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シュウカイドウ
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9月に入ると、夏のような汗が滲むほどの暑さがなくなり、過ごしやすくなる。
半袖では寒いので、セーターやパーカーを着る生徒が多く見られる。
朝倉や早川はパーカー派で、南雲や武田はセーター派である。
「半袖の上に薄生地のパーカー着ると眠くなるの分からん?」
「ちょっと分かるかも。心地いいよな」
今日も今日とて、彼女のいない男3人組は一緒にいる。
「セーター着てる子も可愛いよなぁ」
「まぁ、俺らには縁がないことさ~」
「悲しいこと言うなよ」
帰りのHRが終わり、掃除が始まる前である。
「おーい、佐藤ー。掃除場行くぞー」
「おー。じゃ、放課後」
「おう」
3組の男子が佐藤を連れ出す。
「じゃあ俺たちも行くかぁ」
朝倉と田中も掃除場に行く。
掃除場は理科室。
担当の先生は物理の先生。
「せんせ~い」
「来るの遅い。担任にチクるぞ」
「そんなこと言って1回もチクったことないでしょ?」
「はー、カッチーン。チクるからな」
「ごめんって! 許してよ~」
「分かったから早く掃除しろって」
物理の先生はノリが良く、生徒と仲が良い。
今、朝倉と会話していて分かると思うが、物理の先生は昭和というジェネレーションギャップを感じさせる。
「待って……っ。このティッシュって……?!」
田中がふざけて大声を上げる。
「変な言い方をするな! 水滴拭いたままそこに置いておいただけだ!」
「まぁ……、先生も男っすからね……」
「女子いる前でやめなさいよ!」
「やだ~先生~」
掃除をしながら女子も会話に混ざる。
物理の先生は田中の頭を丸めた方眼紙で叩きながら、掃除を進めさせる。
「じゃあね、先生~」
「気をつけて帰れよー」
清掃確認のプリントにサインをしてもらい、2組の生徒たちは教室に戻る。
「ふぁ~」
朝倉は大きい欠伸をする。
「眠い?」
「ちょっとだけ」
「ちょーっとだけなら寝てもいいよ。佐藤来たら起こしてやるよ」
「あざーす……」
そう言って朝倉は机に頭を伏せる。
武田のこと、南雲のこと、奇病のことや謎の少女のことなどを考える。
朝倉はそれしか考えられない。
悩むことまでが奇病の呪いかもしれない。
生活の全てを縛られているような気すらする。
「ん……」
田中に揺らされない体を起こすと、教室はもう夕焼け色に染まっていた。
目の前の席で携帯をいじっている田中と目が合う。
「あれ……? 佐藤は?」
「用事あって帰ったよ」
「ふぁ~。じゃあ、起こしてくれよ」
「起きなかったんだよ」
「まじか。俺は令和の白雪姫ってわけか~」
「ちゅーしろってこと?」
「なわけ。投げ飛ばすぞ」
朝倉と田中は帰る支度をして、学校を出る。
今の時間を確認しようと、朝倉がポケットに手を入れて携帯を探す。
「あ」
鞄の中もしっかり探すが、どうやら教室に忘れてきたらしい。
「ごめん、スマホ教室だわ。先行ってて」
「着いてくわ」
「あざーす」
教室に戻る途中、窓から外を眺めた。
野球部やサッカー部が練習をしている。
ほとんどが1、2年生である。6、7月の大会が終わると、3年生は引退だからだ。
「誰がキャプテンなんだろ」
「あ、1年のマネ可愛い」
「うっそ。どこどこ?」
黒髪のサラサラロングの1年生の女子を指す。
高く結っているポニーテールが可愛らしい。
「めっちゃ可愛い!」
「あれは絶対彼氏持ちだ。行くぞ~」
教室には誰もいなかった。
さっさと携帯を取って、帰ろうとする。
その時だった。
「う゛っ……!」
「朝倉?」
朝倉は床に座り込んでしまう。
田中は駆け寄る。
「離れ……てくれ……っ」
こんな姿を見られるわけにはいかない。
それだけを朝倉は考えていた。
「大丈夫かよ?!」
心配をしてくれる友人を横目に、吐き気の止まらない少年は苦しくて仕方がない。
花を吐き出すのを我慢しているせいか、息が上手にできない。
武田と一緒にいた時と同じ状況だ。
「吐きそうなら吐け」
朝倉は頭を横に振る。
「どうすればいい……っ」
花が1つ、指の間を通り過ぎて床に落ちる。
「なんだ……これ……?」
・花→シュウカイドウ
・花言葉→片想い。恋の悩み。
・誕生花→9/10
半袖では寒いので、セーターやパーカーを着る生徒が多く見られる。
朝倉や早川はパーカー派で、南雲や武田はセーター派である。
「半袖の上に薄生地のパーカー着ると眠くなるの分からん?」
「ちょっと分かるかも。心地いいよな」
今日も今日とて、彼女のいない男3人組は一緒にいる。
「セーター着てる子も可愛いよなぁ」
「まぁ、俺らには縁がないことさ~」
「悲しいこと言うなよ」
帰りのHRが終わり、掃除が始まる前である。
「おーい、佐藤ー。掃除場行くぞー」
「おー。じゃ、放課後」
「おう」
3組の男子が佐藤を連れ出す。
「じゃあ俺たちも行くかぁ」
朝倉と田中も掃除場に行く。
掃除場は理科室。
担当の先生は物理の先生。
「せんせ~い」
「来るの遅い。担任にチクるぞ」
「そんなこと言って1回もチクったことないでしょ?」
「はー、カッチーン。チクるからな」
「ごめんって! 許してよ~」
「分かったから早く掃除しろって」
物理の先生はノリが良く、生徒と仲が良い。
今、朝倉と会話していて分かると思うが、物理の先生は昭和というジェネレーションギャップを感じさせる。
「待って……っ。このティッシュって……?!」
田中がふざけて大声を上げる。
「変な言い方をするな! 水滴拭いたままそこに置いておいただけだ!」
「まぁ……、先生も男っすからね……」
「女子いる前でやめなさいよ!」
「やだ~先生~」
掃除をしながら女子も会話に混ざる。
物理の先生は田中の頭を丸めた方眼紙で叩きながら、掃除を進めさせる。
「じゃあね、先生~」
「気をつけて帰れよー」
清掃確認のプリントにサインをしてもらい、2組の生徒たちは教室に戻る。
「ふぁ~」
朝倉は大きい欠伸をする。
「眠い?」
「ちょっとだけ」
「ちょーっとだけなら寝てもいいよ。佐藤来たら起こしてやるよ」
「あざーす……」
そう言って朝倉は机に頭を伏せる。
武田のこと、南雲のこと、奇病のことや謎の少女のことなどを考える。
朝倉はそれしか考えられない。
悩むことまでが奇病の呪いかもしれない。
生活の全てを縛られているような気すらする。
「ん……」
田中に揺らされない体を起こすと、教室はもう夕焼け色に染まっていた。
目の前の席で携帯をいじっている田中と目が合う。
「あれ……? 佐藤は?」
「用事あって帰ったよ」
「ふぁ~。じゃあ、起こしてくれよ」
「起きなかったんだよ」
「まじか。俺は令和の白雪姫ってわけか~」
「ちゅーしろってこと?」
「なわけ。投げ飛ばすぞ」
朝倉と田中は帰る支度をして、学校を出る。
今の時間を確認しようと、朝倉がポケットに手を入れて携帯を探す。
「あ」
鞄の中もしっかり探すが、どうやら教室に忘れてきたらしい。
「ごめん、スマホ教室だわ。先行ってて」
「着いてくわ」
「あざーす」
教室に戻る途中、窓から外を眺めた。
野球部やサッカー部が練習をしている。
ほとんどが1、2年生である。6、7月の大会が終わると、3年生は引退だからだ。
「誰がキャプテンなんだろ」
「あ、1年のマネ可愛い」
「うっそ。どこどこ?」
黒髪のサラサラロングの1年生の女子を指す。
高く結っているポニーテールが可愛らしい。
「めっちゃ可愛い!」
「あれは絶対彼氏持ちだ。行くぞ~」
教室には誰もいなかった。
さっさと携帯を取って、帰ろうとする。
その時だった。
「う゛っ……!」
「朝倉?」
朝倉は床に座り込んでしまう。
田中は駆け寄る。
「離れ……てくれ……っ」
こんな姿を見られるわけにはいかない。
それだけを朝倉は考えていた。
「大丈夫かよ?!」
心配をしてくれる友人を横目に、吐き気の止まらない少年は苦しくて仕方がない。
花を吐き出すのを我慢しているせいか、息が上手にできない。
武田と一緒にいた時と同じ状況だ。
「吐きそうなら吐け」
朝倉は頭を横に振る。
「どうすればいい……っ」
花が1つ、指の間を通り過ぎて床に落ちる。
「なんだ……これ……?」
・花→シュウカイドウ
・花言葉→片想い。恋の悩み。
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