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リンドウ
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「南雲さん」
「なーに、朝倉君?」
雲ひとつない晴天と言いたいところだが、どんより厚い雲がかかっている。
曇りのち晴れの予定だが、正午になるが、晴れる様子はない。
「訊きたいことがある」
「うん。いいよ」
朝倉と南雲は階段の踊り場に行く。
昼休みなので少し騒がしいが、人はいないようだった。
「で、どうしたの?」
「花吐き病についてなんだけど」
「うん」
「『植物状態』ってどうなるの?」
南雲としても口が裂けても言いたくはないだろう。
朝倉としても残酷なことだとしても聞かなくてはいけないだろう。
「どこでそれを?」
「同じ花吐き病の奴から」
「ふーん」
南雲はあまり興味が無さそうだった。
「きっとここがターニングポイント。知らなくて幸せなこともあるよ」
朝倉の喉が鳴る。
ここまで来て、怖いので辞めます、なんて言える度胸は持ち合わせていなかった。
「覚悟はしてきたつもり」
「そう。結論から言うよ」
「うん」
1度深く瞬きをする。
口から心臓が出そうだ。
周りの音が聞こえなくなり、南雲の息遣いに耳を澄ます。
「あのね」
心做しか、南雲の目に迷いがある気がする。
「言葉のまんま……って言ったら無責任よね」
南雲は自己解決をする。
そして意を決した。
「植物になるの。吐いている花弁を咲かせるんだ」
武田の予想していたことが当たっていた。
朝倉は約束を守らなくてはならないようだ。
「何とかならないのか? 見てきたんだろ、色んな人をさ」
「無理。みんな手紙通りの結末を辿っていったよ」
「何か分かったことあったんじゃないの?」
「……」
「なぁ、南雲さん! 頼むよ、俺の……俺の友達のこと助けてくれよ!」
朝倉は南雲の肩を強く掴み、小さな身体を大きく揺らす。
南雲は俯いてしまう。
「南雲さん……、お願いだ……。教えてくれよ……」
「……って……よ……」
蚊の鳴くような声で南雲は言い返している。
その声に耳を傾ける余裕もない朝倉はまだ南雲を揺らしている。
2本の糸が切れる。
プツンと何かが切れる。
「俺の友達なんだ」
「……」
「水中でも俺のことを離さないような奴なんだよ」
朝倉にはいつもの穏やかさなんて無い。
凄い勢いで言葉をぶつけてくる。
南雲は俯いたまま。
「助けてくれよ……、南雲さん」
「やめてよ!!」
「っ、な、ぐも……?」
南雲の声が響く。
「私だって全部分かるわけじゃないよ!」
初めて南雲の大声を聞いた朝倉は口をパクつかせる。
女子が怒った時、どうしていいか分からないのだ。
理由は言わなくても分かるだろう。
「私だって……っ、私だって助けたかったよ! 親友を助けたかったよ! 朝倉君は後遺症残るとか奇病の併発でしょ!」
ああ、そういうことか。
朝倉はこの時やっと以前南雲が言っていたことを理解した。
処置をしても処置をしなくても辿る結果は十人十色。
全員が違う。
「私たちとは違うじゃない! それに生まれた環境も恵まれてたでしょう?」
「……ごめん」
朝倉がやっと出た言葉。
純粋な謝罪。
そこでやっと各々の糸が修復を始める。
「あ……、ごめんなさい……。ごめんなさいっ、私最低なことを言ってしまった……」
南雲は自分の口を手で覆い隠し、目を見開く。
そして頬を伝う温かい涙が理性を取り戻させる。
「ごめんなさい……。私……、私……っ」
「違う。南雲さん、落ち着いて。俺ががっつき過ぎた」
朝倉は南雲の背中を摩ってやる。
「ごめん。また傷つけた」
「私も朝倉君のこと傷つけたよ……。最低なこと言ったよ」
「ううん。俺が無神経なだけだよ。当たり前な反応だから大丈夫だよ」
朝倉と南雲は上りの階段側の踊り場の壁に背をつけながら、並んで体育座りをする。
朝倉は泣き止まない南雲の傍で自らの行動を反省する。
髪をガシガシと掻き、前髪を下ろす。
・花→リンドウ
・花言葉→悲しんでいる貴方を愛する。正義。
・誕生花→8/31
「なーに、朝倉君?」
雲ひとつない晴天と言いたいところだが、どんより厚い雲がかかっている。
曇りのち晴れの予定だが、正午になるが、晴れる様子はない。
「訊きたいことがある」
「うん。いいよ」
朝倉と南雲は階段の踊り場に行く。
昼休みなので少し騒がしいが、人はいないようだった。
「で、どうしたの?」
「花吐き病についてなんだけど」
「うん」
「『植物状態』ってどうなるの?」
南雲としても口が裂けても言いたくはないだろう。
朝倉としても残酷なことだとしても聞かなくてはいけないだろう。
「どこでそれを?」
「同じ花吐き病の奴から」
「ふーん」
南雲はあまり興味が無さそうだった。
「きっとここがターニングポイント。知らなくて幸せなこともあるよ」
朝倉の喉が鳴る。
ここまで来て、怖いので辞めます、なんて言える度胸は持ち合わせていなかった。
「覚悟はしてきたつもり」
「そう。結論から言うよ」
「うん」
1度深く瞬きをする。
口から心臓が出そうだ。
周りの音が聞こえなくなり、南雲の息遣いに耳を澄ます。
「あのね」
心做しか、南雲の目に迷いがある気がする。
「言葉のまんま……って言ったら無責任よね」
南雲は自己解決をする。
そして意を決した。
「植物になるの。吐いている花弁を咲かせるんだ」
武田の予想していたことが当たっていた。
朝倉は約束を守らなくてはならないようだ。
「何とかならないのか? 見てきたんだろ、色んな人をさ」
「無理。みんな手紙通りの結末を辿っていったよ」
「何か分かったことあったんじゃないの?」
「……」
「なぁ、南雲さん! 頼むよ、俺の……俺の友達のこと助けてくれよ!」
朝倉は南雲の肩を強く掴み、小さな身体を大きく揺らす。
南雲は俯いてしまう。
「南雲さん……、お願いだ……。教えてくれよ……」
「……って……よ……」
蚊の鳴くような声で南雲は言い返している。
その声に耳を傾ける余裕もない朝倉はまだ南雲を揺らしている。
2本の糸が切れる。
プツンと何かが切れる。
「俺の友達なんだ」
「……」
「水中でも俺のことを離さないような奴なんだよ」
朝倉にはいつもの穏やかさなんて無い。
凄い勢いで言葉をぶつけてくる。
南雲は俯いたまま。
「助けてくれよ……、南雲さん」
「やめてよ!!」
「っ、な、ぐも……?」
南雲の声が響く。
「私だって全部分かるわけじゃないよ!」
初めて南雲の大声を聞いた朝倉は口をパクつかせる。
女子が怒った時、どうしていいか分からないのだ。
理由は言わなくても分かるだろう。
「私だって……っ、私だって助けたかったよ! 親友を助けたかったよ! 朝倉君は後遺症残るとか奇病の併発でしょ!」
ああ、そういうことか。
朝倉はこの時やっと以前南雲が言っていたことを理解した。
処置をしても処置をしなくても辿る結果は十人十色。
全員が違う。
「私たちとは違うじゃない! それに生まれた環境も恵まれてたでしょう?」
「……ごめん」
朝倉がやっと出た言葉。
純粋な謝罪。
そこでやっと各々の糸が修復を始める。
「あ……、ごめんなさい……。ごめんなさいっ、私最低なことを言ってしまった……」
南雲は自分の口を手で覆い隠し、目を見開く。
そして頬を伝う温かい涙が理性を取り戻させる。
「ごめんなさい……。私……、私……っ」
「違う。南雲さん、落ち着いて。俺ががっつき過ぎた」
朝倉は南雲の背中を摩ってやる。
「ごめん。また傷つけた」
「私も朝倉君のこと傷つけたよ……。最低なこと言ったよ」
「ううん。俺が無神経なだけだよ。当たり前な反応だから大丈夫だよ」
朝倉と南雲は上りの階段側の踊り場の壁に背をつけながら、並んで体育座りをする。
朝倉は泣き止まない南雲の傍で自らの行動を反省する。
髪をガシガシと掻き、前髪を下ろす。
・花→リンドウ
・花言葉→悲しんでいる貴方を愛する。正義。
・誕生花→8/31
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