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母の御魂は四つ辻に眠る 〜竹一族の記憶(五)〜
十七
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次第に一族の者が集まり、やがて全員が耳を傾けるほどの音色を、私たちは何度か聴く機会がございました。奏子様も、1度弾かれたら更に弾きたくなったのか、お身体を気遣いつつ、練習をしては披露する日々を繰り返されておりました。
そして、そんな日々を繰り返しているうちに時間は過ぎ、出産の日がやって参りました。あの日のことを、私は今でもよく覚えております。
一族の女性たちが総出で出産を手伝っていましたが、理解に乏しい私の目から見ても、難産であることは明らかでした。私たちは人間の医学を詳細に知っていたわけではありませんが、詳しい者も少なからずおり、順調に進んでいることを確認しておりました。
「奏子様! 息を止めないで! 呼吸をきっちり!」
「頭は出てきているから、もう一踏ん張り!」
お腹を切るのは早いと、私の母は言っておりました。切ってしまえば、縫合する必要がある。生涯残る傷を簡単に負わせてはならない・・・・そんな意思だったのだと思います。
「頭が出た! 奏子様、もう1回深呼吸して、力入れて!」
陣痛から出産まで正確に何時間だったのかは、わかりません。里では明確に時を刻んではおりませんから。
しかし、奏子様が人間の里に戻っても混乱してしまわないよう、使者を通して人間の里の日数は数えておりました。そのため、四音様がお産まれになったのが、4月8日だとわかったのです。
産声を上げた四音様は、とても元気な赤子でした。大きすぎず小さすぎず、健康面には問題が見られなかった。出産当日で判明することはありませんでしたが、奏子様の何よりの心配事は、ご自身の全盲が子供に遺伝していないか、と言うことです。
「奏子様。とても元気な男の子でございます」
「・・・・元気・・良かった・・・・良かった。皆さん・・・・本当に、ありがとうございました」
涙を流せないと仰っていた奏子様の瞳から、涙がこぼれているように見えました。本当のところは、どうだったのかわかりませんが。
一族の女性の声を頼りに、奏子様は産まれたばかりの四音様に触れられました。あの時に微笑まれた姿は、どんな時よりも優しいお顔をされていましたよ。
「四郎・・・・。この子の名前よ。五郎になるはずだった・・・・でも・・・・だから、四郎なの」
奏子様の言葉の意味を、私たちは理解しておりました。ですから変に気を遣ったりせず、四郎様とお呼びしたのです。
奏子様が静養され、お身体を休まれた後、今後のことを尋ねる。私たちは、その時もそうする気でおりました。
奏子様の容態が、急変される翌日までは。
そして、そんな日々を繰り返しているうちに時間は過ぎ、出産の日がやって参りました。あの日のことを、私は今でもよく覚えております。
一族の女性たちが総出で出産を手伝っていましたが、理解に乏しい私の目から見ても、難産であることは明らかでした。私たちは人間の医学を詳細に知っていたわけではありませんが、詳しい者も少なからずおり、順調に進んでいることを確認しておりました。
「奏子様! 息を止めないで! 呼吸をきっちり!」
「頭は出てきているから、もう一踏ん張り!」
お腹を切るのは早いと、私の母は言っておりました。切ってしまえば、縫合する必要がある。生涯残る傷を簡単に負わせてはならない・・・・そんな意思だったのだと思います。
「頭が出た! 奏子様、もう1回深呼吸して、力入れて!」
陣痛から出産まで正確に何時間だったのかは、わかりません。里では明確に時を刻んではおりませんから。
しかし、奏子様が人間の里に戻っても混乱してしまわないよう、使者を通して人間の里の日数は数えておりました。そのため、四音様がお産まれになったのが、4月8日だとわかったのです。
産声を上げた四音様は、とても元気な赤子でした。大きすぎず小さすぎず、健康面には問題が見られなかった。出産当日で判明することはありませんでしたが、奏子様の何よりの心配事は、ご自身の全盲が子供に遺伝していないか、と言うことです。
「奏子様。とても元気な男の子でございます」
「・・・・元気・・良かった・・・・良かった。皆さん・・・・本当に、ありがとうございました」
涙を流せないと仰っていた奏子様の瞳から、涙がこぼれているように見えました。本当のところは、どうだったのかわかりませんが。
一族の女性の声を頼りに、奏子様は産まれたばかりの四音様に触れられました。あの時に微笑まれた姿は、どんな時よりも優しいお顔をされていましたよ。
「四郎・・・・。この子の名前よ。五郎になるはずだった・・・・でも・・・・だから、四郎なの」
奏子様の言葉の意味を、私たちは理解しておりました。ですから変に気を遣ったりせず、四郎様とお呼びしたのです。
奏子様が静養され、お身体を休まれた後、今後のことを尋ねる。私たちは、その時もそうする気でおりました。
奏子様の容態が、急変される翌日までは。
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