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第一章
訓練場へご案内
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翌日、朝の挨拶のために私はアウルと一緒に魔王の間を訪れた。扉の前で一礼し、魔王の目前まで近づいたところでぎこちなく跪いた。魔王は昨日と同じように玉座からこちらを見下ろしている。
「おはよう、魔勇者シズハよ。昨日はよく眠れたかね?」
「ええ。こちらにおわすメイドさんのおかげでね」
若干の皮肉をこめて私は返答した。この無礼な口のきき方はこの魔王へのささやかな抵抗だ。
「ほほう、ゆうべはお楽しみだった…ということか…」
魔王はそんな私の抵抗を咎めることもなく話を続けた。
「その通りでございます。魔勇者様は激しいプレイが好みのようです」
私の隣で片膝をつくアウルが口をはさんできた。
「オイ!真顔でややこしい言い方をするんじゃない!」
あと顔を赤らめるな!
「はっはっはっ…よいよい」
重低音で魔王は笑い声をあげた。
「どうやらおぬしはアウルにだいぶ気に入られたようだな」
「はい。魔勇者様のリアクションは見ていて楽しいです」
てめぇ。
「さて、本題に入るとしよう」
もう本題に入りよったよ!少しは文句言わせろ!
「今日はおぬしに装備を選んでもらう」
「装備?」
「そうだ。おぬしに適した武具を見繕い、実戦に入る前に少し訓練を受けるのだ」
つまりチュートリアルってところね。まぁ、いきなり戦場にぶち込まれるよりはマシだわ。
「で、その装備はどこにあるの?」
「それなんだが、結構な数になってしまったのでな…訓練場にまとめて用意した」
「け、結構な数?」
どんだけあるのよ…。
「詳しい話は訓練場にいる担当に聞くがよい。では行け」
立ち上がり、一礼して私は魔王の間を後にした。
アウルに案内されて私は訓練場に向かった。途中の廊下は朝から魔物達がせわしなく往来していた。
「しかし、意外よね」
「どうされましたか?」
「私がタメ口でしゃべっているのに、魔王もあんたも気にしないんだもの」
普通ならキレるところのはずだけどね?『おい貴様!魔王様に対して何だその口は!』的な感じで。
「ああ見えて魔王様は敬語での会話が苦手な方だそうです。一人ぐらいはタメ口同士で会話する相手が欲しかったと仰っていたほどです」
「ふーん…それは意外ね…」
「私が生まれるずっと前から魔大陸のトップに君臨しているお方ですからね。そういう相手になかなか会えなかったのでしょう」
頂点に立つがゆえの孤独というヤツか…。アウルが何歳か知らないが、彼女の口ぶりから察するに魔王はかなりの長寿であるようだ。
「いわゆるボッチというヤツです」
「オイ!身も蓋もない言い方すな!というかお前が無礼かますんかい!」
「おっとこれは失礼。これおごるから内密にお願いします」
悪びれることなくアウルは立ち止まり、近くにあった自動販売機に小銭を入れてジュースを購入し、私に渡した。
「あ、こりゃどうも…」
果物が描いてある缶ジュースだ。パッケージから見るにおそらくオレンジジュースだろう。
「では参りましょう。訓練場は次の角を右に曲がってすぐのところにあります」
何事もなかったかのようにアウルは歩き出した。彼女の背中、手元の缶ジュース、横の自動販売機を順に見た私は一つの事実に気づいた。
「……自販機あるんかい!」
「おはよう、魔勇者シズハよ。昨日はよく眠れたかね?」
「ええ。こちらにおわすメイドさんのおかげでね」
若干の皮肉をこめて私は返答した。この無礼な口のきき方はこの魔王へのささやかな抵抗だ。
「ほほう、ゆうべはお楽しみだった…ということか…」
魔王はそんな私の抵抗を咎めることもなく話を続けた。
「その通りでございます。魔勇者様は激しいプレイが好みのようです」
私の隣で片膝をつくアウルが口をはさんできた。
「オイ!真顔でややこしい言い方をするんじゃない!」
あと顔を赤らめるな!
「はっはっはっ…よいよい」
重低音で魔王は笑い声をあげた。
「どうやらおぬしはアウルにだいぶ気に入られたようだな」
「はい。魔勇者様のリアクションは見ていて楽しいです」
てめぇ。
「さて、本題に入るとしよう」
もう本題に入りよったよ!少しは文句言わせろ!
「今日はおぬしに装備を選んでもらう」
「装備?」
「そうだ。おぬしに適した武具を見繕い、実戦に入る前に少し訓練を受けるのだ」
つまりチュートリアルってところね。まぁ、いきなり戦場にぶち込まれるよりはマシだわ。
「で、その装備はどこにあるの?」
「それなんだが、結構な数になってしまったのでな…訓練場にまとめて用意した」
「け、結構な数?」
どんだけあるのよ…。
「詳しい話は訓練場にいる担当に聞くがよい。では行け」
立ち上がり、一礼して私は魔王の間を後にした。
アウルに案内されて私は訓練場に向かった。途中の廊下は朝から魔物達がせわしなく往来していた。
「しかし、意外よね」
「どうされましたか?」
「私がタメ口でしゃべっているのに、魔王もあんたも気にしないんだもの」
普通ならキレるところのはずだけどね?『おい貴様!魔王様に対して何だその口は!』的な感じで。
「ああ見えて魔王様は敬語での会話が苦手な方だそうです。一人ぐらいはタメ口同士で会話する相手が欲しかったと仰っていたほどです」
「ふーん…それは意外ね…」
「私が生まれるずっと前から魔大陸のトップに君臨しているお方ですからね。そういう相手になかなか会えなかったのでしょう」
頂点に立つがゆえの孤独というヤツか…。アウルが何歳か知らないが、彼女の口ぶりから察するに魔王はかなりの長寿であるようだ。
「いわゆるボッチというヤツです」
「オイ!身も蓋もない言い方すな!というかお前が無礼かますんかい!」
「おっとこれは失礼。これおごるから内密にお願いします」
悪びれることなくアウルは立ち止まり、近くにあった自動販売機に小銭を入れてジュースを購入し、私に渡した。
「あ、こりゃどうも…」
果物が描いてある缶ジュースだ。パッケージから見るにおそらくオレンジジュースだろう。
「では参りましょう。訓練場は次の角を右に曲がってすぐのところにあります」
何事もなかったかのようにアウルは歩き出した。彼女の背中、手元の缶ジュース、横の自動販売機を順に見た私は一つの事実に気づいた。
「……自販機あるんかい!」
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