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第299話 ノアの部屋10
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朝起きると、ベッドにノアの姿はなかった。
うん、つーか、時計を見るともう昼じゃねぇか!
着替えて出かける準備をしテーブルを見ると、
『仕事に行ってくるね。昼には一度戻るよ♪』
と、置き手紙があった。
(昼ってことは、じゃあ、そろそろ帰ってくるか?)
などと、考えてた時だ──
ガチャリと音を立て扉が開くとノアが帰ってくる。
「あ、起きてたんだ。おはよう♪」
「ああ、たった今起きた所だ。おはよう、ノア。つーか、よく起きれたな? 酒は抜けてたのか?」
「お酒は魔法でちょいちょいっとね? だから朝から万全で行ってきたよ」
そんな魔法があるのか?
アルコールを消す魔法みたいな奴か?
「俺は大分寝過ごしたな。そろそろ活動しなきゃいけなそうだ。ノア、宿、ありがとな。改めて言うが、今日から俺は旅に出るよ。また会おうな──」
「なんだ、もう行っちゃうんだ。結構寂しいかな。でも、そうだね。また会おうね、約束だよ?」
「ああ、約束だ──」
アルテナとも似たようなやり取りをした気がする。
何かデジャヴだな。アルテナとノア似てるし。
扉に向かう、そしてノアとすれ違い様。
ぎゅっとノアが抱きついてくる。
「ユキマサ君──行ってらっしゃい♪」
「ああ、行ってきます。土産、買ってくるよ」
それだけの言葉を交わした。
また帰ってくる、会いにも来る。
だからさよなら何て野暮な言葉は言わない。
*
数刻後。
──大都市エルクステン
路地裏・盗賊の溜まり場──
「クソ、あのエルフのガキのせいでめちゃくちゃじゃねぇか」
「バナハさんも捕まっちむうしよ、お頭どうします?」
人数は30人ぐらいだろうか、路地裏にある溜まり場に装備を整えたガラの悪い男たちが集まっている。
「そのガキの所に案内しな? 騎士だか何だか知らねぇが、こっちも舐められたままじゃいられねぇな?」
盗賊達が立ち上がる。
すると不意に声が響いた。
「──ここか。舐められたままじゃいられねぇとか言ってたが、エメレアに用があるなら俺が聞くぜ?」
「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」
「誰だッ!?」
「エメレアの友達だよ。後世に伝えな、俺は俺の友達を仲間を──傷つけるやつは絶対に許さない!!」
「こ、こいつ、例の手配書の金貨10000枚の賞金首ですよ! あの魔王信仰のNo.2の〝屍〟シリュウ・ブラックと並んでた──〝国狩り〟稗月倖真だ!」
──この日〝大都市エルクステン〟の路地裏で盗賊団の根城が壊滅する事件があった。
街の憲兵が到着した頃には、その全員が意識不明の虫の息。数刻後、数日後に意識を取り戻した者は震え上がり口を揃えて言った〝鬼が出た〟──と。
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