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ゲッカビジン
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「よっしゃー! 夏休みー!」
終業式後のLHRが終わり、田中は腕を伸ばす。
明日から夏休みに入る。
「俺らよくやったよ……。赤点も取らなかったし……」
朝倉が田中に肩を組みにきた。
夏休みには、アルバイトや夏祭り、海に行くなど楽しみがたくさんある。その中でも、夏祭りは今年も男3人で行く予定があるそうだ。
「あと残すは夏祭りだなぁ」
「あ、今年、母さんが浴衣出すって言ってた」
「彼女と行く訳でもないのにガチじゃん、朝倉。俺も母ちゃんに訊いてみるわ」
「おー。佐藤にも言うかぁ」
佐藤が浴衣を着て来れば田中も喜ぶだろうし、と心の中で朝倉は呟いた。
声に出すにはまだ証拠不十分であるし、本当だった時の心の準備が出来ていない。
「ま、後でもいっか」
「朝倉はこの後どうすんの?」
「家に帰ろっかな。多分、母さん、昼飯準備してるだろうから」
朝倉はスマホを操作しながら答える。
開いてる画面は本当に母とのトーク画面であった。
「そっか。佐藤はどうするかな。ちょっと訊きに行ってくるわ」
「おう」
田中は3組の教室に向かっていった。
その間、朝倉は帰る支度をして、もう1度自分の席に座る。
教室の窓から見上げる空は、雲1つない晴天だった。
もう少したら、同じ景色から入道雲︎を見上げるのだろう。
「はぁ……」
何も無い空を見ているだけで溜め息が出る。
朝倉は深く目を閉じた。深く息を吸い、吐く。
そして目を開けた。
田中が教室に帰ってくる際、佐藤も後ろを付いてきていた。
「朝倉が寝てるの丸見えだったよ」
「俺の寝顔、高いよ」
「あれは無料配布してた」
佐藤は朝倉に会うなり、すぐに終業式での居眠りしていたのを発見した報告をしてくる。
「で、佐藤はこの後どっか行くの?」
「何も予定無いから田中の昼飯に付き合う」
「俺も行きたかった~」
「母ちゃんが作って待ってんだったら帰ってやれよ」
「そうだそうだ」
「だよな~」
そこで朝倉は佐藤と田中は別れた。
久しぶりに1人で帰る廊下はどこか冷たく感じられた。
「う゛ぅっ?!」
今、朝倉は1人の女子生徒とすれ違った。
異臭がしたわけではないが、喉から戻しそうになる。
何なら良い香りがした。
女子の香水の匂いと奇病患者独特の匂い。
これはやばい、と思い、朝倉はどこかで花を吐き出そうとするが、場所が無い。
その時、誰かに腕を引かれた。
「大丈夫か、朝倉」
「た……けだ……っ?!」
「今、携帯とか鞄に入ってる?」
「ん……」
「俺とプール、どうっすか?」
そう言って、武田は朝倉を抱え、元来た道を通り過ぎ、空き教室よりも少し遠いプールへ向かった。
まだ水泳部はいないようだ。
「む……り……」
「俺のこと信用出来ないよな。でも、俺は朝倉のこと離したりしないから安心して」
花を吐き出しそうになっているのもあるが、水に入るという行為に対して心の準備が出来ていないのもあり、呼吸が不安定になっていく。
「深呼吸して。離さないから、大丈夫」
そう言って、武田はより一層朝倉を強く抱き締め、制服を着たままプールに飛び込んだ。
「はぁっ、はぁっ!」
「吐くのも苦しくて、水に浸かるのも苦しいって災難だな」
「ひゅーっ、ひゅーっ!」
「大丈夫だよ。俺は朝倉のこと離さないからさ」
だんだん喉から花弁が消えていくのが感覚で分かる。
それでも朝倉は武田の制服の袖を強く握っている。
それに答えるかのように武田も朝倉を強く抱き締めている。
「そろそろ落ち着いたよな?」
「うん……」
「おけ」
武田が朝倉を先にプールから出してやる。その後に武田もプールから上がってくる。
「何してんだ」
その時、プールサイドには男性の声が響いた。
「ぁ……」
その声の主は朝倉の親友である、田中だった。
・花→ゲッカビジン
・花言葉→艶やかな美人。儚い恋。
・誕生花→7/19
終業式後のLHRが終わり、田中は腕を伸ばす。
明日から夏休みに入る。
「俺らよくやったよ……。赤点も取らなかったし……」
朝倉が田中に肩を組みにきた。
夏休みには、アルバイトや夏祭り、海に行くなど楽しみがたくさんある。その中でも、夏祭りは今年も男3人で行く予定があるそうだ。
「あと残すは夏祭りだなぁ」
「あ、今年、母さんが浴衣出すって言ってた」
「彼女と行く訳でもないのにガチじゃん、朝倉。俺も母ちゃんに訊いてみるわ」
「おー。佐藤にも言うかぁ」
佐藤が浴衣を着て来れば田中も喜ぶだろうし、と心の中で朝倉は呟いた。
声に出すにはまだ証拠不十分であるし、本当だった時の心の準備が出来ていない。
「ま、後でもいっか」
「朝倉はこの後どうすんの?」
「家に帰ろっかな。多分、母さん、昼飯準備してるだろうから」
朝倉はスマホを操作しながら答える。
開いてる画面は本当に母とのトーク画面であった。
「そっか。佐藤はどうするかな。ちょっと訊きに行ってくるわ」
「おう」
田中は3組の教室に向かっていった。
その間、朝倉は帰る支度をして、もう1度自分の席に座る。
教室の窓から見上げる空は、雲1つない晴天だった。
もう少したら、同じ景色から入道雲︎を見上げるのだろう。
「はぁ……」
何も無い空を見ているだけで溜め息が出る。
朝倉は深く目を閉じた。深く息を吸い、吐く。
そして目を開けた。
田中が教室に帰ってくる際、佐藤も後ろを付いてきていた。
「朝倉が寝てるの丸見えだったよ」
「俺の寝顔、高いよ」
「あれは無料配布してた」
佐藤は朝倉に会うなり、すぐに終業式での居眠りしていたのを発見した報告をしてくる。
「で、佐藤はこの後どっか行くの?」
「何も予定無いから田中の昼飯に付き合う」
「俺も行きたかった~」
「母ちゃんが作って待ってんだったら帰ってやれよ」
「そうだそうだ」
「だよな~」
そこで朝倉は佐藤と田中は別れた。
久しぶりに1人で帰る廊下はどこか冷たく感じられた。
「う゛ぅっ?!」
今、朝倉は1人の女子生徒とすれ違った。
異臭がしたわけではないが、喉から戻しそうになる。
何なら良い香りがした。
女子の香水の匂いと奇病患者独特の匂い。
これはやばい、と思い、朝倉はどこかで花を吐き出そうとするが、場所が無い。
その時、誰かに腕を引かれた。
「大丈夫か、朝倉」
「た……けだ……っ?!」
「今、携帯とか鞄に入ってる?」
「ん……」
「俺とプール、どうっすか?」
そう言って、武田は朝倉を抱え、元来た道を通り過ぎ、空き教室よりも少し遠いプールへ向かった。
まだ水泳部はいないようだ。
「む……り……」
「俺のこと信用出来ないよな。でも、俺は朝倉のこと離したりしないから安心して」
花を吐き出しそうになっているのもあるが、水に入るという行為に対して心の準備が出来ていないのもあり、呼吸が不安定になっていく。
「深呼吸して。離さないから、大丈夫」
そう言って、武田はより一層朝倉を強く抱き締め、制服を着たままプールに飛び込んだ。
「はぁっ、はぁっ!」
「吐くのも苦しくて、水に浸かるのも苦しいって災難だな」
「ひゅーっ、ひゅーっ!」
「大丈夫だよ。俺は朝倉のこと離さないからさ」
だんだん喉から花弁が消えていくのが感覚で分かる。
それでも朝倉は武田の制服の袖を強く握っている。
それに答えるかのように武田も朝倉を強く抱き締めている。
「そろそろ落ち着いたよな?」
「うん……」
「おけ」
武田が朝倉を先にプールから出してやる。その後に武田もプールから上がってくる。
「何してんだ」
その時、プールサイドには男性の声が響いた。
「ぁ……」
その声の主は朝倉の親友である、田中だった。
・花→ゲッカビジン
・花言葉→艶やかな美人。儚い恋。
・誕生花→7/19
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