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降臨
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あと1日で7月に入り、期末テストが始まる。
中間テストとは違い、成績がしっかり出されるので、中間テストが悪かった者は今頃頑張っているだろう。
シャーペンを握るのも鬱陶しくなる。
外を見るが、風1つ吹いていない。
「プール入りたいな……」
「もお~! 小春先輩! プールなんてどうでもいいですよ~! 勉強教えてくださいよぉ~!」
「はぁ……。なんで今日なのよ。普通はもう少し早く来るべきでしょ」
早川は勉強道具一式を揃えて、2年3組に足を運ぶ。
彼女も中間テストが悪かった者のようだ。
「赤点なんて取りたくないよ~」
「全く……。で、どこ分からないわけ?」
「……っ! アイス奢ります!」
「高いやつね」
「え……?」
「やるわよ」
早川は化学基礎が分からないようだった。
「化学基礎なんてやったの1年前だけど……」
「2年から無いんですか?!」
「文系に来ればね」
1年前にやったとはいえ、南雲は教科書を読み返すだけで少しだけ内容を思い出せた。
「mol計算懐かしい」
「足し算と掛け算もうやりたくない……」
「やればできるんだから大丈夫。頑張ろ、梨香」
「~! 終わったらちゅーしてください~」
「はいはい」
早川は教えられるとサクサク問題を解いていく。
授業はきちんと受けているらしい。
摂った水分と出ていく汗はどちらが多いのか。
開けていた窓から風が入ってくる。
少し涼めるような気がした。
「出来てる。偉い偉い」
「やった~! 化学基礎はこれでいけそうです。後は今日明日の教科をやって寝れば最強ですね」
南雲は早川にデコピンをする。
そしてデコピンをした場所に唇を当てる。
「ちゃんと寝なさいよ。暑いし、体調崩しちゃうわよ」
「小春先輩ってお姉ちゃん感半端ないですよね」
「はは。そうかな。ほら、帰る支度して」
「はーい」
南雲と早川は一緒に生徒玄関に向かう。
今日はテスト前日ということで全部活動が休みだった。
そのせいもあり、校舎に俄然人の気配を感じない。
南雲と早川だけがいるような気さえする。
玄関に向かう途中、奇妙なものを見つけた。
それは白い羽根だ。
「鳥の羽……ってわけではなさそうだね」
「匂い的にも私たちと同じ系統の匂いですね」
「奇病の類いではある、か。『天使病』か何かかしら」
「天使病……。皮肉な奇病ですよね」
天使病とは奇病の1つであり、花吐き病よりも稀で謎が多い。
原因不明であり、治療法は見つかっていないが、他者に感染することは無いが分かっている。
何が皮肉かと言うと、天使の翼は患者の血液や養分を奪って美しくなっていく。そのため、患者は最初は貧血や体重減少、傷の治りが遅いなどの症状が見られるが、最終的には死に追いやられる。
翼が綺麗になるにつれて、死期が近くなっていく。
怖いものだ。
「まだ羽は成長途中のようね」
「どうしてですか?」
「だってまだ羽にボリュームが無いし、まだ白くなれる」
早川は十分に白いのでは、と思ったが、何も言わなかった。
「小春先輩っていつから花吐き病患ってるんですか?」
ずっと気になっていて、訊けなかったこと。
早川は勇気を振り絞って訊いてみた。
「いや別に嫌なら言わなくてもいいですよ! 私はただここ4ヶ月の発症だったから、奇病について詳しくないって言うか……えっと……」
踏み込み過ぎたと後悔をし、要らないことまで言っていまう。
「3年前だよ」
「3年……」
南雲は早川が手に持っている羽を優しく奪い去る。
「そんな深刻な顔しないで。まだ寿命は来てないのだけは分かるの。応急処置だって故意的じゃないけどされてるし」
「小春先輩の応急処置、聞いたことない」
「ああ、まだ言ってなかったっけ? 私の応急処置は」
早川は息を呑む。
「ふふ。まだ内緒~」
「もーっ! 何なんですかぁ~!」
「はは。もうちょっとしたら教えてあげるよ」
「いつになるんですか!」
南雲は早川が可愛く頬を膨らすため、その頬を押してやる。
内履きから外履きに変え、2人は一緒に並んで帰る。
「誰の羽だったんでしょうね」
「まあ、同じ学校だからいつか会えるよ」
「小春先輩って何でそんなに奇病に詳しいんですか?」
「そりゃ、たくさんの人と会って最後を見届けてきたからね」
風が強く吹く。
2人のスカートを大きく揺らし、どこかへ消えていった。
「私みたいな人も?」
「うん」
「植物状態ってどういう状態かも?」
「ええ」
早川は進める足を止めた。
「……高いの奢ります!」
「ラッキー。じゃあ、ゴリゴリ君で」
「めっちゃ安いじゃないですか!」
人は自分より怖がっている人を見ると、冷静になれる。
だから、早川は自分より怖い想いをしてきた南雲を見ると、落ち着くことができる。
早川はしっかり南雲にアイスを奢られた。
南雲は後輩想いなのだ。
暑い中、2人はお互いの肩が触れ合う程近づいて、アイスを食べながら歩いて帰った。
中間テストとは違い、成績がしっかり出されるので、中間テストが悪かった者は今頃頑張っているだろう。
シャーペンを握るのも鬱陶しくなる。
外を見るが、風1つ吹いていない。
「プール入りたいな……」
「もお~! 小春先輩! プールなんてどうでもいいですよ~! 勉強教えてくださいよぉ~!」
「はぁ……。なんで今日なのよ。普通はもう少し早く来るべきでしょ」
早川は勉強道具一式を揃えて、2年3組に足を運ぶ。
彼女も中間テストが悪かった者のようだ。
「赤点なんて取りたくないよ~」
「全く……。で、どこ分からないわけ?」
「……っ! アイス奢ります!」
「高いやつね」
「え……?」
「やるわよ」
早川は化学基礎が分からないようだった。
「化学基礎なんてやったの1年前だけど……」
「2年から無いんですか?!」
「文系に来ればね」
1年前にやったとはいえ、南雲は教科書を読み返すだけで少しだけ内容を思い出せた。
「mol計算懐かしい」
「足し算と掛け算もうやりたくない……」
「やればできるんだから大丈夫。頑張ろ、梨香」
「~! 終わったらちゅーしてください~」
「はいはい」
早川は教えられるとサクサク問題を解いていく。
授業はきちんと受けているらしい。
摂った水分と出ていく汗はどちらが多いのか。
開けていた窓から風が入ってくる。
少し涼めるような気がした。
「出来てる。偉い偉い」
「やった~! 化学基礎はこれでいけそうです。後は今日明日の教科をやって寝れば最強ですね」
南雲は早川にデコピンをする。
そしてデコピンをした場所に唇を当てる。
「ちゃんと寝なさいよ。暑いし、体調崩しちゃうわよ」
「小春先輩ってお姉ちゃん感半端ないですよね」
「はは。そうかな。ほら、帰る支度して」
「はーい」
南雲と早川は一緒に生徒玄関に向かう。
今日はテスト前日ということで全部活動が休みだった。
そのせいもあり、校舎に俄然人の気配を感じない。
南雲と早川だけがいるような気さえする。
玄関に向かう途中、奇妙なものを見つけた。
それは白い羽根だ。
「鳥の羽……ってわけではなさそうだね」
「匂い的にも私たちと同じ系統の匂いですね」
「奇病の類いではある、か。『天使病』か何かかしら」
「天使病……。皮肉な奇病ですよね」
天使病とは奇病の1つであり、花吐き病よりも稀で謎が多い。
原因不明であり、治療法は見つかっていないが、他者に感染することは無いが分かっている。
何が皮肉かと言うと、天使の翼は患者の血液や養分を奪って美しくなっていく。そのため、患者は最初は貧血や体重減少、傷の治りが遅いなどの症状が見られるが、最終的には死に追いやられる。
翼が綺麗になるにつれて、死期が近くなっていく。
怖いものだ。
「まだ羽は成長途中のようね」
「どうしてですか?」
「だってまだ羽にボリュームが無いし、まだ白くなれる」
早川は十分に白いのでは、と思ったが、何も言わなかった。
「小春先輩っていつから花吐き病患ってるんですか?」
ずっと気になっていて、訊けなかったこと。
早川は勇気を振り絞って訊いてみた。
「いや別に嫌なら言わなくてもいいですよ! 私はただここ4ヶ月の発症だったから、奇病について詳しくないって言うか……えっと……」
踏み込み過ぎたと後悔をし、要らないことまで言っていまう。
「3年前だよ」
「3年……」
南雲は早川が手に持っている羽を優しく奪い去る。
「そんな深刻な顔しないで。まだ寿命は来てないのだけは分かるの。応急処置だって故意的じゃないけどされてるし」
「小春先輩の応急処置、聞いたことない」
「ああ、まだ言ってなかったっけ? 私の応急処置は」
早川は息を呑む。
「ふふ。まだ内緒~」
「もーっ! 何なんですかぁ~!」
「はは。もうちょっとしたら教えてあげるよ」
「いつになるんですか!」
南雲は早川が可愛く頬を膨らすため、その頬を押してやる。
内履きから外履きに変え、2人は一緒に並んで帰る。
「誰の羽だったんでしょうね」
「まあ、同じ学校だからいつか会えるよ」
「小春先輩って何でそんなに奇病に詳しいんですか?」
「そりゃ、たくさんの人と会って最後を見届けてきたからね」
風が強く吹く。
2人のスカートを大きく揺らし、どこかへ消えていった。
「私みたいな人も?」
「うん」
「植物状態ってどういう状態かも?」
「ええ」
早川は進める足を止めた。
「……高いの奢ります!」
「ラッキー。じゃあ、ゴリゴリ君で」
「めっちゃ安いじゃないですか!」
人は自分より怖がっている人を見ると、冷静になれる。
だから、早川は自分より怖い想いをしてきた南雲を見ると、落ち着くことができる。
早川はしっかり南雲にアイスを奢られた。
南雲は後輩想いなのだ。
暑い中、2人はお互いの肩が触れ合う程近づいて、アイスを食べながら歩いて帰った。
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