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ミヤコワスレ
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もう少しで夏休みが始まる。
2年生は3年生よりは課外の回数は少ないが、夏休みの3分の1はクラスメイトと会えるはずだ。
「いや、まず期末だろ」
朝倉は頭を抱えて言う。
それに目を見開いて、田中は膝から床に倒れ込む。
「ははは。嘘だって言ってくれよ、マイケル」
「マイケルって誰だよ」
そんな2人を見向きもせず、机に向かう佐藤はツッコミを入れた。
文系と理系で被っている教科は国・数・英くらいだろう。
「佐藤、助けてくれ!」
「まず席着けよ」
「英語を……英語を教えてくれぇぇぇぇ!」
「分かったから座れ」
「俺には古典を……!」
「はいはい。座って、ペンを持て、馬鹿野郎共」
朝倉と田中が救済を求めているのを制しながら佐藤は着席を促す。
今日はテストまであと2週間の放課後。
冷房のない教室には誰も居残らなかった。
当たり前だ。教室の温度計は28度を示していた。
「よいしょ。みんなは図書館かぁ」
机をくっつけて、2人は席に着いた。
「購買でアイス売ってくれたらいいのに……」
「そりゃ、みんなが願ってることだよ」
「佐藤は不安な教科無いわけ?」
「うん。数学」
「だよな~。教えてやるよ、田中が」
「いや、朝倉じゃねーのかよ」
この男たちは本当に極端なのだ。
佐藤は文系科目が得意で、朝倉と田中は理系科目が得意なのだ。
「ちゃんと勉強してる俺たち偉い」
「テスト前日にならなきゃ俺ら勉強しないからな」
「放課後勉強してるだけいいだろーな。やべー奴はやべーかならな」
赤点を取らず、平均点以上を取れたら嬉しい。
それがこの男たちの基準である。
夏休みだというが、まだ6月末である。
まだ6月なのに蜃気楼が揺れる程暑い。まだプール開きはしないらしい。
「朝倉」
「んー?」
勉強をし始めて約10分が経った時、佐藤に声を掛けられる。
呼ばれていない田中も顔を上げる。
「お前さ、3組で噂なってるよ」
「何のだよ」
「女誑かしてるって」
「ぶふっ!」
「笑うよ、田中!」
田中は盛大に吹いた。
女の影があるわけがない男で有名な朝倉に女の影が見えるはずがない。
「ぎゃははははっ! 良かったじゃねーか! ひぃーっひぃーっ!」
「ガチで笑ってんじゃねーよ!」
「ふふ……っ」
「佐藤も何もらい笑してんだ!」
「いや……っ。でも朝倉に女って……。ふふっ」
「お前らだって女いないくせに!」
その瞬間、この男たちはそっぽを向く。
そのことを言われたら痛いところがある。
「だってさ、朝倉は好きな人いるの?」
佐藤は訊く。
佐藤と田中は朝倉が好きな人について話しているところを見たことがない。
「うーん……。いないな」
「ずっとだよなぁ。何でそんなにいないもんかね」
「田中は中学の時いたのにな」
「そうだよ。高校入ってから聞かなくなったよな」
「いやいや。話の矛先間違ってるぞ。今は朝倉に訊こう」
押しつけ合いの結果、やはり話の矛先は朝倉になった。
「いや、ほんとにいないんだよ。多分お前らといるの楽しいからかな」
「うっわ。くっさ」
「青春を女無しで過ごすとか臭うわ~」
「うっ、うっせーよ!」
青春と言っても、この男たちは女の影1つも見当たらないのだ。
それに朝倉は気付いたことがある。田中についてだ。
田中はパンを購入する際、佐藤の好物を買う。
それと高校に入学してから女の話をしなくなったことは関係あると考えている。
「田中だってそうだろ?」
朝倉は少し嫌味を含んだ言い方をする。
多分田中は気付く。
田中自身でその気持ちと変化を理解してるはずだから。
「ははっ。うるせー」
田中は乾いたように笑う。
やはりその笑顔はどこか困っているようだった。
「まぁ、朝倉が女を誑かしてるって有り得ないよな。最近、呼び出し多いけど」
「どれも嬉しくない呼び出しだけどな」
再び3人は無言になり、テスト勉強を始める。
今日は5時半まで残るそうだ。
そして、帰りにはコンビニで氷菓子を買うんだろう。
・花→ミヤコワスレ
・花言葉→暫しの憩い。別れ。
・誕生花→6/23
2年生は3年生よりは課外の回数は少ないが、夏休みの3分の1はクラスメイトと会えるはずだ。
「いや、まず期末だろ」
朝倉は頭を抱えて言う。
それに目を見開いて、田中は膝から床に倒れ込む。
「ははは。嘘だって言ってくれよ、マイケル」
「マイケルって誰だよ」
そんな2人を見向きもせず、机に向かう佐藤はツッコミを入れた。
文系と理系で被っている教科は国・数・英くらいだろう。
「佐藤、助けてくれ!」
「まず席着けよ」
「英語を……英語を教えてくれぇぇぇぇ!」
「分かったから座れ」
「俺には古典を……!」
「はいはい。座って、ペンを持て、馬鹿野郎共」
朝倉と田中が救済を求めているのを制しながら佐藤は着席を促す。
今日はテストまであと2週間の放課後。
冷房のない教室には誰も居残らなかった。
当たり前だ。教室の温度計は28度を示していた。
「よいしょ。みんなは図書館かぁ」
机をくっつけて、2人は席に着いた。
「購買でアイス売ってくれたらいいのに……」
「そりゃ、みんなが願ってることだよ」
「佐藤は不安な教科無いわけ?」
「うん。数学」
「だよな~。教えてやるよ、田中が」
「いや、朝倉じゃねーのかよ」
この男たちは本当に極端なのだ。
佐藤は文系科目が得意で、朝倉と田中は理系科目が得意なのだ。
「ちゃんと勉強してる俺たち偉い」
「テスト前日にならなきゃ俺ら勉強しないからな」
「放課後勉強してるだけいいだろーな。やべー奴はやべーかならな」
赤点を取らず、平均点以上を取れたら嬉しい。
それがこの男たちの基準である。
夏休みだというが、まだ6月末である。
まだ6月なのに蜃気楼が揺れる程暑い。まだプール開きはしないらしい。
「朝倉」
「んー?」
勉強をし始めて約10分が経った時、佐藤に声を掛けられる。
呼ばれていない田中も顔を上げる。
「お前さ、3組で噂なってるよ」
「何のだよ」
「女誑かしてるって」
「ぶふっ!」
「笑うよ、田中!」
田中は盛大に吹いた。
女の影があるわけがない男で有名な朝倉に女の影が見えるはずがない。
「ぎゃははははっ! 良かったじゃねーか! ひぃーっひぃーっ!」
「ガチで笑ってんじゃねーよ!」
「ふふ……っ」
「佐藤も何もらい笑してんだ!」
「いや……っ。でも朝倉に女って……。ふふっ」
「お前らだって女いないくせに!」
その瞬間、この男たちはそっぽを向く。
そのことを言われたら痛いところがある。
「だってさ、朝倉は好きな人いるの?」
佐藤は訊く。
佐藤と田中は朝倉が好きな人について話しているところを見たことがない。
「うーん……。いないな」
「ずっとだよなぁ。何でそんなにいないもんかね」
「田中は中学の時いたのにな」
「そうだよ。高校入ってから聞かなくなったよな」
「いやいや。話の矛先間違ってるぞ。今は朝倉に訊こう」
押しつけ合いの結果、やはり話の矛先は朝倉になった。
「いや、ほんとにいないんだよ。多分お前らといるの楽しいからかな」
「うっわ。くっさ」
「青春を女無しで過ごすとか臭うわ~」
「うっ、うっせーよ!」
青春と言っても、この男たちは女の影1つも見当たらないのだ。
それに朝倉は気付いたことがある。田中についてだ。
田中はパンを購入する際、佐藤の好物を買う。
それと高校に入学してから女の話をしなくなったことは関係あると考えている。
「田中だってそうだろ?」
朝倉は少し嫌味を含んだ言い方をする。
多分田中は気付く。
田中自身でその気持ちと変化を理解してるはずだから。
「ははっ。うるせー」
田中は乾いたように笑う。
やはりその笑顔はどこか困っているようだった。
「まぁ、朝倉が女を誑かしてるって有り得ないよな。最近、呼び出し多いけど」
「どれも嬉しくない呼び出しだけどな」
再び3人は無言になり、テスト勉強を始める。
今日は5時半まで残るそうだ。
そして、帰りにはコンビニで氷菓子を買うんだろう。
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