僕の恋の始まりと終わり

マカリ

文字の大きさ
8 / 13

僕の恋の始まりと終わり 8月

しおりを挟む
 凌二との関係は良好だと思う。多分__
 まだ彼は自分の事を語らない。語りたがらない。それを除けば僕と彼はラブラブだ…と思う。僕が浮かれすぎなのかな?

「凌二、来週はお盆だけど、君は帰省するの?」
「え?あぁ、俺は帰らないよ。奏は?」
 僕は凌二にベッドの上で抱きしめられながら、
「凌二が帰らないなら、僕も今年は帰らない」
「いいの?」
「大丈夫。凌二と居たいもん」
 ギューッと僕を抱きしめてくれる凌二は、
「そっか」と、言うだけだった。
 僕は彼の顔を見るのが怖くて、彼の胸に顔を埋めていた。多分、また冷たい目をすると思ったから。相変わらず彼は一瞬ではあるけれど、悲しいような冷たいような目付きをする時がある。それの意味が分からないし見たくなくて、僕はいつもさりげなく目線を外していた。

「じゃぁお盆休みは、どっか行く?行きたい所ある?」
 僕が甘えてると思ったのか、僕の頭を撫でながら凌二が聞いてきた。
「うん…」
「何?言ってみろよ。奏の行きたい所は、俺も行きたいからさ」

 僕は頭の中にある『恋人としたい事リスト』の中の一つを言うべきか悩んでいた。断られないとは思うけど、またあの目付きをされるのが嫌で…

「奏?」
「うん、あの…」
「何?」
「僕、好きな人とさ…」
「好きな人と?」
「お祭りに行って花火を見るのが、ずっと夢で…」
 僕はモジモジしながら言ってしまった。
「そういえば来週夏祭りだったなぁ。その時花火も打ち上げられるんだっけ?」
「そうなんだよね…」
「俺も奏と花火見たい!一緒に行こう!」
 思いがけない凌二の反応だった。
「本当に?」と、僕は凌二を見つめてしまった。
「もちろんだよ。俺も好きな人と行きたいもん」と、微笑んで言う凌二。
 嬉しすぎて僕はまた凌二の胸に顔を埋めた。

 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

 夏祭り当日__
 実は前日から凌二が僕の部屋に泊まっていた。お昼頃まで何となく二人共ベッドでイチャついては寝てを繰り返していた。出掛ける予定時刻は16時。まだまだ余裕がある。
 隣で眠っている凌二の肩にそっとキスをしてみる。カッコイイ僕の彼氏。こうして裸で一緒に居るなんて、いまだに夢みたいだ。
 そんな凌二に見惚れていると、ガバッと抱きしめてきた。
「そんなに俺を見つめてさ。出掛ける前に、もう一回エッチしとく?」と、凌二が言った。
 僕は彼が起きているとは思っていなかったから、あたふたしてしまった。
「もう、可愛いんだから」
そう言って優しいキスしてくる凌二。
「……もう、ゴム使っちゃって無いよ」と、僕はおずおずと言う。
「そんなにヤッたっけ?」と、凌二が真顔で言う。
 こくりと頷く僕。
「そっかぁ。俺たち結構エロいね」と、悪戯っぽく言う凌二。
 そう言われて僕は多分顔が真っ赤になったのだろう。凌二が、ふふっと笑うと、
「あぁもう、我慢しようと思ったのに無理。ゴム無いなら、舐めてくれる?」と、僕の頬を撫でながら優しく言ってきた。
「う、うん。舐めてあげる」
 僕は布団の中に潜ると凌二にフェラしてあげた。

 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

 結局予定時刻をとうに過ぎてから家を出た僕ら。
「奏がエッチだから悪い」
「凌二が全然止めてくれないのが悪い」
 そう言い合いながら夏祭り会場を散策する。
 花火が打ち上がるまで、まだ時間があるが、もう人でごった返していた。正直こんな人混みの中に入ったのは記憶にない僕である。
「離れ離れにならないように」
 そう言って凌二が僕と手を繋いだ。
 僕はこんな人が沢山いるのに、と思ってつい離そうとしてしまった。
「誰も見てないから平気だよ」と、凌二はお構い無しにギュッと僕の手を握った。

 めちゃんこ嬉すぃですぅ♡♡

「あっ、俺焼きそば食いたい」
 凌二はそう言うと屋台の方にグイグイ僕を引っ張って行く。
 凌二は焼きそばを一食買い、そしてまた僕をグイグイ引っ張って人の邪魔にならない場所へ移動した。
「半分こしような」と、凌二は食べ始めた。
 美味しそうに食べる凌二。すると、
「はい、アーンして」と、凌二が僕に食べさせようとして来た。
「自分で食べるから、箸貸せって」
「いいじゃんよ、アーンしろって」
 少し躊躇しながら、僕は口を開けてみる。
「美味いだろ?」と、僕に食べさせながら凌二は微笑んで言う。
 めちゃくちゃ美味しくて嬉しくて頷く僕。
「じゃぁ次は奏が食べたい物にしよっか」
「僕は…喉が乾いたかも…」
「あぁ」
 たまたま自販機が目の前にあったのと本当に喉がカラカラだったので、ミネラルウォーターを買う僕。イカ焼き食べたい、って言えば良かったかな?でも焼きそばの次は、さっぱり系が良かったのかな?とか悶々と考えていると、
「水分補給は大事だもんね」と、空気読む凌二。どこまでイケメンなんだよ君は…

 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

 人混みに揉まれながら夏祭りの雰囲気を楽しんでいた僕たちは、花火大会の会場へ向かうために更に人混みの中へ入ろうとしていた。
 ふと僕は目に入った林の奥に、小さな鳥居を見つけた。
「凌二…凌二…」
 僕は彼を呼び止めるため繋いだ手を引っ張った。
「おっと、危ないよ奏。どうかした?」
 慌てて振り返ろうとする凌二を、僕は人を掻き分けるように林の方へ引っ張って行った。
「奏、どうしたんだよ」
「あれ見て」と、僕は仄暗い林の奥に見える鳥居を指差した。
「ん?鳥居か?」
「そう。僕思い出したんだけど、あの鳥居の先の石段を上がるとさ、小さな神社があるんだよ」
「神社?」
「そう。多分、そこから花火が良く見える筈なんだ」

 記憶の片隅にある思い出。子供の頃、祖母に連れて来てもらった花火大会を、あの神社から見たのを僕は思い出したのだ。
「でも、人気もないし、大丈夫かな」と、凌二は乗り気では無いよう。
「だいぶ寂れてしまってるようだけど、子供頃はあの神社にも祭りの飾りや提灯が灯っていたんだよ」

 スマホをライト代わりに足元を照らして石段を二人で登りきると、本殿の裏側の林が開けていた。
 奥に進もうとする凌二を引き止める。
「ちゃんとお参りしないとダメだよ」
「奏って、真面目だね」
「神様に失礼だろ。ほら、一緒にちゃんとお参りしよう」
 二人でお賽銭を入れて手を合わせる。

『凌二とこの先もずっと一緒に居れますように』

 彼が何を願ったのかは知らないけれど、僕と同じだったらいいな、と思った。

 お参りを済ませて本殿の裏に回ると、花火が打ち上がる河川敷を見下ろせた。
「誰も知らないのかな、こんな絶好のスポット」と、凌二が言った。
「僕も子供の頃ぶりだけどさ、昔は鳥居も林に埋もれてなかったしね。もう手入れも余りされてないようだし」
「祭囃子が聞こえなかったら、結構怖いかもな」と、凌二が苦笑いしながら言った。
 僕も確かに、と思って一緒に笑ってしまった。

 花火は定刻通り打ち上がった。花火が打ち上がるまでは辺りは暗かったが、打ち上がってしまうとさっきまでの暗闇が嘘のように色鮮やかに明るく辺りを照らした。
 打ち上がる花火を見ながら横目で凌二を見る。花火に照らされた彼の横顔も又とても美しく、それに見惚れそうになった。僕の『好きな人と夏祭りで花火を見たい』夢は叶った訳で…

 毎年凌二と来れたらいいな

 そんな欲が芽生えてしまう。僕は思わず彼の手を握ってしまった。この幸せを永遠に感じていたくて。
「奏…」
 凌二は僕を見つめてキスをしてくれた。

 それは本当に…
 本当に忘れなれない8月の夏祭りの夜だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

義兄が溺愛してきます

ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。 その翌日からだ。 義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。 翔は恋に好意を寄せているのだった。 本人はその事を知るよしもない。 その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。 成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。 翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。 すれ違う思いは交わるのか─────。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!

ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!? 「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??

幼馴染み

BL
高校生の真琴は、隣に住む幼馴染の龍之介が好き。かっこよくて品行方正な人気者の龍之介が、かわいいと噂の井野さんから告白されたと聞いて……。 高校生同士の瑞々しくて甘酸っぱい恋模様。

勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される

八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。 蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。 リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。 ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい…… スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)

彼の理想に

いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。 人は違ってもそれだけは変わらなかった。 だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。 優しくする努力をした。 本当はそんな人間なんかじゃないのに。 俺はあの人の恋人になりたい。 だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。 心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。

もしも願いが叶うなら、あの頃にかえりたい

マカリ
BL
幼馴染だった親友が、突然『サヨナラ』も言わずに、引っ越してしまった高校三年の夏。 しばらく、落ち込んでいたが、大学受験の忙しさが気を紛らわせ、いつの間にか『過去』の事になっていた。 社会人になり、そんなことがあったのも忘れていた、ある日の事。 新しい取引先の担当者が、偶然にもその幼馴染で…… あの夏の日々が蘇る。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

処理中です...