はそのまま何も言わずに逃げるように自宅に帰った。

 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

 凌二もゲイ。
 僕もそうだとバレていた。
 でも、何でキスしたんだ……
 僕の初キッス!!!

 展開に頭が着いて行けなくて、めまいがした。凌二の事は、好きだ。でも……こんな展開想像もしていなかった。

 凌二にキスされた事、言われた事を処理出来なくて頭を抱えているとインターホンが鳴った。見ると凌二だ。僕が忘れたノートパソコンを持っている。僕は躊躇したけれど、仕方なく玄関を開けた。
「忘れて行ったから……」と、凌二がノートパソコンを返して来た。
「……ありがとう」
 凌二を見れない僕。
「……ごめん」
 そう言って凌二は踵を返した。

 このまま玄関が閉まれば、二度と凌二とは会えない気がした。
 咄嗟に僕は凌二の腕を掴んでいた。
 振り返る凌二。

「奏……」
「とりあえず……ちゃんと話したい……」

 テーブルを挟んで座る僕と凌二。もうかれこれ何分経ったのか。引き留めた僕だけれど、何をどう話せばいいのか分からなかった。
「あ、あの……僕は……その……」
「奏、君の気持ちを考えないで、本当にごめん」
「僕の気持ち?」
「うん、俺は自分の色んな気持ちを埋めたくて、奏を利用した」
「利用?」
「毎日ゲームに誘ったり、昨日だって、俺の家に上がるくらいだからいいんだろうって、身勝手に考えてキスしたり……」
 そっか、そうだよな。僕の行動が分かりやすかったんだ。普通、どんな人なのか大して知りもしないのに家になんか上がらない。それに恋煩いが僕の思考を鈍らせたんだ。
「でもさ、初めて会った時の気持ちは本当なんだ。知らない土地でひとり寂しくて、でも奏に偶然出会って何か嬉しくなっちゃって……」
 あぁ、そんな事言ってたっけ……
「僕の気持ちにも気付いてたわけだ」と、僕はやっと冷静になって言った。
「うん。分かってた」
「だから、セックス出来るかもって?」
「そんな下衆じゃないよ。ただ会う度に俺も奏の事、意識するようになっていって…で、寝顔見てたらムラっと来て…キスしたのは悪かったと思ってる。軽率過ぎた」
 僕にムラっと来たのか……
「僕は性的対象?」
「まぁ、そうだけど」
「じゃぁさ、セフレになる?」
 僕は自分でも驚く様な事を凌二に言った。
「セフレって……」
「凌二は知らない土地でひとり寂しくしてる。僕は君が好きだ。お互い損しない」
 何言ってんだ僕。
「もっと自分を大切にしろよ」と、凌二が悲しそうな目をして言った。
 僕は何て馬鹿なんだろうか……
 何だか立場が逆転してしまって、
「ごめん……」と、凌二に謝っていた。
「でも……抱いてもいいの?」と、凌二が続ける。 
 僕はハッとして凌二を見つめる。
「抱けるなら抱きたいよ……奏の事、好き…だし…」
 そんな事を言われて心臓がバクバクし出す僕。
 凌二が僕の隣に座り、顔を近づけて来た。経験は無いけれど、このままの流れで凌二に抱かれたいと思った。

 さっきは突然過ぎて気付かなかったけれど、唇同士が触れ合う感触がこんなにも気持ちいいとは思わなかった。自然と息が荒くなる。凌二がペロッと僕の唇を舐める。
「んっ...///」と、口開ける僕。凌二の舌が入ってきて、「あっんっんっ...///」と更に息が漏れる。

「奏……本当にいいの?」
「え?」と、吐息が漏れる僕。
「後悔しない?」
「……しないよ」

 首筋にキスしてくる凌二。
「あああ……ンッ...///」と、声が漏れるのを我慢しなくなった僕。
 凌二が僕の首筋をキスしながら、シャツをめくって僕の乳首を舐めたり弄ったりする。人にされるのは初めてだったから、僕は更に声を漏らしながら身悶える。
 いつの間にか凌二が僕の下着を脱がせて、僕のペニスを舐めていた。
「あっ、ああぁぁあ……ハァハァ...///」
 僕にとっては初めてづくしで、どうしていいか分からなくて……凌二にされるがままになっていた。それに、凌二はとても慣れている、と思った。僕のペニスをキスしたり舐め上げたり、竿を扱きながら亀頭責めしたり。
 ジュポジュポ音を立てながら喉奥まで咥えられながら玉を揉まれて、
「もう……もう我慢できない」
 僕は凌二の頭を掴んで、そう叫ぶように言いながら凌二の口内に射精した。

「ハァハァ...///」

 僕の荒い息遣いだけが部屋に響く。
 凌二に目をやると、ベッド脇のティッシュを何枚か掴み、そこに僕の精液を吐き出してるようだった。そして、
「奏、初めてだろ」と、僕の頭を撫でながら言った。
「はぁはぁ……そうだよ。僕は経験がない。キスも初めてだった」
「もっと自分を大切にしろって。セフレ、何て軽々しく言っうなよ。俺が本当に下衆野郎だったらどうしたんだよ、全く」
 凌二は僕の頬を撫でながら優しく叱った。

 それ以上の事は凌二はしてこなかったけれど、僕のベッドで二人で横になって、凌二が腕枕をしてくれながら抱きしめてくれた。
「初めてが俺でいいの?」と、聞いてくる。
「いいよ……好き……だから……凌二が好きだから」
 暫く黙っていた凌二だけれども、
「じゃぁ、奏を大切にしないとな」と言って優しいキスをしてくれた。

 僕の恋が初めて実った5月。好きな人の腕に抱かれて眠るのが、こんなに幸せで安らかなんだと僕は知った。
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